「違うんだ その様子を確認しに来ただけで…」
聖名はベッドの上ですっかり 怯えている。
「そんな、変なことしようとしたわけじゃないんだ。俺 そういうの 興味ないし 、男性にも興味ないし…」
「…」
「ごめん。 呼吸しているか、確認していただけなんだ」
「はあ?」
一瞬 2人とも沈黙で見つめあったが、
「とにかくセンパイ、 俺の部屋で寝ないで。ちょっとここは出て」
「ごめんな。 体温は…
「自分で 測りますから!」
俺はパニックのまま 聖名の部屋を出た。
どうしよう… 盗難の疑いをかけられても、会社にも迷惑がかかるし…
次に俺が気づいたのはあの端正な顔立ちの聖名に、男に襲われた体験があったらどうしようということだった。
それで、気の強い聖名が驚く以上に怯えてたのだとしたら…
自分が信頼を失う以上に、聖名を傷つけたかもしれないということの方が心配だった。
どうしよう、とリビングで立ち尽くしていると 聖名 から LINE が来た。
急いで読むと、
〈さっきはごめんなさい。 グラノーラが食べたいです〉
読み終わると同時に、まだ具合の悪そうな聖名が部屋から出てきた。