昼食後にテレビをつけたら、コマーシャルが出てきた。「ガラガラポンのクルリンパーで、はい、この通り」--「ほんとう?」---「ご安心ください、○ナックスの渡辺(?)です」という、トイレ洗浄の広告。そんなこと言われたって、顔見知りでもない渡辺さんをどうやって信じろというのか?
「絶対にもうかります!」という、金融商品の勧誘言葉と同じ。信じろ、というのが無理なのだ。このように、日常使う言葉で全く無駄なものがある。ニュアンスは異なるが以下に実例を述べる。
▼泥棒やスリなどを追いかけながら、「待てぇ-」と叫ぶあれである。言われた犯人が、待つとでも思ってるの?
若いころ、夜になると私の下宿によく遊びに来る優秀な生徒がいた。彼はその日、学校であったことをよく私に話した。
体育の時間に、悪さをして教師に追いかけられたというのだ。グランドで「マテェー」と言われて、広いグランドを走って逃げた。だが、高3の彼のほうが速やくて、体育教師は息もゼエゼイ。彼は走りながら考えた。教師もああやって一生懸命に走っているし、立場も考えてあげないということで、もう一周適当に走ってから、捕まえてもらって、殴られてあげたそうだ。
▼高熱にうなされたり、瀕死の重傷を負ったとする。周囲の者が、「おい、大丈夫か」と心配して身体をゆする。声も出ない重傷者が大丈夫のはずがないではないか。私の場合、「ダメ」と答えることにしているが、まさか、生死の確認のためだけの返事を要求しているのではないだろうね。
▼昔、幸田露伴の詩を校歌にしていた高校に勤務していた。朝、京成船橋駅ホームで毎朝聞かされたアナウンスがある。
「危ないですから下がって下さい」と先ず第一声。何行きが来るのかと次のアナウンスに耳をそばだてる。
ご承知のように、大きく上野方面と西馬込方面に分かれ、それぞれが、特急・急行・準急・普通と、いろいろな電車が来る。「まもなく1番線に---ここでかなりの間あってから---電車がまいります」
昔の木原線ではあるまいし、猪が突っ込んで来るとでも言うのか!俺の知りたいのは、電車が特急西馬込行き かどうかなんだ!
*夷隅鉄道のみなさん、おちょくってすみません。だって、本当なのです。私が茂原で教師をやっていたころ、あちらから登校してくる生徒がよく言っていましたよ。連結車両にイノシシが乗っていたとか--。(話はそれますが、大昔は夷隅ではなく、「夷住」と書いていたらしい。そうなると、これは民俗学の分野。また語りたくなりますが、今日のところはやめておきます。)