日本でも70代、80代という高齢者の自殺者数が増加しているようですが、「健康問題」を原因・動機とするケースが多いようです。この韓国からの報告は、大腿骨近位部骨折患者11,477人と対照群22,954人の自殺率を比較したものです。追跡調査の平均期間は4.59年で、158,139人年でした。追跡期間中、合計170人の自殺が確認されました。骨折後180日および365日までの期間において、大腿骨近位部骨折患者は対照群と比較して自殺リスクが高いことが示されました(それぞれp=0.009, 0.004)。最初の180日間、11,152人年において14人の自殺が確認され(incident rate, 266.1/10万人年; 95%CI, 157.6ー449.4)であり、対照群と比較して2.97倍自殺する可能性が高いことが明らかになりました(hazard ratio=2.97; 95%CI, 1.32ー6.69)。骨折をきっかけとして認知症が進む患者も多く、精神的なケアの重要さを痛感させる報告です。