「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

●小説「傾国のラヴァーズ」74・聖名からのキス

2023-10-18 21:58:00 | 傾国のラヴァーズその61~70
 俺が落ちるのも目前だったが、どうしてその時俺は他の人の存在を尋ねなかったのだろう。

 ドキドキしていた俺は、疑いもしなかったということなのだろう。

 聖名には芝居がかったところなんて微塵もなかった。

 俺を丸め込むための演技とは思えなかった。

「聖名…」

 俺が名前を呼んだことで 聖名の中の恐れは少しなくなったらしい。
その様子を見て俺はまたセナを抱きしめてしまった。

「あ、翔真…」
 聖名の声は嬉しそうだった。
 
 そして…聖名の顔が近づいてくると、俺は頬に柔らかいものを感じて びっくりした。


 聖名からのキス…

 
 俺は驚きのあまり、 聖名をまた優しく抱きしめることしかできなかった。

 2人で無言のまま しばらく 抱き合っていた。

 経験のない俺には、どうすることもできない。

 俺が密かに困っていると、聖名はそっと 俺から体を離し、照れながら元気に、

「翔真、 着替え手伝うよ」
と俺の手を引っ張ったがすぐに顔を赤らめて目をそらし、

「今夜は翔真の 部屋に泊まってもいい? 」

「えっ? ああ…ベッド も広いし…」

言ってから俺も顔が赤らむのを感じたが、聖名も慌てて 、

「いや それが目当てであのベッドを買ったわけではないよ」

恥ずかしくて 、俺は自分の部屋に飛び込んで聖名を追い出した。




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