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一夜の夢を

2020-11-04 23:12:06 | 日記
元遊郭の旅館に泊まったとき、ここは来た者に一夜の夢を見させるきらびやかな場所だと思った。


1957年に成立した売春防止法により1958年に公娼地域としての遊郭は廃止となっている。では遊郭だった建物はどうなったかというと旅館として今も営業しているところがある。他の建築物とは一味違う遊郭のきらびやかで夢みたいな建物は足を踏み入れてみればすっかり虜になってしまうだろう。

こちらは佐賀県武雄にある白さぎ荘。

外観、客室は普通の旅館といった感じ。

ノスタルジックな雰囲気がまたいい。

和室なんだけど寝室はベッドだったりとハイカラさがある。

中庭を赤絨毯の廊下がくるりと囲む。

この階段の美しさにすっかり見とれてしまった。

灯りに照らされた夜の中庭はまたいっそう幻想的。

どんなに素敵な夜を過ごしたのだろう。イルミネーションなんかない時代にこれは相当ロマンチックな場所だろうな。はっと息を飲んでしまうよ。

朝なんか来なくていいよ。ずっとここにいたいもん。夢だけみていたいよ。そんなこと言った人もいるだろうな。




ちなみにこの階段の鎖はなんでついているのかわからないとのことでした。手すりのかわりとか?



こちらは青森県八戸にある新むつ旅館。

明治31年創建の歴史ある建物。登録有形文化財である。

入ったときのおかめさんの存在感がすごい。

このY字の階段がなんとも美しい。

こちらは木の廊下。艶のある木の色がなんとも心地いい。

宿泊した部屋は広々としてくつろげた。


この不思議な建築。平屋に住んでいる人たちから見たら階段を上り見下ろすのも天窓を覗くも見たことない世界だったのでは。

朝になれば朝日がさんさんとさす。夢から覚めるにはちょうどいい光。

まぁやっぱり帰りたくなくなってしまうのよね。

朝と夜で違う色をしているからやはり泊まるのがいい。

作られた時代や場所により遊郭と言ってもこんなに違うのである。白さぎ荘、新むつ旅館に泊まってみてどちらも特色のある美しい場所だったということ。
遊郭の歴史や働いていた人たちの苦労なども多々あったと思うが、怨念やおどろしさなどは一切なくただただ美しかった。昔のままの姿を今も変わらず丁寧に守り続ける人のぬくもりすら感じる。きちんと整えられた場所というのは過ごしていて気持ちがいい。お化けなんか出る余地もない。

白さぎ荘のご主人も新むつ旅館の女将さんもご高齢でこの先旅館をどんな形で続けていくかはわからない。白さぎ荘のご主人は「ここは私の代で閉めますから」と仰っていたのでいつかは閉業するだろう。
現存する遊郭というのはいつまであるかわからない場所でもある。行けるうちに行った方がいい。私もまだまだ行ってみたい元遊郭の場所がある。なるべく早いうちに訪れたいものだ。

白さぎ荘、新むつ旅館について詳しく書いたものはこちら↓