松ひとり言

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武士道と言うは死ぬ事と見つけたり!

2013年10月01日 18時22分41秒 | 日記

≪葉隠≫の代名詞ともなっているこの言葉、戦時中は曲解して

多くの人々が自らの命を絶ったという・・・・・

武士と申すは,何時如何なる時にも死ねる覚悟が必要である

平たく言えば、死ぬる事を恐れず武士らしき道を歩めと言う事

人間死ぬ覚悟が出来たとき、本来の生に目覚めるものであると

まだまだ凡人である私なんぞ・・・・・死が恐ろしくてなりませぬ

さて、本題に入りましょう・・詩吟で表現したいのが「生と死」です

昭和44年に行われた京都府詩吟連盟主催の吟士権大会

前年度、準優勝だった私、優勝して当たり前という立場にあった

4月から三ヶ月に亘って【第一次・第二次・本選】と行われる、

6月の本選では上位10人が吟題を変えて再度、決戦を行う

この決戦で吟じる詩を前年から選んで、優勝に向け猛練習

その吟題は、桜田門外の変にて見事井伊直弼の首を刎ねた

水戸藩士17人の中の一人、佐野竹之助の詩「出郷の作」

この時竹之助は若干22才、刀より三味線が似合ったほどのイケメン??

水戸藩主徳川斉昭を無期限の蟄居に追い込んだ井伊直弼を

”もうこれ以上生かしておくわけにはいかぬ”と決然と立ち上がった、

     

          決然国を去って天涯に向こう

         生別又兼ぬ死別の時   

       弟妹は知らず阿兄の志

          慇懃に袖を牽いて帰期を問う 

決然(死を覚悟で) 天涯に、(この詩では江戸を指す)旅立つ

幼い弟・妹との最後の別れである、(生別は死別を兼ねている)

しかし、幼い二人には兄の志が分ろうはずもなく、無邪気に

両袖を引っ張りながら「兄上、今度は何時のお帰り?・・・」

これが最後の別れ!・・・・・とは云えない兄の胸のうちを

吟で表現しなければ優勝は出来ない、

吟ずる私が胸を詰まらせたのだ!・・・

聞く人に感動を与えられない筈がない・・・

ウルウル来た場所を今度は、聞き手にウルウルを・・・

”袖を牽いて”の表現次第で竹之助に乗り移れる・・・

泣き声を上手く使えたら、・・・・・一年間この詩に懸けました

もう一箇所・・・最大の緊迫感が必要となる、吟じ始め!

当日、まず優勝カップの前へ行き、お持ち帰りの約束を・・・

そして・・・念願の初優勝を果たすことが出来たのです。