昨日の定休日、観劇してまいりました
待ちに待った星組の本公演
大好きなとうこさん(安蘭けいさん)にようやく会える・・・
演目は、ブロードウェイでも大ヒットしたミュージカル初の日本上陸『スカーレットピンパーネル』です。
今回も一階二列サブセンターと良席でした
前評判は多少聞いていましたが・・・予想以上にすごかったです! 最高でした!
この5年以内では、個人的にみて、一番素晴らしい作品でした(これまでは、ワタルさんとだんちゃん主演、でもとうこさん演じるアイーダが実質的なヒロインだった星組の『王家に捧ぐ歌』でした)
宝塚は、通常、お芝居とショーの二本立てですが、『ベルばら』や『風と共に・・・』などの大作では、
小休憩を挟んで約3時間、すべてがお芝居です。
今回の『スカーレットピンパーネル』もそうでしたが、とにかく、おもしろいの何のって!
ラストのラストまで見ごたえたっぷりで、フィナーレが、いつもにも増してさみしく感じました(>_<)
わたしは友人に「マキは一人で5人分の拍手をする」(つまり拍手の音がデカイ)と言われていますが、今回は軽く、一人で10人分の拍手をしてもまだ足りないくらいでした。
舞台は、革命後、1794年のフランス。
自由と平等と友愛を旗印に開始されたフランス革命だったが、
5年後のフランスは、そんな理想を打ち破るかのような恐怖政治の重苦しく暗い雰囲気に覆われていた。
罪のない者たちが次々にギロチンにかけられ、恐怖政治はますます本格化していく・・・。
フランスの女優(あすかちゃん演じるマルグリット)と結婚した、イギリス貴族のパーシー・ブレイクニー(とうこさん演じる)には、
妻にも知らない、もうひとつの顔があった。
「スカーレット・ピンパーネル」(紅はこべ)の紋章を遺す秘密組織を率いて、
フランス革命政府に捕われていた無実の人々を救い出していたのだ。
まあ、こんな感じのストーリーです(説明不足もいいところ・・・^_^;)。
今回のとうこさんは、誰もが憧れるヒーロー!
しかし、演じるのがとうこさんですからただのヒーローではありません。
とうこさんのメイクの巧さと美しさは有名ですが、今回のメイクがまた、めちゃくちゃ素敵だった!
あすかちゃんはどんどんキレイになって貫禄を帯びてくるし、ちえちゃんの悪役も見ごたえがあったし、
ブロードウェイの作曲家・フランク・ワイルドホーンが宝塚のために書き下ろした
『ひとかけらの勇気』も、うっとりするほど素敵な曲で、
帰り道、ずーぅっと口ずさんでいました^_^;
まだ初日から3日目だったので、これからもっともっと良くなっていくでしょうね。
何度でも観にいきたい作品でした
良いお席のチケットを取るのは毎回至難の業ですが^_^;
コレクションしているプログラム、今回は、写真集つき(1500円)もあったので、こちらにしました
はなのみちは、あじさいのみちと化しておりました
風流ですねぇ
あじさいの花からは、心地よい冷気を感じます・・・
さて。
宝塚に感動し、いい気持ちで帰り着いたわたしに、とんでもない悲劇が待ち受けておりました。
敬愛する作家「浅田次郎」のエッセイ『勇気凛々ルリの色』風に書いてみたいと思います。
お時間のあるみなさま、よかったらご一読くださいまし・・・
『・・・それは突然やってきた。何の前触れもなく。
わたしは自分が何か、何か大変なものを足の裏で踏んづけてしまったことを知った。
その感触は言葉にならない。あえて言うなら、にゅるにゅるとした、
足の裏で感じる感触としては、一番耐え難いものである。
心も体も凍りついた。背中に戦慄が走る。微動だにできない。
いったい・・・いったいあたしゃ何を踏んづけてしまったのだろうか。
この感触・・・これはもしや・・・もしかしたら・・・!
ああっ、誰か嘘だと言ってっ!!
この時期、緑の多いこの辺りではナメクジが頻繁に出没する。
二階の自室ではまだ見たことはないが、一階(店)のトイレで何度か見かけたことがある。
そのたびに、ほとんど泣きながらティッシュを使って捕まえ、
「ふぉぉぉっ!」などと奇声を上げながら、窓の外に放り出したものだ。
だいたい、ナメクジというのは、奇怪すぎて、その存在価値がわからない。
いや、きっと、生物学的には価値はあるのだろう。しかし、そんなことは知りたくもないし聞きたくもないし、知ったからといって聞いたからといって、
ナメクジのキモさの何が変わるというのだ。
彼らは見つけたとき、たいていは死んだフリをしている。いや、もともと、あまり動かないのだ。
白い体をテカテカと不気味に光らせ、壁などにへばりついている。
その姿は、あまりにも怖ろしく、異様で奇怪である。
間違いない。
このニュルッとした筆舌し難い不気味な感触。
それ以外に何があるというのだ?
わたしは、ナメクジらしきものを踏んづけている右足をそっと上げた。
しかし、あまりの恐ろしさに体が硬直してしてしまい、
右足を少し上げた哀れな格好のまま、しばらくじっとしていた。
困難が・・・またわたしの身に降りかかった・・・。
わたしは、自分の運命を呪った。
これも、わたしが生まれる前からセットしていたことなのだろうか!?
2008年・6月23日、午後10時30分ごろ、ナメクジを踏みつけ、窮地に追い込まれる、と。(いや、それはないだろう)
傍らではルウが、訝しげにわたしを見上げている・・・。
こんなとき、ダーがいれば、素手で摑んで外へ放り出してくれたことだろう。
彼はゴキブリを素手で操れるほどのツワモノであった。
わたしが、彼の仕事場で、ゴキブリを見つけて泣き叫んでいるときに、
「ゴキブリはかわいそうだね。ただゴキブリだということでこんなにも毛嫌いされて。
同じ生き物なのに。マキはゴキブリとの共存を考えてみるべきだ」などと一般人には到底通じない持論を持ち出し、
わたしは、彼と一緒に暮らすことに一抹の不安を感じたこともある。
ゴキブリとの共存を考える、など、凡人のわたしには、理解不可能である。
そんなことを真剣に考えるより、わたしは、店の掃除をしなければならないのだ。皿を洗わなければならないのだ。
彼は獣医師である前に、生物学者であり、長年、日本住血吸虫などという、今の日本では誰も知らないような
けったいな寄生虫を研究していた。
ミクロフィラリアの研究者でもあった。
彼はこれらの寄生虫のこととなると我を忘れ、わたしがアクビをかみ殺していることにも気づかず延々と話し続けた。
そして、彼はコウモリの生態を知る、という名目で、コウモリを飼っていたこともある。
カラスの生態を知る、という名目で、ケガをしたカラスを治療しながら飼っていたこともある。
病気のアヒルを、治療のためとはいえ委託者から譲り受け、九州の、彼の仕事場の近所の人に
「・・・アヒルを飼っているんですか?」と馬鹿げた質問をされたこともある。それに応えたのはわたしであった。
わたしは「知りません」と言った。あさっての方を向きながら、シラーッとして応えてやった。
もちろん、ただの純粋な質問であれば愛想よく応えたが、いかにも、見下げた様子であったからである。
わたしはアヒルを飼うのはイヤであったが、田舎のうるさ型のオバチャンに
いちいち言う必要などない、と思ったのである。
ほっといてくれ、ということである。アヒルはアンタを噛みやしないさ、ということである。
また、彼は『光虫』を見つける、と言って、真夜中に何度も家を出て探しに行ったこともある。
めずらしい虫を発見するたび、彼は子供のように騒いで、それを虫かごに入れ、親身に世話をしていた・・・
つまり、彼は、ヒジョーに変わり者であった。
それはさておき・・・。
このままではいられない。何とかこの足の裏にへばりついている物体、たぶんナメクジを取り除かなければ!
今考えると、風呂場で足を洗うというのが一番簡単で楽であったにも関わらず、
錯乱状態では、そのことに気づかず、
わたしはベランダの縁の部分に足の裏をこすり付けて
その物体をこそぎ落とすことにした。
かなりの勇気が必要であった。30数年生きてきた中には、いろいろな災難があった。
また詳しく書くが、わたしは、ムカデに噛まれて、左腕が子供用のサッカーボールほどに腫れ上がった経験を持っている(マジである)。
二度と思い出したくないほどの強烈な体験であったため、これまで書けなかったのだ。
大阪で生まれ育った人間が、そんな目に遭う確率はほとんどない(だからそれはダーが単身いた九州のド田舎での出来事であった)。
医者でさえも、「災難だったねぇ・・・大阪から来た人がこんな目に遭うなんてねぇぇ・・・」と同情してくれたほどだ。
しかし、同情の言葉の割には、顔が半笑いであったのが気に食わなかった。
そうだ。あの時の恐怖と比べたら、こんなことは何でもないじゃないか。
ムカデとナメクジ。どちらもわたしにとっては悪魔であるが、少なくともナメクジは人に危害を加えたりしない。
・・・もうやるしかない。マキよ、勇気を出せ、その足を縁にこすり付けるのだ!!!
君はローズパーティの経営者ではないか!! お客様のためにもがんばるのだ!!!(ぜんぜん関係ない)
たくさんのお客様の笑顔が脳裏に浮かんだ。お会いしたことのない通販のお客様方の名前も浮かんだ。
(みなさん・・・わたしは今、大変な目に遭っています・・・)わたしは心の中、涙ながらに訴えた。
しかし、今、この時、わたしがこのような窮地に追い込まれていることを、この世の誰に知る術があろうか。
両親ですら知らない(当たり前である)。
それどころか、父はビール片手にテレビを観ながら大笑いしているかもしれないし、母は風呂に入りながら、フフーン、などと鼻歌を歌っているかもしれない。
ダーは知っているはずだ。見ているはずだ。だが、助けてはくれない。頼りにならないヤツである。
いや、そうなのだ、これはわたしだけに与えられた試練なのだー!
わたしはなけなしの勇気をかき集め、声にならない声を上げながら、足の裏を縁にこすりつけた。
わたしは神に祈った!
「どうか、一刻も早く、わたしの足の裏を解放してくださいっっ!!」
なんという、馬鹿げた祈りであろうか。神も脱力しそうな祈りである。
しかし、かつて、これほど強く、心の底から神に祈ったことがあったであろうか!?
わたしは渾身の力をふりしぼり、祈った!!
数秒ののち、願いが叶い、足の裏から何かがペロンと剥がれた。
わたしは両手を床につきながら後ずさった。腰が抜けているようであった。
極度の緊張と不安で、もはや瀕死状態である。
ふと、見ると、わたしの一連の行動を訝しげに見つめていたルウもわたしといっしょに後ずさりしている。
普段汗をかかないわたしの額から、玉のような汗が滴り落ちてくる。冷や汗である。
心臓は爆発寸前である。足の裏は解放されても心臓発作を起こしたら元も子もない。
わたしは闇の中、目を凝らした。
こそげ落とされたものを確認しなければならない。見たくはなかったが、ナメクジであったなら、
ベランダから外へ投げ捨てなければならない。
そう、足の裏が解放されたからといって、これで終わりではないのだ。
目の悪いわたしは、さらに目を凝らした。そこにあったのは・・・なんと・・・なんと!!
・・・ワカメであった・・・
大きめにカットされたワカメであった・・・
わたしはワカメが好きである。大好物である。「ふえるワカメ」は3日でなくなる(すごい量である)。
この時期は、毎日のようにワカメとじゃこの酢の物を食す。
ちなみに、じゃこを美味しいとは思わないが、魚をあまり食べないので無理やり毎日食べることにしている。
今夜の夕食にも、それは大切な献立の一つとして食卓に上がっていた。
・・・なんや、ワカメやったんか・・・
わたしは、この数分の間、自分が体験した死ぬほどの恐怖はいったいなんだったのだろう・・・と
放心したような気持ちで考えた。
わたしは前髪を掻きあげ、ため息をついた・・・。
一気に10も歳をとった気分であった・・・。
ちゃんちゃん。』
ただいま大変大変ご注文が混みあっております。
くだらないエッセイを書いている暇などないのですが、書きたかったのです。
スミマセン。
何卒よろしくお願いいたします・・・^_^;