イスラエルはサイエンスのレベルも高く、その取り組みは我々も大いに参考になります。イスラエルで初めてCOVID-19患者が確認されたのは2020年2月21日でした。その後、特定の国からの入国者を14日間自宅待機にしたり(2月21日)、100人以上の集会を制限したり(3月11日)、緊急事態宣言を出したり(3月19日)など、日本に近いようなグレードや時間軸で対策が取られ、4月15日時点で感染者12046人、死者123人(Johns Hopkins大学のデータベースより)と、これまでのところ医療崩壊にもならず比較的良好なコントロールが行われています。とはいえ日本と同様の悩みは抱えており、感染の広がり(クラスター形成)をいかにして早期にとらえるかがその後の感染の広がりを制御するために重要だということはわかっていても、全例にPCRを行うことは現実的ではないので(日本でもいまだにそのような主張するヒトもいますが、イスラエルのガイドラインではCOVID-19の濃厚接触者のみPCRを行うということになっているそうです)、無症状感染者からの広がりを早期に捉えるのは非常に困難です。このNature Medicineのcorrespondenceでは、1分間程度でできる簡単なサーベイで、ある程度感染の早期像を捉えられるのでは?という彼らの取り組みを紹介しています。
質問はオンライン(https://coronaisrael.org/) で回答する形になっており、各人の年齢、性別、居住地、隔離状態、喫煙などの基本情報に加えて、体温(および39度以上の熱発の有無)、悪心嘔吐、筋痛、鼻漏や鼻づまり、倦怠感、息切れ、咳嗽、下痢などを質問します。症状の陽性割合を確定したCOVID-19患者で頻度を調べるとともに、地域ごとに解析して、COVID-19患者がいる地域(プラス地域)、いない地域(マイナス地域)で比較しました。その結果、COVID-19患者がいる地域といない地域では症状の分布が異なることが明らかになりました。具体的には咳嗽や倦怠感など、COVID-19患者でよくみられる症状についてはプラス地域で多く、鼻漏や鼻閉などは逆にプラス地域での頻度が少ないという結果でした。もちろんかなりroughな解析ではありますが、この結果は簡単なサーベイによってある程度感染早期の兆候を捉えることができる可能性を示しています。今後このサーベイ結果を前向きに検討して、〇〇という症状の多い地域では実際に××日後にCOVID-19のアウトブレークがあった、というようなデータがあれば良いなと思います。
質問はオンライン(https://coronaisrael.org/) で回答する形になっており、各人の年齢、性別、居住地、隔離状態、喫煙などの基本情報に加えて、体温(および39度以上の熱発の有無)、悪心嘔吐、筋痛、鼻漏や鼻づまり、倦怠感、息切れ、咳嗽、下痢などを質問します。症状の陽性割合を確定したCOVID-19患者で頻度を調べるとともに、地域ごとに解析して、COVID-19患者がいる地域(プラス地域)、いない地域(マイナス地域)で比較しました。その結果、COVID-19患者がいる地域といない地域では症状の分布が異なることが明らかになりました。具体的には咳嗽や倦怠感など、COVID-19患者でよくみられる症状についてはプラス地域で多く、鼻漏や鼻閉などは逆にプラス地域での頻度が少ないという結果でした。もちろんかなりroughな解析ではありますが、この結果は簡単なサーベイによってある程度感染早期の兆候を捉えることができる可能性を示しています。今後このサーベイ結果を前向きに検討して、〇〇という症状の多い地域では実際に××日後にCOVID-19のアウトブレークがあった、というようなデータがあれば良いなと思います。
また日本で行われているLINEを用いたサーベイなども同様の効果を目的にしており、その結果の詳細な解析が待たれます。
Rossman, H., Keshet, A., Shilo, S. et al. A framework for identifying regional outbreak and spread of COVID-19 from one-minute population-wide surveys. Nat Med (2020). https://doi.org/10.1038/s41591-020-0857-9
https://www.nature.com/articles/s41591-020-0857-9
https://www.nature.com/articles/s41591-020-0857-9
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます