SARS-CoV-2の母子垂直感染(胎内感染)については、過去にLancetに否定的な論文が出ましたが(Chen et al., Lancet. 2020 Mar 7;395(10226):809-815)、今回は2つのグループから垂直感染を示唆する症例報告がJAMAにLetterという形で発表されました(Dong et al., JAMA. Published online March 26, 2020. doi:10.1001/jama.2020.4621; Zeng et al., JAMA. Published online March 26, 2020. doi:10.1001/jama.2020.4861)。ウイルスの子宮内感染は、可能性として考える必要はあると思いますが、同じ号に発表されたDavid W. KimberlinとSergio StagnoによるEditorialでは①感染の検出が児におけるIgM抗体の検出によるものである点(IgM抗体はPCRなどに比べると感度・特異度に劣る)、②Dongの論文ではIgM抗体値が生後急速に低下している点(真の感染か疑わしい)、③使用されているキットの感度・特異度の根拠が中国の雑誌に発表された抄録であったり、検査キット作成会社のデータであったりするため、どの程度正確なのかが不明である点、などから慎重な検証が必要としています。
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