下記の記事はAERAdotからの借用(コピー)です
コロナ禍だから、健康維持のため、免疫力を上げるため、感染予防のため、とさまざまな取り組みをしている人も多いだろう。しかし、気をつけてほしい。体によいと思っていた行動が、実は寿命を縮めている危険性がある。
■寿命を縮める習慣(1)冬の午前中のウォーキング
運動はダイエットに効果的なだけでなく、病気にかかるリスクを下げ、免疫力を高める重要な生活習慣の一つ。運動をしないことは健康を損ねる大きな原因となり、厚労省によると、毎年、運動不足が原因で約5万人が死亡しているという。
「ですが、正しいやり方をわかっていないと、かえって寿命を縮めてしまいかねない。要注意です」と話すのは、呼吸器内科医で池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さん。
まず、激しい運動はかえって免疫力を下げてしまうことがわかっている。個人差もあるので、どのレベルが激しい運動にあたるかは一律には示しにくいが、厚労省の「健康づくりのための身体活動基準2013」では、64歳までは息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分ぐらい行うことを推奨している。自分の体力や筋力に合った運動を心がけたい。
もう一つ大事なのは、運動をする時間帯だ。早朝にラジオ体操やウォーキングをして体を動かせばすがすがしい気分になるが、一方で負荷が強すぎると突然死の危険も伴う。なぜなら、朝8時~正午に脳卒中が発生する頻度が高いことがわかっているからだ。
「朝は動いていなくても交感神経が活性化されて血圧が上昇します。運動すればなおさら血圧が上がってしまう可能性があります。特に血圧が気になる方は午前中の運動は控えたほうがよく、もし運動をするとしたら(ストレッチなどの)準備運動を念入りに行ってください」(大谷さん)
■寿命を縮める習慣(2)もの忘れがある人の晩酌
お酒は“適度な量であれば百薬の長”といわれる。だが、もの忘れがひどくて医療機関を受診したほうがいいかも……と思うぐらいの人にとっては、どんなに少量でも毎晩の晩酌は脳の健康によくないようだ。
「アルコールは神経毒なので、神経細胞を傷つけます。特に意欲をつかさどる前頭葉が影響を受けやすい。毎日飲んでいれば当然、神経毒にさらされる時間が長いため、脳がダメージを受けやすいのです」
こう話すのは、精神科医で認知症に詳しいアルツクリニック東京院長の新井平伊さんだ。
アルコールは神経伝達物質のアセチルコリンの働きを低下させ、動物実験でも記憶に関する機能を低下させている。海外の報告では、飲酒をする平均年齢60歳と、飲酒をしない60歳の脳を比べると、大量の飲酒をしていた人のほうが脳の萎縮が進んでいた。少量の飲酒でも、飲酒をしない人と比べて萎縮がみられた。
「もちろん、認知症になる手前で飲酒をやめれば、脳の機能が回復する可能性があります。実際、当院でもMCI(軽度認知障害)と診断された人が、断酒を含む生活習慣を変えると、認知症テストで改善がみられています。『記憶力がよくなった』『頭がスッキリした』と話される患者さんも少なくありません」(新井さん)
■寿命を縮める習慣(3)睡眠不足&寝すぎ
アルツハイマー病と睡眠不足との関係は徐々に明らかになっている。アルツハイマー病の発症にはアミロイドベータという不要なたんぱくが関係しているが、これは睡眠中に代謝され、脳の外に排出される。逆に睡眠時間が短いとたまりやすいというのだ。
「実は長時間の睡眠もよくなくて、6時間半~7時間の睡眠だと最も認知症になりにくいと言われています。ただ、適正な睡眠時間には個人差がありますし、昼間の活動状態や眠りの質も睡眠時間に関係します。時間だけにこだわらなくていいと思います」(同)
昼間眠くなる人は、15~30分ほど昼寝などをして、対応しよう。
■寿命を縮める習慣(4)自己流の歯みがき
最後は歯周病。重度の歯周病がある人はない人に比べて1.5~2.8倍ほど脳梗塞や心筋梗塞になりやすい。年間4万人もの死亡者を出す誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクも歯周病があるほど高まる。
歯科疾患実態調査(2016年)によると、歯周ポケットがあるなど歯周病の症状がある人の割合は、35歳以上では約7割にものぼる。元日本臨床歯周病学会理事長の二階堂雅彦さんはこう話す。
「歯周病は早期なら歯みがきで改善できますが、中等度以上になると歯科医院での歯周病治療が必要になります。重症になると抜歯せざるを得ないケースも出てきます」
歯周病は重症でも出血や腫れがあるだけで、痛みがないことも。「8020運動」の普及で歯の大切さは多くの人が知るところとなったが、逆に抜かなければならない歯でも、残したいと切望する患者が、特に高齢者では少なくないという。
「重症の歯周病がある歯は、根の奥深くまで悪玉歯周病菌が侵食し、歯石もかなり付いています。放置しておくと周囲の歯にも菌が広がりますし、全身への影響も見逃せません。抜いたほうがいいのです」(二階堂さん)
こうならないためには適切な歯みがきが必要なのだが、ある歯科大の調査では、しっかりみがけていると思っている人の6割はみがき残しがあり、きちんとみがけている割合は、たった4割だということがわかっている。
「今は歯ブラシだけでなく、デンタルフロスなどのケア用品を使うのが普通。歯周病がない人や軽い人はフロス、歯周病が進行した人は歯間ブラシなど、自分の歯の形や歯周病の程度でも使うケア用品が違ってきます。自己流ではなく、歯科衛生士などに自分に合った歯みがき法を習って、それを実践することが大事です」(同)
以上の習慣を参考に、早めに対策をとっていただきたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます