日日是好日

「アナザー・カントリー」について、実に主観的に書き散らしてます。
たまに身辺の雑記も。

ある一節

2013-09-19 23:15:01 | ほんをよんであふれたもの
私は九月十七日の生まれで……その頃は、町中がよれよれになり、疲れ切って、怒りっぽくなっている。


曽野綾子  海辺の殺人

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つまり、いまごろです。

雑記の方にも書きましたが、私は秋と相性が悪く、
さすがに「秋眠したい」と祈ることはなくなったけど、
まともに目を合わせたい相手じゃない。

(読書の)秋、(スポーツの)秋、(芸術の)秋、(食欲の)秋。
カッコの中とはじゅーぶんに付き合っているから、
それでいいじゃないと、誤魔化してしまいます。

この小説には、心揺るがすもう一行があって、

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「わたしの大切なお兄様あ!」

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「海辺の殺人」は(短編だからかえって書いちゃってもいいと思うけど)、
幼い兄妹の仲があまりに良いので、
それを不条理に思った男が、
兄妹を殺してしまうという話。

いま、ふと思いました。
殺人犯には、この兄妹を主人公にして小説を書くという方法はなかったのかと。
「海辺の殺人」の作者の方は、それが出来たから、殺人には走らずにすんだのかも。

フィクションは、
ノンフィクションの世界と折り合うためには、
とても良い手段です。

「自殺する前に、海外脱出という手段があることを思い出してほしい」
あるジャーナリストの言葉ですが、それにならって、
「殺す前に、小説を書くという道があることを知っていてくれ」
と言って終わる。


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