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崎谷博征       動脈硬化はやはり「食」の変化がもたらした!

2013年04月23日 14時45分50秒 | 色んな情報
崎谷博征       動脈硬化はやはり「食」の変化がもたらした!


米ミズーリ大学の調査で世界4地域の前近代におけるミイラ137体に全身CTを実施し,全ての地域で動脈硬化が確認されたと発表しました(The Lancet, Volume 381, Issue 9873, Pages 1211 - 1222, 6 April 2013)。

... 世界の4つの異なる地域,異なる文化圏におけるミイラ計137体に全身CTを実施。平均死亡年齢は36歳(SD 15歳)で,

地域の内訳は,
古代エジプト人76体(BC 3100年~AD 364年)
古代ペルー人51体(AD 200~1500年)
アメリカンインディアンの祖先であるプエブロ人5体(BC 1500年~AD 1500年)
アリューシャン列島の狩猟採集民ウナンガン5体(AD 1756~1930年) 



動脈壁に石灰化したプラークがあった場合を動脈硬化と断定し,動脈と思われるコースに沿って石灰化があった場合は動脈硬化の可能性が高いとしたようです。

その結果,断定されたあるいは可能性が高いとされた動脈硬化は,137体中47体(34%)に認められたといいます(断定例は25体)。


古代エジプト人では76体中29体(38%)
古代ペルー人で51体中13体(25%)
プエブロ人で5体中2体(40%)
ウナンガンで5体中3体(60%)


死亡年齢は動脈硬化と相関し,動脈硬化があるミイラの死亡平均年齢43歳(SD10歳)に対し,ない場合は32歳(同15歳)だったといいます。これは加齢とともに動脈硬化がみられるという現代人の特徴と同じです。

古代エジプト人は,栽培したコムギ,オオムギ,ナツメヤシの実,オリーブ,豆,ジャガイモなど

古代ペルー人は,栽培したトウモロコシ,ジャガイモ,サツマイモなど

狩猟採集と農耕を行っていたプエブロ人は,栽培したトウモロコシとカボチャ,採集した松の実,種子などを

ウナンガンは海獣、採取した海産物,ベリーなどを
摂取していたといいます。



いずれの文化圏も動物や魚を食べていましたが,古代エジプト人は主に家畜を,ウナンガンは海生哺乳類を摂取していたようです。

なお,エジプトやペルーでは調理を屋外で行っていましたが,プエブロ人やウナンガンは調理や暖取り,灯り取りのために屋内で火を用い,特にウナンガンは煙への曝露リスクが高かったとしています。

この結果を見て、研究者はなんと「農耕開始前の狩猟採集民を含め,人類の長い歴史において動脈硬化が一般的であったことを示唆している。動脈硬化は特定の食物や生活習慣によるものではなく,加齢の固有要素である」と考察しています!

これは私とは解釈が180度異なります。

たかだかこのミイラは、古くても5千年前のものです。したがって、1万年前の農耕革命が起こり、穀物を多く摂取してからは、動脈硬化という慢性病の病態が起こっていたことがはっきりと分かる結果になっているのです。


この中で唯一、ウナンガンが農耕をしておらず、穀物を食べていないのにもかかわらず、動脈硬化があったのは海獣の調理方法にあったのかも知れません。これは今後さらに調査が必要になると思います。

同じ研究結果を見ても、その解釈が違うのは興味深いです。