【漫画】
母「セックスワーカーはきつい仕事だよ。まさか、自分の娘までがねえ……」
娘「そんな言い方しないでよ。私に何ができるっていうの? 難民はお上から自由に働くお許しが出ないの。セックスワーカーは自由市場よ。お金儲けも簡単だし。わかってくれた?」
客「オーーーウーーーーわかったよ、ベイビー。市議会も税金も関係ないもんな……でも健康の心配は……?」。
カクマ難民キャンプの商業的性労働者は、リスクが大きくても、貧困と依存状態にある以上、この職業に頼らざるを得ないのだと言う。
地球最古の職業はカクマ難民キャンプと無縁ではない。悪い条件、無力さ、難民キャンプにいるという依存状態が女性たちを特別なリスクにさらす。
「私はシングルマザーです。子どもが5人います。一人は殺されました。仕事がなく、子どもたちに食べ物を買うお金を支援してくれる人もいないので、たった一つ残された道は商業的性労働者になることなんです」とママ・クリナ(仮名)は言う。彼女はルワンダ出身のシングルマザーで、密造酒の密輸もしている。
キャンプで働いている商業的性労働者の人数を掴むのは難しい。NCCK(ケニアキリスト教会協議会)の職員によると、差別を恐れ、プログラム実施に当たっては商業的性労働者と他のグループを一緒にしているので、追跡は簡単でないという。
ある商業的性労働者はKANEREに対し、たくさんいるのは知っているが実際の数は推定できないと言った。
〈生きるために〉
商業的性労働者たちは、この職業に就かなければならなかったのは貧しいからだと言う。
「私は商業的性労働者になるのを選んだわけではありません。子どもたちと私の必要を満たすだけの収入があれば、地域の女性仲間から夫を奪ったなどという汚名を着せられることはないでしょうに」とウガンダ出身の商業的性労働者は嘆く。
「でも、私に会いに来てなんて、誰にも無理強いしていませんよ」と彼女は加えた。
ある女性は明快に実態を表現する。「私は自分が持っているものを売らなければならないんです。みんな自分の品を店で売っているでしょう。私が売るのは自分の身体です」
カクマの商業的性労働者の多くはシングルマザーで、祖国の戦争や内戦で夫を亡くした人たちだ。彼女たちは、自分の国に帰るのは安全でないけれど、キャンプでの生活もまた困難が多いと言う。難民は2週間に一度食糧配給を受けるが、それでは足りないと商業的性労働者たちは言う。
「食べ物や薪は2週間もちませんよ! 肉、魚、緑野菜、果物はどこにあるんですか。NGOで働いている難民たちはこれらを買えるでしょう。私たちの身体だってこういう食べ物を欲しているけれど、WFPからは支給されないんですよ。子どもたちは苦しんでいるんです」とママ・クリナは言う。
ママ・クリナによると、客はNGO職員、難民、地域の人だ。「私たち店に来てチャンガー酒やブサア酒、インゲンジ酒(いずれも地元の密造酒)を飲んでは、セックスも要求するんです。料金はやってきた時に支払ってくれる。NGOの職員で身なりのきちんとした人は、300から500ケニア・シリングを払ってくれるけれど、他は100から200ケニア・シリング程度ね」とママ・クリナは言う。
彼女の報告では、多くの性労働者が日に平均二人以上の客をとっていて、毎日のパンのために少なくとも200ケニア・シリングを稼いでいる。
キャンプのコミュニティーの他の女性たちは、性労働者の行動をよく思っていない。どうしてこういう仕事をしなければならないのか、動機を理解していない人もいる。「商業的性労働者のなかには病気の人もいます。たとえ何百万というお金をもらっても、彼女たちはまだ男性と寝たいんです。でも、彼女たちは私たちより貧しいのは確かです」とあるルワンダの女性はKANEREに語った。
〈NCCKは性労働に代わる仕事を提供しようとしている〉
キャンプでリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の活動をしているNGO、NCCK(ケニアキリスト教会協議会)は、2005年に、キャンプの女性の弱い立場を改善するために、収入を生む活動を立ち上げた。
「我々はケータリングサービスの提供を通じて、女性たちに経済的な力をつけます。女性たちはいくらかの資本を使い、我々は利子分で彼女たちに払い戻す仕組みです*.。ケータリングサ―ビスの他にも理容、食品の小さいキオスク、ピーナッツバター製造、詩作、服の仕立て、ソフトドリンクの販売などを通して、新たな生計手段を提供しています」と、NCCKのプロジェクト・コーディネーター、ラファエル氏は言う。
このプログラムは8人の女性でスタートし、これまでに25の女性のエンパワーメントグループを持つまでに広がった。グループには商業的性労働者たちも一部含まれている。それぞれのグループは、5人から10人のメンバーで成り立っている。
プロジェクトがこの女性たちに与える影響について、ラファエル氏は次のように語った。「第一に私たちは安全に母親となることとHIVの予防、コンドームの使用によるもっと安全なセックス、生計手段の変更など、リプロダクティブ・ヘルスを守る活動をしています。第二に、このプログラムは彼女たちを暴力や警察官による逮捕、エイズ、性感染症、性とジェンダーに基づく暴力から守ります」
代替の生計プログラムには、弱い立場の女性たちが行動を変えるのを手助けするという意味があり、商業的性労働者、HIVにかかっている女性、密造酒中毒者、大家族のなかのシングルマザーなどを対象にしている。
ある匿名希望のNCCK職員はKANEREに次のように語った。商業的性労働者のなかには、プログラム選択前のインタビューで、これまでの行動から足を洗うのを拒否する人たちもいた。「彼女たちは、セックスをするのは自分の権利だというのです。そして性労働をやめたら、いったい誰が性的欲求を満たしてくれるのかと問うのです。でもこういう人は少数です。こういう人たちには、安全なセックスや性感染症、HIVの防止について、性教育をします」
〈憂慮すべき問題〉
しかし、プログラムに参加した多くの女性は援助の期間中だけ関わってくるが、NCCKから受け
援助が尽きると、性を売ることに戻ってしまう。
あるコンゴの女性は自分の経験を次のように述べた。「私たち5人は母親です。最初に私たちは米と豆の袋を二つもらいました。それで2人分です。それを2007年のケータリングサービスの私たちの番で使うのです。私たちは作業場で働き、およそ3000ケニア・シリングの利益を得ました。作業場は年に1回か1年半に1回開かれます。3000ケニア・シリングで、まるまる1年、4人家族の生活を支えられますか?」
「こんな状態で、商業的性労働をやめるのは難しいんです」と彼女は続ける。「(事業を)始める資金をもらっても、その年の終わりには全部使い切ってしまいます」
女性たちは、この労働が健康リスクを伴うことに気付いている。KANEREに話してくれた何人かは、この職業は「憂慮すべき問題だ」と、健康に及ぼす重大なリスクについても語った。彼女たちは、自分の労働が長期にわたってさまざまな危険をもたらすことはわかっているが、難民キャンプで生きていくには他に手段がないと言う。
KARENEに話をしてくれた二人の女性はいずれも、自分はHIVが陽性だと言った。コンドームを使う客もいるが拒否する客もいる。彼女たちはそれを選択できない。コンドームを使うか使わないかは客が決めるからだ。
その女性は、定期的な健康診断を受けていないそうだ。仕事ができなくなるほど病気が重くなったら、治療してもらいに行くという。
〈エンパワーメントを求めて〉
商業的性労働に関わっている女性たちがKANEREに伝えたメッセージは、一旦変化を受け入れたら後戻りする機会がないように、完全に力をつけてもらいたいということだった。彼女たちもコミュニティーの他の人々と同じような生活をしたいのだ。
コミュニティーのメンバーやリーダー、NGOは、政府やUNHCRと共に、立場の弱い女性たちに、もっと雇用と収入の機会を与えて自立を支え、彼女たちを待ちかまえているリスクを回避できるように、援助すべきだ。
*2009年1月に解消したLWFの女性ケータリンググループとは違う(2009年2月号「女性の権利拡大、ただし長続きせず」を参照)。
母「セックスワーカーはきつい仕事だよ。まさか、自分の娘までがねえ……」
娘「そんな言い方しないでよ。私に何ができるっていうの? 難民はお上から自由に働くお許しが出ないの。セックスワーカーは自由市場よ。お金儲けも簡単だし。わかってくれた?」
客「オーーーウーーーーわかったよ、ベイビー。市議会も税金も関係ないもんな……でも健康の心配は……?」。
カクマ難民キャンプの商業的性労働者は、リスクが大きくても、貧困と依存状態にある以上、この職業に頼らざるを得ないのだと言う。
地球最古の職業はカクマ難民キャンプと無縁ではない。悪い条件、無力さ、難民キャンプにいるという依存状態が女性たちを特別なリスクにさらす。
「私はシングルマザーです。子どもが5人います。一人は殺されました。仕事がなく、子どもたちに食べ物を買うお金を支援してくれる人もいないので、たった一つ残された道は商業的性労働者になることなんです」とママ・クリナ(仮名)は言う。彼女はルワンダ出身のシングルマザーで、密造酒の密輸もしている。
キャンプで働いている商業的性労働者の人数を掴むのは難しい。NCCK(ケニアキリスト教会協議会)の職員によると、差別を恐れ、プログラム実施に当たっては商業的性労働者と他のグループを一緒にしているので、追跡は簡単でないという。
ある商業的性労働者はKANEREに対し、たくさんいるのは知っているが実際の数は推定できないと言った。
〈生きるために〉
商業的性労働者たちは、この職業に就かなければならなかったのは貧しいからだと言う。
「私は商業的性労働者になるのを選んだわけではありません。子どもたちと私の必要を満たすだけの収入があれば、地域の女性仲間から夫を奪ったなどという汚名を着せられることはないでしょうに」とウガンダ出身の商業的性労働者は嘆く。
「でも、私に会いに来てなんて、誰にも無理強いしていませんよ」と彼女は加えた。
ある女性は明快に実態を表現する。「私は自分が持っているものを売らなければならないんです。みんな自分の品を店で売っているでしょう。私が売るのは自分の身体です」
カクマの商業的性労働者の多くはシングルマザーで、祖国の戦争や内戦で夫を亡くした人たちだ。彼女たちは、自分の国に帰るのは安全でないけれど、キャンプでの生活もまた困難が多いと言う。難民は2週間に一度食糧配給を受けるが、それでは足りないと商業的性労働者たちは言う。
「食べ物や薪は2週間もちませんよ! 肉、魚、緑野菜、果物はどこにあるんですか。NGOで働いている難民たちはこれらを買えるでしょう。私たちの身体だってこういう食べ物を欲しているけれど、WFPからは支給されないんですよ。子どもたちは苦しんでいるんです」とママ・クリナは言う。
ママ・クリナによると、客はNGO職員、難民、地域の人だ。「私たち店に来てチャンガー酒やブサア酒、インゲンジ酒(いずれも地元の密造酒)を飲んでは、セックスも要求するんです。料金はやってきた時に支払ってくれる。NGOの職員で身なりのきちんとした人は、300から500ケニア・シリングを払ってくれるけれど、他は100から200ケニア・シリング程度ね」とママ・クリナは言う。
彼女の報告では、多くの性労働者が日に平均二人以上の客をとっていて、毎日のパンのために少なくとも200ケニア・シリングを稼いでいる。
キャンプのコミュニティーの他の女性たちは、性労働者の行動をよく思っていない。どうしてこういう仕事をしなければならないのか、動機を理解していない人もいる。「商業的性労働者のなかには病気の人もいます。たとえ何百万というお金をもらっても、彼女たちはまだ男性と寝たいんです。でも、彼女たちは私たちより貧しいのは確かです」とあるルワンダの女性はKANEREに語った。
〈NCCKは性労働に代わる仕事を提供しようとしている〉
キャンプでリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の活動をしているNGO、NCCK(ケニアキリスト教会協議会)は、2005年に、キャンプの女性の弱い立場を改善するために、収入を生む活動を立ち上げた。
「我々はケータリングサービスの提供を通じて、女性たちに経済的な力をつけます。女性たちはいくらかの資本を使い、我々は利子分で彼女たちに払い戻す仕組みです*.。ケータリングサ―ビスの他にも理容、食品の小さいキオスク、ピーナッツバター製造、詩作、服の仕立て、ソフトドリンクの販売などを通して、新たな生計手段を提供しています」と、NCCKのプロジェクト・コーディネーター、ラファエル氏は言う。
このプログラムは8人の女性でスタートし、これまでに25の女性のエンパワーメントグループを持つまでに広がった。グループには商業的性労働者たちも一部含まれている。それぞれのグループは、5人から10人のメンバーで成り立っている。
プロジェクトがこの女性たちに与える影響について、ラファエル氏は次のように語った。「第一に私たちは安全に母親となることとHIVの予防、コンドームの使用によるもっと安全なセックス、生計手段の変更など、リプロダクティブ・ヘルスを守る活動をしています。第二に、このプログラムは彼女たちを暴力や警察官による逮捕、エイズ、性感染症、性とジェンダーに基づく暴力から守ります」
代替の生計プログラムには、弱い立場の女性たちが行動を変えるのを手助けするという意味があり、商業的性労働者、HIVにかかっている女性、密造酒中毒者、大家族のなかのシングルマザーなどを対象にしている。
ある匿名希望のNCCK職員はKANEREに次のように語った。商業的性労働者のなかには、プログラム選択前のインタビューで、これまでの行動から足を洗うのを拒否する人たちもいた。「彼女たちは、セックスをするのは自分の権利だというのです。そして性労働をやめたら、いったい誰が性的欲求を満たしてくれるのかと問うのです。でもこういう人は少数です。こういう人たちには、安全なセックスや性感染症、HIVの防止について、性教育をします」
〈憂慮すべき問題〉
しかし、プログラムに参加した多くの女性は援助の期間中だけ関わってくるが、NCCKから受け
援助が尽きると、性を売ることに戻ってしまう。
あるコンゴの女性は自分の経験を次のように述べた。「私たち5人は母親です。最初に私たちは米と豆の袋を二つもらいました。それで2人分です。それを2007年のケータリングサービスの私たちの番で使うのです。私たちは作業場で働き、およそ3000ケニア・シリングの利益を得ました。作業場は年に1回か1年半に1回開かれます。3000ケニア・シリングで、まるまる1年、4人家族の生活を支えられますか?」
「こんな状態で、商業的性労働をやめるのは難しいんです」と彼女は続ける。「(事業を)始める資金をもらっても、その年の終わりには全部使い切ってしまいます」
女性たちは、この労働が健康リスクを伴うことに気付いている。KANEREに話してくれた何人かは、この職業は「憂慮すべき問題だ」と、健康に及ぼす重大なリスクについても語った。彼女たちは、自分の労働が長期にわたってさまざまな危険をもたらすことはわかっているが、難民キャンプで生きていくには他に手段がないと言う。
KARENEに話をしてくれた二人の女性はいずれも、自分はHIVが陽性だと言った。コンドームを使う客もいるが拒否する客もいる。彼女たちはそれを選択できない。コンドームを使うか使わないかは客が決めるからだ。
その女性は、定期的な健康診断を受けていないそうだ。仕事ができなくなるほど病気が重くなったら、治療してもらいに行くという。
〈エンパワーメントを求めて〉
商業的性労働に関わっている女性たちがKANEREに伝えたメッセージは、一旦変化を受け入れたら後戻りする機会がないように、完全に力をつけてもらいたいということだった。彼女たちもコミュニティーの他の人々と同じような生活をしたいのだ。
コミュニティーのメンバーやリーダー、NGOは、政府やUNHCRと共に、立場の弱い女性たちに、もっと雇用と収入の機会を与えて自立を支え、彼女たちを待ちかまえているリスクを回避できるように、援助すべきだ。
*2009年1月に解消したLWFの女性ケータリンググループとは違う(2009年2月号「女性の権利拡大、ただし長続きせず」を参照)。
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