案の定、 聖名はぐったりと ソファーにもたれかかって座っていた。
「俺がやるから休んでろよ。カフェオレの方がよくないか?」
「あ、そうかも。お願いします」
カフェオレをひと口飲むと聖名は、
「矢野会長がとうとう 上京してくるんだって。俺を説得するために」
「え? いつ?」
俺は覚悟していたはずなのに、 言われると驚いた声をあげてしまった。
「2週間後…ごめん、 詳しいことは後で話すよ」
そこまで言うと、すぐに聖名はその場で目をつぶって眠り始めた。
俺は聖名の部屋から厚手の毛布を持ってきてかけてやった。
一人で寝るのが嫌だったように見えたからだ。
それで俺は彼のそばに座っていることにした
新聞を広げるのもうるさいだろうと俺は、スマホでニュースをチェックすることにした。
色々見ていくうちに、「与党のプリンス」とか「総理大臣候補」と書かれた、どこかで見た男性の写真とインタビューが出てきた。
(あ、さっきのニュースで見た人か…)
瀧川伸一郎。53才。
聖名と同じ某一流私大を卒業して…農林水産大臣…外務副大臣…最近ではLGBT問題に取り組む…など経歴は華々しい。
(でも、何か頼りなさそうに見えるなあ…)