理系母の療育と自閉症児の成長の記録

3歳で自閉症スペクトラムと診断された息子。約3年でDQ57→97。14歳で診断が外れ,高校受験を経て通常学級デビュー。

字を書き始めるまで3 その他の工夫

2017-08-08 15:02:20 | 発達障害

息子がきちんと鉛筆を持って字を書き始めるまでの大まかな道のりについてはこれまでのブログに書いたとおりですが,息子がすべてのひらがなや数字を覚え,安定して席について字を書けるようにするために,直接的なもの,間接的なものも含め,様々なアプローチをとりました。

 

とはいってもそれほど大層なものはありません。私は仕事を続けていたため,息子につきっきりで何かを教えるための時間があまりとれません。平日ではせいぜい1日15〜30分程度です。その一方で,息子は暇を持て余している時間が保育園から帰った後でも存分にありました。私が夕食や朝食の準備や片付け,その他諸々の家事をこなしている間,息子は何もすることがないので,その時間を最大限有効利用できるよう,息子が自分一人でできるものが中心です。

 

また,私がする家事の中で,指先の訓練につながるようなものを手伝ってもらうことにしました(お手伝いをしてもらう方法については別記事「お手伝いは現金報酬で交渉」を参照)。

 

下図のモチベーション以外の3つの課題別に紹介します。

 

字の認識

・こどもチャレンジの「ひらがなのうた」

息子は言葉はあまり覚えないものの,歌のメロディーを覚えるのが得意だったので,歌で攻めてみました。YouTubeで見られるこどもチャレンジの「ひらがなのうた」は,「あいうえお」に始まり「わをん」で終わるまで余計な歌詞がない非常にシンプルな構成になっており,メロディーとともに各文字が強調されるので,文字と読み方(音)を対応させるのに非常に役立ちました。また,この歌を覚えてからは,お風呂のひらがなポスターを見ながら一緒に歌うなど,ひらがな表をよく注意して見てくれるようになりました。

 

微細運動

・ くもんの幼児ドリル

めいろ,ひらがな,きりえ,など。

本屋やネットショップで購入。これらのドリル課題は付き添って一緒にやりました。

 

・ シールブック

市販のもの。シールを貼るのも意外と手先を使います。

 

・ ぷりんときっずの無料学習プリント

ぷりんときっず」のめいろ,点つなぎ,ひらがな,かたかな,など。無料とは思えないほど充実したラインナップ。

 

 ・ サラダ野菜の栽培と収穫

ブログ「いつでもレタス」を参考に,100円ショップのトレイ&ザルを使ってベランダで水耕栽培。種をつまんだり,ハサミを使って葉の基部を切ったりするのが指先のトレーニングになったほか,苦手だった野菜が食べられるようになり,一石二鳥。

 

 ・洗濯物干し

うちでは洗濯を仕事から帰ってから回し,夜間に除湿機を使って室内干しをしていたので,洗濯物を干すのを手伝ってもらいました。室内用つっぱり洗濯物干しの高さを調節して洗濯ハンガーを子どもの目線くらいに吊るし,自分の洗濯物を自力で干せるように工夫。最初は片手で洗濯バサミを開閉するのがとても難しく,洗濯物をただはさむのがやっとでした。よれていたり重なっていたりするのを見るとつい直したくなりましたが,本人の努力を尊重し,しばらくはそのままにしました。そして握力がついて洗濯バサミを簡単に操作できるようになったころ,綺麗に広げる方法を教えました。

 

・パン作り 

ホームベーカリー+αの工夫で,時間がなくても夜,仕込んで朝,焼きたてバターロールが食べられます。「パン記事こねて指先訓練 夜まるめて朝焼きたてパンを食べる」をご参照ください。

 

姿勢制御

・室内ジャングルジム

これでずっと遊び続けることはあまりないのですが,ちょっとした空き時間にすぐよじ登るので,1日にすると最低でも10〜20分は登っています。こういった室内用のそれほど怖くない遊具に慣れると,公園の大型遊具やアスレチックなどにもチャレンジしやすくなります。

 

・ピーナツ型バランスボール

球形のバランスボールよりも安定性があり,真ん中のくぼみに馬乗りになって遊んでいます。これもちょっとした空き時間に1人でよく乗っています。

 

・Xbox 360 キネクト

過去記事「キネクトで全身運動 療育に使えるゲームあれこれ」をご参照ください。

 


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お手伝いは現金報酬で交渉

2017-08-08 15:00:41 | 発達障害

「これ手伝って」とお願いをしてほいほい手伝ってくれるような子なら,こんな苦労はありません。一般的な子どもがよく反応する「ごほうびシール」も反応なし。先の見通しの苦手な自閉症児,シールを貼って貯めたところで得られる報酬がわかりにくかったのでしょうね。

そこでうちでは現金報酬を導入しました。1回のお手伝いにつき内容に応じて30〜50円の報酬を即時現金払い。この金額だと2〜3回お手伝いをすると保育園の帰り道にある100円ショップで好きなおもちゃを自分で買えるので,それがモチベーションとなり,家事を手伝ってくれるようになりました。

ただ,これを成功させるにはいくつかポイントがあるので以下に記します。

 

・ 欲しいものは必ず自分のお金で買わせる

「あとでお手伝いするから買って〜」などの要求をしてくることがありますが,一度をそれ許可すると子どもは学習し,同じ戦法を何度も使ってきます。ここは毅然とした態度で臨み,ルールを絶対に曲げないようにします。お店で1時間以上大泣きされたこともありますが,「母は絶対にゆずらない」ことをひとたび学習すれば,大泣きされることは減ります。ある程度わかるようになってからは,出先で手持ちがないときの家での後払いを許可しました。クリスマスプレゼントや祖父母からのプレゼントは普通にあげていましたが,自分のお小遣いで自分の好きなものを買うのには十分有効でした。

 

・ 報酬を明示する

「この洗濯物を干したら50円あげる」と,口で説明してもよいのですが,報酬表を作って「せんたくものほし 50えん」などと書いた紙を壁に貼っておくのも手です。明文化すると,たとえ字が読めなかったとしても,そこに書かれた内容が自分だけでなく母も守るべき平等なルールとして認識されるのか,口約束以上の効果があるように感じました。本人にとってもその紙を指差せば報酬を請求しやすくなり,お手伝いに対するやる気がアップします。

 

・ イレギュラーで桁違いなお小遣いをあげないよう,家族に伝えておく

私としてはお手伝い1回50円の報酬は高すぎるかな?と悩む額なのに,夫や祖父母がちょっとしたことで数百円,数千円のお小遣いをあげてしまうとすべて台無しに。なので,家族にはあらかじめその旨を伝え,子どもに対するごほうびは別の形であげてもらうよう相談しておくことをお勧めします。

 

 

 

 

 


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