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カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
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2021年6月号 難民に新型コロナワクチンCovishieldの1回目接種、UNHCRはワクチンの公平な分配を要求 / トロッサ・アスラト(KANEREボランティアライター)2021年6月

2021年08月07日 | 健康
【写真】カクマとカロベイエイで開始された新型コロナワクチン接種の様子。2021年5月から6月は人道支援活動の最前線で働く人を対象にした接種が行われた。

2021年4月の世界保健ウイークに、カクマのアムサイト総合病院(旧クリニック7)とカロベイエイのナツクべニョ保健所で、同地域に暮らす難民および庇護希望者を対象に新型コロナワクチン接種計画第1フェーズが開始された。


カクマでのワクチン接種第1フェーズで優先的に摂取を受けられるのは、医療従事者、警備担当者、教師、そのほか重要なサービスの提供者、58歳以上の難民だ。これらの条件に当てはまる人は、月曜から金曜の午前8時半から午後3時に1回目のワクチン接種を受けることができる。それによってワクチン接種第1フェーズでは、全体で20万人いる難民の3パーセントに当たる約2800人が新型コロナワクチンを優先的に接種することになる。

世界保健デーの4月7日、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官はワクチンの公平な分配を呼びかけた。「世界各国におけるワクチンの分配には明らかな不均衡がありますが、これは非生産的で短絡的な考え方です。自国第一主義で対処しようとしても、国境を越えて広がる感染症には効果がありません」

カクマで最初の感染者が報告されたのは2020年3月13日だったが、2021年4月30日時点での陽性者率は、難民の7パーセント、人道支援活動従事者の4.9パーセント、感染者総数は935人、難民の死者数は12人になっている。

UNHCRが発表した最近の統計によると、18歳以下の子どもたちの割合は難民の総人口の52パーセントなので、10万4000人の難民がワクチン接種対象から除外されている。しかし裏を返せば、難民の総人口の48パーセントである約9万6000人がカクマおよびカロベイエイでのワクチン接種資格を有していることになる。

「第1フェーズでは、2000回分のアストラゼネカ社製ワクチンが難民向けに割り当てられましたが」匿名を条件に話してくれたクリニック7で働く医師はこう話す。「接種が進んだら、ワクチンが不足するのは目に見えています」

新型コロナワクチンの到着は難民にとってまたとない機会だ。難民は生活の大部分を援助組織からの人道支援に依存しているので、新型コロナウィルス感染予防対策を十分に行うことができないうえに、手指を殺菌する薬剤や衛生用品といった感染拡大予防に必要不可欠な物資も入手しにくい状況に置かれているからだ。

難民キャンプでは新型コロナウィルス発生当初から、こうした状況を正当化するようなウィルスに関する間違った情報が出回っていた。それに加えて現在では、ワクチン接種を躊躇させるような作り話や誤った考えが広まっている。こうしたこともあり、無料で受けられるにもかかわらず、多くの難民はワクチン接種を拒否している。


【写真】ワクチン接種が開始されたカクマとカロベイエイの様子。新型コロナウィルスに関する誤解が原因で難民たちは接種に消極的のようだ。

UNHCRがカクマに設置した会場でワクチン接種を受けた支援ボランティアは次のように述べている。「1回目の新型コロナウィルスワクチン接種をしましたが、今のところ体調に問題はありません」

クリニック7で働く医師によると、ワクチン接種をためらう人や誤解している人がいることが大きな障害となり、第1フェーズの接種キャンペーンが当初の予定通りには進んでいない。これまでにワクチン接種をした人は1000人を超えたところだが、この数字はワクチン接種の対象者とされている難民の数よりもはるかに少ない。

65歳の難民は「そもそも、私はワクチン接種を受けるつもりはありません。このウィルスは、神が私たち人間に下した罰なのです。私の言葉を信じられなければ、ヨハネ黙示録19章15節を読んでみなさい。できるのは祈ることしかありません」と話した。

UNHCRといくつかの宗教団体は、低所得国あるいは難民・庇護申請者などの社会的に弱い立場に置かれている人たちに対してもワクチンを公平に分配するように要求している。「リーダーシップを発揮して模範となるような努力をしている国々は称賛に値します。難民の人たちにもワクチンを分配することで、排斥や差別に伴うリスクを和らげることができます」と、グランディ難民高等弁務官は述べた。

ケニア保健省は、新型コロナウィルス感染流行の第3波まっただ中の2021年3月に102万回分のアストラゼネカ社製ワクチンを入手し、ワクチン接種キャンペーンを開始した。保健省の発表では、ケニアではアストラゼネカ社製のワクチンを使用し、一人2回接種することになっている。2021年3月4日からケニア全土での接種が開始された。担当者によると第1フェーズが終了するのは6月末で、ワクチンの効果を高めるための2回目の接種は、1回目の接種から12週間後に行われることになっているが、カクマとカロベイエイでは2回目の接種は8週間後に行われる。対象者の区分は3つのフェーズに分けられ、2021年から2023年にかけて接種が実施されることになっている。

ケニアは難民に対するワクチン接種を開始した世界でも数少ない国のひとつである。


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