デール・マハリッジ「コロナ禍のアメリカを行く」(原書房、2021年、上京恵-訳)を読んだ。長年貧困、差別などの社会問題について書き、ピュリッツアー賞も受賞した作家だが、2020年半ば西から東へと旅して、コロナ禍で仕事を、住む場所を失った人々の現実を見つめたルポタージュ。GDP世界1のアメリカは、実は貧困がはびこり、セーフティネットがなく、生き延びることが厳しい国でもある。読むほどにそれが伝わっ . . . 本文を読む
三浦しをん「風が強く吹いている」に感動したのは、報われなかったのは頑張らなかったからではなく、報われなかったからといって絶望する必要はないという三浦さんのメッセージが心の琴線に深く迫ったからだった。続けて読んだ「まほろ駅前多田便利軒」は、失ったものが完全に戻ってくることはないにしても、幸福は再生する、形を変え様々な姿でという話だった。これほどぼくらに小説が必要だと思ったことが、かつてあったろう . . . 本文を読む
読書はもっぱら欧米の歴史、評伝、自伝と、政治・経済・社会の評論、それに音楽に関するもので。フィクションはあまり読まなくなってから久しいのだけれど、それでも時折り、何かのきっかけで、何かの作品を読みたくなるときがある。三浦しをん「風が強く吹いている」を手にとったのは何故だったのか。走ることが、生きることで、その意味を考え、迷い、逡巡し、それでも突き進んでいく若ものたちの話、みたいだったが。今の自 . . . 本文を読む