佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

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JASTRO報告記 12.13 粒子線セッション

2007年12月31日 12時33分37秒 | ホームページ 放射線治療について
 Dr.hirakoの2007JASTRO報告記、抜粋版の年内最後は、粒子線のセッションからです。

 粒子線については、箱物行政の後押しもあって粒子線治療施設の計画が全国に多数あるが、適切な施設数はいかほどなのかという問題について議論されていました。粒子線は、その線量分布の特性や炭素線に限ってはRBEが非常に高いため、脊索腫や悪性黒色腫などの特殊疾患についてはまず問題なく適応になるが、頭頸部癌/肺癌/前立腺癌などの一般的疾患について、費用対効果がどれほどあるのかは疑問である。

  現在はX線であってもIMRTなど高精度な治療を行なうことで、粒子線と近似の線量分布が可能になっており、一般疾患については必ずしも粒子線の必要がないのではという話でした。陽子線は治療費用が1人300万として、最低年間300症例を行なわないと収益があがりません。IMRTは現在のところだいたい100~150万で行なわれており、費用は安い、しかも既存の照射装置で行なうことができます。またIMRTは今の流れでいけば、保険診療になる可能性が高いようです。

 これだけ聞くとIMRTに分がありそうですが、実はIMRTはスループットが低く、患者さんの数をこなすことができない。検証に時間がかかるため、現場への負担は多大なものがあります。

  粒子線治療は、実は日本が一番進んでおり、これを推進することは長期的には、医療界/産業界にとっては益となる可能性が高いともいえます。皆さんはどう思いますか?

 

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