プロジェクト・マネジメントの要諦The Key to Project Management

0 → 1
1 → A
ゼロから新たに生みだす。既にあるものを作り替える。
楽しみながら考えていきましょう

Prince2 Agile – ケネヴィン

2017-11-24 | 日記
ケネヴィン・フレームーワーク(Cynefin framework)をご存じでしょうか。
デイヴィッド・スノーデン氏がIBM在籍時に考案したフレームワークです。
今置かれた状況の複雑さを理解し、どのように行動していくのが最適かを説いています。
ケネヴィンには5つのドメインがあります。
1. Obvious/Simple
2. Complicated
3. Complex
4. Chaotic
5. Disorder
Obviousはわかりやすい状況です。1+1=2、2x2=4等、置かれた状況が明らかで、行動と結果の因果関係が掴みやすい状況です。
例えば、友人の車を借りて運転する場合、座席の位置やスペックの違いはあっても、アクセルを踏めば進みますし、左足で踏み込めばブレーキがかかります。ハンドルを右に回せば右に曲がります。当然ですよね。
二つ目のComplicatedは因果関係が複雑になってきます。
例えば、初めてランボルギーニ・ウラカンに乗り込んだ時。足を前に投げ出して、アイポイントの低さに驚きながら、センターコンソールに目をやると、やたらスイッチやらボタンが並んでいるのに気づきます。真ん中の赤いボタンは? 開発したエンジニアかディーラーに説明してほしいですよね。じっくり観察し、専門家にアドバイスを受けたいのがComplicatedドメインです。
3つめはComplex。これはさらに複雑です。今まで見たことも乗ったこともないインディペンデンスデイの宇宙人が乗る戦闘機に乗り込む心境です。ハンドルがありますが、引けばよいのか押せばよいのかわかりません。このようなケースでは、探索しながらパターンや法則を見いだしていきます。赤いボタンを押したら、浮いたとか。青いボタンを押したら前に進んだとか、試しながら学習していきます。既存の因果関係があてはまらないので探りながら新たな法則を構築していきます。
4つめはChaotic。これは因果関係がわからないことに加え、緊急事態を指します。前の例で黒いボタンを押したらコックピットから発火したとか。まずは火を消すことが先決です。じっくり観察したり、専門家のアドバイスを聞いたり、実験してみたりする時間的余裕はありません。火を消した上で、自分が置かれた状況がComplicatedなのかComplexなのか判断します。
5つめはDisorder。これは自分の置かれた状況がわからない状態です。ここからObvious, Complicated, Complex, Chaoticのいずれかに移ります。
アジャイル版プリンスでは、ケネヴィンモデルを使って、今置かれた状況を知り、どのように行動していくべきか判断するよう指南しています。
プロジェクトは大抵ComplicatedかComplexな状況で進んでいきます。Chaoticな局面では火消し作業を優先し、その後、おかれた状況の複雑さに応じて、最適な行動を選びます。
自分自身の置かれた状況が複雑であればあるほど、既成概念は意味をなさなくなります。じっくり観察しても解決の糸口は見えてきません。その道の専門家も少なくなります。そんな局面では、仮説と検証を繰り返しながらパターンをあぶりだしていくしかありません。アジャイルの漸進的なアプローチは、複雑であればあるほど威力を発揮する方法論だと言えます。

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