佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

当科での画像処理について-3D作成編- 

2008年03月12日 06時54分11秒 | 診療紹介Q&A
 佐賀大学放射線科では、一部を除き放射線科医が、撮像したCT,MRIの画像処理も行っています。
 画像処理のワークステーションはAZE Virtual Placeを主に使用しています。
 株式会社AZEのホームページはこちら
 今回は画像処理の中でも、ボリュームレンダリング(VR)法で作成する3D画像のご紹介です。

 作例です。



 こちらは、右小脳橋角部腫瘍再発の術前CTということで脳外科から依頼を受けた症例です。作成時間は、少し手がかかっているので、概ね30~40分といったところです。腫瘤そのものは、乏血性のために造影CTで描出されないために3Dでも出すことは困難です。このため主に、開頭部と血管の位置関係や、骨と血管の位置関係を描出することを目的に作成しました。一度VRで画像を定めてしまえば、内視鏡モードを使用してより実際の手術に近いシミュレーションを行うことが可能です。
 当院の脳外科Drは多忙にもかかわらず、読影室奥のコンピュータ室によく見え、ご自身で脳血管や、頭蓋骨の3Dを作成されています。必要な画像、臨床的に知りたい情報についても教えてくれるので、こちらの技術や知識も上がります。

 ちなみに他科からの3D作成の依頼もあるのですが、ほぼ全部がCTのオーダーのコメント欄に「3D-CTまで」の一言が記入されているのみです。放射線科的には通常の軸位断と、いくらかのMPR画像があれば大体の診断には困りませんが、臨床各科にとってはそれだけでは不十分なようです。
 しかし、3D画像などが必要な理由、また必要な画像についての情報がないので、通常のプラグインに少し加工して、回転させるようにしています(それでも1件につき、大体10~20分以上の時間が取られてしまいます:目安として、通常のCT,MRI読影の数件分です)。シミュレーションが目的であれば、目的とする構造を好みの角度で確認する方が当然有用でしょう。VR画像で出来ること、あるいはその他の技術(MPR,MIPなど)を使った方が良い場合などについてもコメントできると思います。
 診療で忙しいとは思いますが、もう少し読影室に来ていただけたら相互により良い診断・治療が出来ると思うのですが…。


 さて、上に示すような3D画像などを見て、「放射線科は難しそう!」とか、「マニアックだな」と思う方も多いかも知れません。しかし、一度トレーニング始めてしまえば、1日で簡単なVR画像を作れるようになります。また、画像を加工する中で、解剖や疾患についてなどの理解も深まります。今のワークステーションは、直感的に使うことができるので、いろいろ触って遊びながら技術を磨いていくことが出来ます。たまには研修医にも3Dや、仮想内視鏡で遊んでもらっています。

 ご紹介する本は、僕が唯一買った画像処理の本です。各疾患ごとに、臨床に即した画像処理の方法が、手順を追ってきれいな絵でまとめられています。とても勉強になりました。AZEのユーザーは是非一度ご覧ください。
 

MDCTの実践―臓器別の撮像法から3D imagingまで
吉田 祥二,森下 哲
秀潤社

このアイテムの詳細を見る

最新の画像もっと見る

コメントを投稿