俺の言葉を聞いて俺を見上げた聖名は、言葉をのみ込むようにロを堅く引き結んだ。
そこにまたFAXが流れてくる。今度は手書き、それも年配者の筆跡のように見えた。
…私の700万円を返して下さい。社長だなんていって、あなたのやっていることは結婚詐欺です…
異性関係だけかと思ったら…
…あなたは北海道の成田後援会スタッフの男の子にみだらな…
もう聖名は何も言わない。
それにしても、急にFAXが流れてきたのはなぜなのか。
聖名が帰ってきたのを見ていたとでもいうのだろうか。
「聖名、これ、俺の部屋に保管しておくね 」
すると聖名は突然叫び始めた。
「何のために? オレ、早く捨ててしまいたいんだけど! 」
「わかるけど、何かの証拠になるかもしれないだろう? 」
「証拠? 何のために? 証拠なんて何になるの? そんな、やってる人間もわからないのに…」
「何かの時に、警察にでも提出を求められるかも…」
「警察? 何で警察なの? オレを守ってくれるのはセンパイじゃないの? 」