Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2012年12月号 難民の雇用手続きと支払方法

2013年04月28日 | 人道支援
カクマ難民キャンプにおいては法の欠如により、管理人が自由に難民の雇用手続きや支払方法を決めている。

国内的にも国際的にも労働者の権利は認められるはずだが、ケニアの難民キャンプでは、難民労働者の規模や、彼らがどのような影響を受け、やる気や感謝の気持ちをどの程度持っているかを調べようとしても、UNHCRの統治下にも関わらず、そもそも国内法も国際法も見当たらない。

「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の第6.条1項においては「この規約の締約国は、労働の権利を認めるものとし、この権利を保障するため適当な措置をとる。この権利には、すべての者が自由に選択し又は承諾する労働によって生計を立てる機会を得る権利を含む」と謳っている。インセンティブ労働者(奨励金をもらって働く難民労働者)のポールは「カクマ難民キャンプには権利も選択も生計を立てる機会も皆無だ」と言う。

「難民が働く権利を主張するには、まず労働許可が必要だ。しかしケニア政府は難民にキャンプや都市で働く許可を出してくれない」とも言っている。

キャンプの住民によると、政府は難民認定された人にも労働許可を一切出していない。ところが、キャンプの中では管理主任たちが作った指針に従いインセンティブ労働者は働くことができる。カクマキャンプの中でなぜ二通りの法律がまかり通るのか、はっきりしていない。IRCの報酬に関する指針では「ケニアの法律のもとで難民は給与を得ることができない。しかし『
奨励金(インセンティブ)』を受け取ることは許される」となっている。難民労働者はが「インセンティブスタッフ」と呼ばれるのは、こうした支払方法に由来する。

難民キャンプの中で、なぜ政府は自らの法律と矛盾する行為を許しているのかという疑問が残る。政府は得をするのだろうか。難民としては、キャンプ内でより良い報酬を主張するはずのUNHCRにその気がないのだと考えざるを得ない。もっと言えば、UNHCRはこうした不当な扱いや他の権利侵害の責任を取るべきだ。

〈キャンプにおけるインセンティブ労働者の採用プロセス〉

インセンティブ労働者の職はバラエティに富んでいる。地域医療労働者、大工、石工、警備員、教師、看護師、臨床医師、農林業労働者、水道技師などである。多くの団体のインセンティブスタッフの勤め口はキャンプのお知らせボードに掲載され、難民は欠員を満たすために申込書を提出する。
インセンティブスタッフ希望者はその仕事をこなす能力があるかどうかを証明するため、面接を受ける。しかし、賃金の交渉をする機会は与えられない。難民には、仕事を自由に選択し整形を立てる権利が認められない。

権利は認められなくてもニーズはある。難民は働いて能力を磨き、もっと経験を積みたいと思っている。難民は祖国で数々の争いを経験し、その痛みを未だに抱えているにもかかわらず、またしても、弱者の立場に置かれ、不利な仕事に付かざるを得ない。

多くの団体は難民とは契約書を交わすことはないが、中には「同意書」を使い、数か月から1年の契約期間や、月単位の報奨金の表示する団体もある。その額は、UNHCRの基準に従い、$93.75(7500Ksh)から$31.25(2500Ksh)である。

その同じ書類には、難民労働者であっても、報奨金を受け取るからには、地方あるいは中央政府当局により課される法的義務や課徴金などの支払義務を果たさなければならないことが書かれている。

〈難民労働者の不当解雇〉

世界人権宣言(UDHR)第23条(1)(2)(3)(4)によると、人は自由な雇用の選択に加え、校正で好ましい労働環境、同等の仕事に対して同等の報酬を受ける権利、それに労働者の利益を守るために労働組合を作り、それに加入する権利を持っている。

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約にもUDHRにも、政府とその職を選んだ個人の両者に、それを保護するための適切な手段をとる責任があると記載されている。といころがカクマキャンプでは、こうした権利はいろいろな意味で否定されている。様々な会合や毎年行われる運営反省会で、難民労働者はいつもインセンティブの増額に関する懸念を表明している。その希望が受け入れられないと分かったときの唯一の交渉手段は、ストライキをして同意書への署名を拒むことである。

報酬の増額を交渉しようとした者たちは、契約を終了するかストライキをした日数分の報酬を削ると脅された。2007年ケニア雇用法第6条、つまり解雇と免職に関する41条(1)(2)では、雇用者は従業員にわかりやすい言葉で彼あるいは彼女がなぜ解雇になったかを説明する必要があると、説いている。しかしそれ以上に重要なのは、従業員が自らの主張を申し立する機会を与えられることである。多くが仕事を不当に解雇されるが、役人の決断に抗議をする者はいない。どこの弁護士も団体も、わざわざ出てきてインセンティブ労働者の問題を是正しようとはしない。

2001年頃、キャンプで教師たちの苦情を解決することを目的に、難民の教師たちがKATECOという組織を形成した。設立後すぐに、組織は交通手段と教師たちのインセンティブという重要な問題をUNHCRやケニア政府と最優先に話し合うことに着手した。そして難民教師たちをまとめるのに時間を費やし、すべての会員たちに組織の資金のために貢献し運営管理にかかわるよう要請した。

その手始めとして、キャンプのすべての職の雇用に関して国籍を問わずに平等にすること、考慮されるのは従業員の地位と教育レベルのみとすることを取り上げようとした。会員と何回も会合を開き、UNHCRを労働者の雇用と権利の問題に関与させようとした結果、KATECOは難民を扇動し、難民キャンプの管理を乱す組織とみなされた。難民教師の福祉団体として登録する試みは、UNHCRの抵抗により失敗に終わり自然消滅してしまった。

〈雇用における権利と義務〉

難民は人間として、またケニアの労働者として、雇用からの利益を得るはずである。ケニア就労条例(KEA)2007は、雇用期間中の労働者の権利と義務の何たるかを説明している。それらは雇用の基本的最低限の条件、就労時間、年次休暇、産休、病気休暇、住宅、水、食事や衛生管理などに渡る。

理論的には一日の就労時間は8時間である。しかし多くの難民労働者は職場までの交通手段がなく結果として歩くしかない。朝7時に家を出て夜6時に帰宅することになる。朝食も昼食も提供されない。KEA第V条、雇用の権利と義務29(1)によると、女性の従業員は3か月の産休で満額の給料が支払われることになっている。しかし難民の休暇書式3によると、女性難民の産休は就業日のうちの40日しか認められていない。

KEAでは、男性従業員の父親産休として2週間の権利が与えられている。ところが難民労働者に対しては、休暇書式によると7日間の満額報酬が支払われるのみである。病気休暇に関しては例外的でKEAと難民労働者の指針とも、年に12日間である。住宅事情、食事環境、衛生管理においては、難民労働者と難民以外の団体スタッフの間に大きな違いがある。

高給取りが薄給の者たちの運命を決めている。10年前なら、難民もこの方針に満足していたかもしれない。しかし現在、難民たちは政策転換を求めて立ち上がっている。次のステップは何であろうか。法のないところでは人が人をあやつるのは明白である。問題は、その政策転換で、だれが利益をこうむり、だれが損をするかということだ。



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