【せっかくだから、俺はこの――】
◇ ◇ ◇
デイパックを引っくり返す。
食料や飲料水、地図にコンパスといったお馴染み支給品一式とともに、奇妙な道具が三つ出てくる。
多ジャンルロワ書き手◆ew5bR2RQj.・【ライダー】エウーゴは、その道具の正体を把握していた。
把握していたというより、精通していた。
それらのアイテムを用いた戦闘と言えばエウーゴ、そう言ってしまっていいほど彼の代名詞的な代物だ。
『見慣れたもの』で、『戦闘に使えるもの』で、しかも数は『三つ』。
さすがに若干引いてしまうレベルだ。
自分で書くのはちょっとはばかられる。
誤爆スレ辺りで、贔屓書き手扱いされかねない。
それほどまでに『当たり』支給品である――が、エウーゴが気にかけているのはそれではない。
その奥だ。
あからさまに意図がある。
他書き手の思惑を読むより分かりやすい。
見え見えの――狙いが。
この三つを配ったということは、主催者は決めるよう促しているのだろう。
鬱憤を晴らすかのように、ひたすら単身暴れ回るのか。
最後の一人を目指すべく、上手くズルく立ち回るのか。
なにがあろうとも前を向き、人を守るために戦うのか。
殺し合い開始早々にして、エウーゴは分岐点に立たされていることを自覚した……――
◇ ◇ ◇
自覚したからといって、すぐに選ぶかというとそんなことはなかった。
いや、そらそうだろ。だって、そうだろ。
すぐにロワのスタンスなんか決められるかよ、フィクションキャラじゃあるまいし。
あんまり長い間ぶれぶれだったズガンされる? パロロワではな。
マジな殺し合いなのに、即決できるかっての。あたりめーじゃん。
と弁解じみたことを思いながら、エウーゴは行くあてもなくさまよっていた。
ちなみにいざというときのために、一応支給品は三つともすぐに取り出せるところに収納してある。
ふらふらと歩いているうちに、ふと眉をひそめた。
なにかが焼け焦げたような『におい』が漂っているのだ。
咄嗟に三つのうちの一つを取り出しそうになり、エウーゴは自分自身を落ち着かせる。
(いや、ねーだろ。そりゃねーだろ。即決しねーだろ。
パロロワじゃねーんだよ。これまであった書き手ロワじゃねーんだよ。マジなんだよ。
決めれねーって。常識で考えれば分かんじゃん。コモンセンスでシンクすればアンダースタンじゃん?
法律とかそういう片っ苦しいのじゃなくてもさ。なんつーか、こう、良心とか? 空気とか? 感覚的なん?
そーゆーのあんじゃん。リミッターとかあんじゃん。あんじゃん、人間って。考える葦だし、あんじゃん。あんじゃ――)
強がって進めていた足が、不意に止まってしまう。
「…………あんだろ、フツー」
意図せず呟いたエウーゴの眼前には、大きな黒炭が横たわっていた。
いたる箇所から黒ずんだ煙が出ているそれの形状は、ある生物を思わせた。
右足と思しき部位には太ももから先がなく、右手と右足らしき部位はあらぬ方向に曲がっており、ひどく歪だったが、それでも――人間の形をしていた。
エウーゴの手が『紫紺』と『漆黒』に伸びていき、一つを手に取ろうとしたときだった。
「――よォ」
ゆっくりと、黒炭が顔を上げた。
「あー……クソ、立てねえ」
「見てんじゃねーよ。
生きてるヤツが死んでる俺を見下してんじゃねー」
「あー……クソ」
「クッソ……っ」
「勝ちたかったな、アイツに」
「勝ち取りたかったな――最終回」
「分かるか、お前。お前だよ、見てるお前。俺の気持ちが分かんのかよ」
「俺が最終回書きたかったんだよ、俺が。
そんで、アイツも最終回書きたかったんだよ」
「残ったほうが書くってなって――負けた」
「最ッ高のロワの最ッ高の最終回を書いたヤツだけが見れる景色が分かるか?
それを逃した俺の見ている景色が分かるか?
分かるか? 分かるのか? 分かんねーだろ。はッ! はははははッ!」
「最悪だぜ」
反吐を吐くように言って、それきり炭は動かなくなった。
身体から上がる煙も、次第に穏やかになっていく。
「……かよ」
唖然としていたエウーゴがぽつりと零して、拳を固く握り締めて身体を震わせる。
「分かるかよッ、そんなもん!!」
物言わぬ黒炭へと言い放って、エウーゴは駆け出す。
片足を引きずったような跡自体は、とうに見つけていた。
そちらに向かうつもりなど毛頭なかったが、行くしかなくなってしまった。
行って――言ってやるしかなくなった。
(俺だって最終回を書きたい。
他の誰かじゃなく、俺が書きたい。
みんなそう思ってたとしても、俺のほうが書きたい自信がある。
けど、だけど…………ッ!)
ほどなくして、身体に傷を負った緑色の髪をした青年が目に留まった。
こちらに気付いたらしい相手が、向き直って剣を構えてきたので、目的の相手だと確信する。
走りながらデイパックから水の入ったボトルを取り出して、そのまま地面に落とす。
そちらに三つのうちの一つをかざすと、エウーゴは自らが何度も書いたセリフを口にする。
「変身……ッ!」
手に取ったのは、『紫紺』でも『漆黒』でもなく――――
「――――仮面ライダー龍騎ッ!!」
【ファルン(◆FRuIDX92ew)@RPGロワ 死亡】
【D-1 森/一日目 深夜】
【【ライダー】エウーゴ@多ロワ】
【トリップ】◆ew5bR2RQj.
【状態】健康、仮面ライダー龍騎に変身中
【装備】龍騎のデッキ@多ロワ
【道具】支給品一式、王蛇のデッキ@多ロワ、オルタナティブゼロのデッキ@多ロワ
【思考】
基本:最終回を書くために、みんなで生還する。
1:眼前の男を止める。
【備考】
※外見は、。
※ライダーデッキの制限は、以降の書き手に任せます。
【アイディー・ウィンチェスター@RPGロワ】
【トリップ】◆iDqvc5TpTI
【状態】ファルンとの戦闘による負傷
【装備】ラグナロク@RPGロワ
【道具】支給品一式×2、不明支給品(1~5)
【思考】
基本:最終回を書くために、一人で生還する。
1:眼前の男を殺害する。
【備考】
※外見は、ユーリル@DQ4。
※負傷具合については、以降の書き手に任せます。