Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2009年3-4月号 小学校の悪い成績の根っこは何か

2009年08月16日 | 教育
生徒、教師、親は、キャンプの小学校の成績の悪さをどう見ているだろうか。

キャンプの小学校に通っている生徒には試験の成績が悪い子がたくさんいる。この問題の根っこについては、人によって意見が分かれる。しかし直接の関係者、つまり生徒、教師、親は、この問題の原因について何と言っているのだろうか。

2008年にKCPE(ケニア初等教育修了資格)の試験を受けた生徒は、キャンプの小学校全部から1215人だった。そのうち合格点の250点以上を取った生後はわずか440人で、大多数(775人)は最低合格点の250点をとることができなかった。この試験に64%の生徒が落ち、わずか36%しか合格しなかったのはなぜだろうか。ここキャンプの小学校での成績の悪さの根っこは何だろうか。

〈生徒:それは先生のせいだ〉

この話題について何人かの生徒と話したところ、責任は教師にあるようだった。

ある生徒は、教師が授業での説明が不明瞭だと不平を言った。だから、生徒たちは教えられることを理解できない。そのため、宿題と試験に良い点をとれなかった。

別の生徒は言う。「私たちには分からない英語を話す先生がいます」。この生徒によると、何を伝えたいのか「わけがわからなくなる」ような英語の発音で話す教師がいる。それで、生徒は授業を理解できず、そのため成績が悪くなるのだと言う。

さらに別の生徒は、教師がスワヒリ語で授業を説明してくれないと文句を言った。この生徒によると、難民の生徒は英語よりもスワヒリ語の方がよく理解できるので、英語で生徒を理解させられないときには特に、先生はスワヒリ語で授業の説明をすべきだという。

〈教師:それは生徒、親、それに給料のせいだ〉

何人かの教師の言い分を聞くと、本当は生徒とその親に責任があるように思える。ある教師の報告では、生徒たちはまじめに教育を受けていない。彼は、生徒が教師を尊敬しない、言われた宿題をやらないというようなことを挙げた。

別の教師は、生徒の成績が悪いのは親が責任を果たさないからだという。この教師によると、子どもが毎日授業の復習と宿題をしたかを親が確認すれば、成績が上がるだろう、というのである。

〈親:制度が良くない〉

親の側には、小学校の悪い成績の原因について別の意見がある。

ある母親は、1クラスに80人から150人の生徒がいると説明し、クラスの人数が多すぎる実態を非難した。こんな状態では、教師は生徒一人ひとりを監督できない。したがって、教師は生徒の弱点が分からず、個別に対処できない。

この母親はまた別の問題を示した。それは無資格の教師のことだ。彼女によると、担当科目についての資格をもっていない教師がたくさんいる。このため、彼らは授業でうまく説明できない。それで生徒は、そもそも授業を理解できなかったので試験に合格しなかったのだ。

別の母親が言うには、生徒の成績が悪いのは学校にいる間、遊ぶ時間が多すぎるからだ。また生徒が欠席しているかどうか教師がチェックしないからだ。試験のときだけ学校に現れる生徒がいるのはごく普通のことだ。彼女が言うには、多くの教師はこれに気付いていないので、これでは学校から放り出される心配などせずに家でくつろいでいろと生徒をけしかけているようなものだ。

彼女は、遊ぶ時間がたっぷりありすぎるのも、生徒の注意力や集中力をそぎ、問題だと付け加えた。生徒は教わるべきなのに、どうして一日じゅう遊ぶために学校に行かなければならないのか、彼女は疑問をもっている。また、ある父親は、内容を説明せずに黒板を写せと生徒に言うだけの教師を非難した。また生徒に十分練習問題をさせない教師にはがっかりしたという。彼によれば、生徒が理解できない授業をしているだけでは、また生徒が知識を実際使えるように助ける練習問題をさせなければ、生徒がよい成績をとるのは不可能だ。

彼はまた、教師がクラスにいない時に、生徒がのんびりしている時間が多すぎると付け加えた。彼によれば、こういう時間があると、生徒が恋愛や性的関係を持ちやすくなり、それで気が逸れ、やがて試験に落ちるようになるというのだ。

〈将来に向けて〉

3つのグループの人たちの話を聴くと、互いに非難しあっているのがはっきりしている。しかし、どのグループも、小学校での成績を上げる上で、だいじな指摘をしている。第一のポイントは、生徒の点が低いのは授業が理解できていないからだ。第二のポイントは、親が子どもの教育に関心を寄せないので、子どもが毎日の授業をさぼったり宿題をきちんとしないということだ。

生徒はよく理解できる課目ではよい成績をとる傾向にある。親と教師が子どもの教育をていねいにフォローすれば、それぞれ個別の科目で知識が抜けている所に気づくようになるだろう。このような隙間にタイムリーに対処すること――家庭でも学校でも――によって、子どもたちはこの課目をもっと理解できるようになり、やがては良い点をとれるようになるだろう。

小学校の成績の悪さの原因について、生徒と教師はおそらく互いに非難し続けるだろう。しかし、彼らのいろいろな意見のなかから、考えるべき重要なことが二点で出てくる。一つは生徒が授業をよく理解するように助ける必要があること、もう一つは、子どもの教育に関わり責任をもつように親を援助する必要があるということだ。


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