意外な答えに俺は驚いたが、
「ありがとうございます。でも、その必要には及びません。もともとこちらでの仕事が終わったら退職して、違う仕事を探すつもりでした 」
「えっ、どうして…? 」
俺は一瞬返事に困ったが、
「自分には向いてませんでした。疲れました。人の不幸に寄り添うことに。要人につくSPのように銃が持てるわけでもなく、権限があるわけでもない。もどかしいものを感じていて、それが今夜のことで抑えられなくなったのかなと思います」
どうしてか、すらすらと出た。
聖名はぼう然と立ち尽くしていた。