今日は中村蓉さん構成・振付・出演のコンテンポラリーダンス『√オーランドー』で東京芸術劇場シアターイースト。
ヴァージニア・ウルフ原作の、男から女になり300年以上生きるオーランドーの奇想天外な物語がベースだが、これを中村さんと公募で参加したアマチュアダンサーたちがモダン化、デフォルメ化、独創化した70分のコンテンポラリーダンス。
ダンスやバレエはオペラほど実演を観てないが、よかった、面白かった。
中村さんは見事なソロこそ10分だったが、15人のメンバーたちを振り付け、引っ張り、ともに踊りまくった。
メンバーはダンスを愛する経済学の教授、言語学の専門家、看護師など各界のスペシャリストで。かれらの専門的な知見により構成内容が創られたという。
難解な長いウルフのストーリーにそってステージは進んだ。
のだが突然、小津安二郎の「晩春」の音声が流れる。笠智衆が娘役の原節子に、私のことはいいから結婚して幸せになりなさいと諭す有名なシーン。ことほど作用に自由かつ創造的な公演だった。
満席のシアターイーストを埋める人々は新国立やサントリーホールで見るオペラ・クラシックの愛好家とは違う表情をしている。
公演後のアフタートークにもほぼ全員が残るほど熱気に溢れていた。そのトークの興味深く、それも含めてとても刺激的でわたしにとっては新鮮な公演だった。
中村さんは東京二期会のオペラに出演した「ルル」、「セルセ」を見て注目していたのだが、やっと今日本来のコンテンポラリーなものを見れた。コンテンポラリーダンスの魅力が少しわかった。とても楽しめたよ。