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万国の非正規労働者よ団結せよ その1 勝利

万国の非正規労働者よ

団結せよ、

とは簡単に行かぬこの国

 

全国展開する靴の小売店

「ABC-MART 」で、

パートの女性(四七)が

個人で参加できる労働組合で

団体交渉して賃上げを実現した。

 

一人から入れる社外労働組合は

「総合サポートユニオン」(東京)。

 

別の店のパートが一人加わり、二人で団交に臨んだ。

 

いきさつは、

店長から昨年末、評価項目の変更に伴い、

時給が二十円下がり千十円になると言われた。

今回の評価の変更も説明があいまい、

食料品が値上がりする中での賃下げに

「非正規をばかにした対応」怒った。

 

本社の社員に「おかしい」と訴え、

労働基準監督署に相談しても、

状況は変わらない。

 

「総合サポートユニオン」に参加して、

一人で十五分早く仕事を終える

ストライキもした。

 

団交三回、

時給六十円上がり

千九十円になった。

 

 

この団交で、

パート約五千人の基本時給が

平均6%上がった。

 

ただ同僚から感謝を

言われたのはただ一人。

 

「仕事量が増える」など

否定的な意見さえ耳にした。

 

労組に加入して

同僚たちから距離を

取られていると感じた。

 

声を上げる仲間も

最後まで一人だけだった。

 

しかし、賃上げ実現には

「企業別の労組の枠を超えて

非正規が連帯したのがポイントで、

交渉力が強くなった。

SNSで発信した点も、

賃上げにネガティブなイメージを避けたい

企業側との交渉に寄与したと考えられる」

(浜銀総研の遠藤裕基氏)

 

だが、

非正規春闘に参加した非正規が働く

三十六社のうち、

三分のニは賃上げされていない。

つまり、十二社は賃上げされ、

二十四社は賃上げされていない。

(東京新聞 2023年7月13日)

 

わたしにも団交の経験はある。

13年ほど前の話だ。

 

産直青果物をリヤカーで個別販売する

零細会社(現在はもう倒産している)で

正社員として働いたが、

次第に先細りになり賃金未払と

それを埋めるための長時間の時間外労働が続いた。

疲労がたまりギックリ腰になり、

冷静さを取り戻す時間ができたので

未払賃金と超過労働賃金の回収を考えて決めた。

 

というのも、

ギックリ腰で休養中に

会長と呼ばれる怪しい男と社長は

高齢者の常連さんに前払い特典として

渡せるかどうかわからない、

つまり、確約できない賭けにでて

プレミアムな青果物を提供することを担保に

プリペイド(前払い)商品券で

現金を掻き集めようとしていた事も

耳にしたからである。

 

もうすでに、

未払いの仕入先の農家や市場関係者から

「連絡がつかない」

「電話くらい出ろ」

「いつ払うんだ」と

会社に怒鳴り込まれていたことを

知っていたからもある。

 

会社を建て直そうと無給で残っていた同僚から

聞いて、その件を知った。

常連さんに迷惑がかかるおそれが大きいから

辞めるようにいうと、

その同僚は

「逃げた人間が何を言う、

会社が建て直った頃に、

腰が治ったと戻ってくるんだろう」と罵倒された。

冷静さを取り戻してよく考えてみてくれとだけ伝えた。

 

もう見過ごせない。

この期に及んで会社はまだ求人を出していたので、

被害者が出ると思い、

求人をしていたハローワーク、

募集チラシを新聞に織り込んでいた民間求人会社、

労働基準監督署、区役所、警察に連絡した。

 

ハローワークは求人を取り下げるよう検討するといい、

民間求人会社は、

広告主からは求人広告料を頂いているので、

その後のトラブルは、

求人広告主と応募者との関係だからと責任回避。

労基署、警察は、事件にならないと動けないと傍観。

求人を出していた区役所だけは

わざわざ会社所在地まで足を運んで

求人は取り下げたが、

やはり、事件が起こらないことにはと、

プリペイド(前払い)プレミアム商品券を

未然に防ぐことはできなかった。

プレミアム商品券は売りに出されたのだろうか?

本当に建て直そうとしている

会社の邪魔をしているんじゃないだろうか?

と一瞬よぎったが、

状況的には好転するとは有り得ない、と思っていた。

 

結果、そうして

未払い超過労働賃金の回収のため、

比較的大きな労働組合に、協力してもらうべく

当時、知人を介し社民党の区議が懇意にしている

労組組合長を紹介されて連絡したら、

「ひとりで頑張りなさい」と門戸を閉ざされた。

政治家にもよるが頼りないものだと思い、

合わせて、

だから、労働組合はすたれるんだ、とも思った。

 

未払い賃金回収の件で、

労働基準監督署にも相談したが

忙しく監督官が足らないからと断られた。

 

POSSE という

若者の労働問題を解決する窓口を設けた

NPO法人を

知人から教えてもらって

すでに若者でないわたしは

恥ずかしながら相談に行った。

 

そこで、

全日建(正式名:全日本建設運輸連帯労働

組合、愛称:連帯ユニオン)を

紹介されて産直青果物販売会社と

団交することになった。

 

もともとタイムカードがなく、

労働時間が延びていくにしたがい、

会社に頼んでも

タイムカードの導入はされなかったので、

自分でメモ帳に出退勤の時間と

簡単な作業内容と

名ばかりの会長、社長の発言を残した。

これを証拠に未払金と超過賃金と合わせて

二百万近い金額を請求する団交に及んだ。

 

全日建の書記の方、

わたしより一回り以上年下だったと思うが

大変頼り甲斐のある冷静な闘志だった。

たった二人だけの団交だった。

 

団交から東京都の労働委員会であっせんに及び、

月々返済額を決めてこの「事件」は手打ちとなった。

 

都庁の受付で、

あっせんの打合せのことを伝え会議の場所を聞くと、

受付の方がこの「事件」はと言ったので、

これは「事件」なんだと再認識し驚いた。

でも、確かに、

賃金未払いという

経営者の労働者からの労働泥棒「事件」なのだ。

 

手打ちだったのに、

しかし、である。

 

 

闘いは継続する、

つづく

 

 

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