先日放送した、NHK新日本風土記「おわら風の盆」を観て、直木賞作家高橋治の小説「風の盆恋歌」を読み直してみた。
読まれた方もいると思います。
この年齢になって、恋愛小説を読むなど思いもしていなかった。
単行本は久しぶり。
今の私には文字が小さくて流し読みは無理。
文字を指で追いながらでないと、行が飛んでしまう。
260ページに6日もかかった。
読み終えた感想です。
35年前頃の既読だから、内容はほとんど飛んでしまっていた。
前述(2023.9.2ブログ掲載)で、不倫の小説の印象しか記憶がないと書いた。
おわら風の盆を、文字だけでここまで美しく表現できるのはさすが直木賞作家。
八尾の街の風景や、越中おわら風の盆の幻想的な踊りと街の人々を詳しく描写し、
行ったこともないのに、哀愁を帯びた三味線と胡弓、太鼓などの地方(じかた)に踊り子の街流しが通り過ぎて行く
文字を追うごとに目に浮かぶ。
ドロドロとしたものではない、八尾町に生きる人たちの二人を見守る暖かな目も優しい。
風の盆に合わせ、年に一度の二人の逢瀬に、だんだん引き込まれる。
多少幻想的な小説でもあるが。
ただ
いろんな生き方はあるが、不倫に共感などできない。
これは小説のこと。
そう思う。
切なく侘しく、結末は悲劇的な悲恋物語だ。
石川さゆりの「風の盆恋歌」の歌を聴いて、小説の場面が思い浮かび、ゾクッとした。
風の盆恋歌 石川さゆり