下記の記事は日刊ゲンダイデジタルオンラインからの借用(コピー)です
新型コロナワクチンを3回接種する「ブースター接種」をめぐって、WHO(世界保健機関)と欧米諸国が対立している。
■英、独、スウェーデンも「3回接種」へ
ブースター接種は、すでにイスラエルが60歳以上の市民を対象に本格化している。英、独、スウェーデンも実施する意向を表明。欧米各国は一斉に「3回目」接種に動きはじめている。各国がブースター接種を実施すると、ワクチンが不足し、争奪戦になる可能性がある。
こうした動きに、WHOのテドロス事務局長は4日、「少なくとも9月末までの一時停止」を求めたが、アメリカのサキ大統領報道官は「自制は間違った選択だ」と、WHOに反発している。
先進国はなぜ、ブースターを強行しようとしているのか。
「インド由来のデルタ株の危険性が分かってきたからです」とはハーバード大学院卒の医学博士の左門新氏だ。
「たとえばファイザー製のワクチンはアルファ株に対して93.7%の有効予防率ですが、デルタ株には64~88%と数字が低い。デルタ株の実効再生産数は5~9人と高い水準な上に、重症化率も高いのです。そのためワクチン接種が進んだ米国もここにきて、屋内や人が集まる場所でマスクをつけるよう呼びかけています。この2、3カ月で各国はデルタ株が本当に危険なものなのだと認識を変えた。デルタ株に怯えてブースター接種に前のめりになっているのです」
感染力が高いデルタ株には、2回のワクチン接種では効果が弱い、という認識が広がっている。実際、ワクチンの抗体が2回接種後でも6カ月以降に減少し、予防効果が落ちるというデータが出てきているのだ。
■致死率35%の変異株出現の可能性
気になるのは最近、英国政府の緊急時科学助言グループが発表した研究論文だ。それによると、今後も高い確率で変異株が出現し、致死率も上昇。中東呼吸器症候群(MERS)の35%に匹敵する致死率に達する可能性もあるという。最悪の場合、感染者の3人に1人が死亡する計算だ。
「テドロス事務局長の主張も一理あります。変異株はインドのような爆発的に感染が拡大する場所に発生しやすい。つまり、この先も、アフリカをはじめとした開発途上国に次々と変異株が生まれ、強毒化する可能性があるのです。先進国のブースター接種もけっこうですが、途上国の感染を抑え込むことも重要です」(左門新氏)
ワクチンの争奪戦が再び起こると、ただでさえ接種が遅れている日本は、さらに遅れる恐れがある。
ウイルス量は1000倍!強敵デルタ株「空気感染」の脅威…梅田&新宿で百貨店従業員陽性ラッシュ
デパート従業員の新型コロナウイルスの感染が相次いでいる。阪神梅田本店128人、阪急うめだ本店34人、伊勢丹新宿店73人、ルミネエスト新宿59人……。一体、何が起きているのか。
■阪神梅田本店128人クラスター
このうち、阪神梅田本店の事例は先月30日に保健所から「クラスター」と認定されている。4日も新たに13人の感染が確認され128人となった。同店は地下1階から地上8階まで9フロアあり、感染者は地下1階86人、1階26人と両フロアに集中している。運営するエイチ・ツー・オーリテイリングの広報担当者は「1カ所しかない社員食堂や更衣室での感染であれば、両フロアに偏ることは考えにくい。他のフロアでも広がっているはずです。両フロアの売り場か、フロアごとにある事務所で感染した可能性があります。消毒や換気など感染対策は徹底していたのですが」と驚きを隠さなかった。
昭和大医学部客員教授の二木芳人氏(臨床感染症学)が言う。
「感染者数は地下1階が圧倒的に多い。地下は換気が十分ではないことがあり、エアロゾル感染が起きた可能性があります。もし、阪神百貨店のクラスターが、デルタ株(インド株)だとすれば、それも感染拡大の一因でしょう。デルタ株のウイルス排出量はかなり多い上に、ウイルス自体が細胞に侵入しやすい特徴を持つ。感染力はかなり強力です」
ワクチン接種完了者も感染
CDC(米疾病対策センター)によれば、デルタ株は1人の感染者から8~9人に感染させるという。水ぼうそうに匹敵する。インフルエンザは1~3人、従来型の新型コロナは2.5人だから、強烈だ。
デルタ株の空気感染(エアロゾル感染)は厄介だ。中国の研究グループがデルタ株感染者のウイルス量を調べたところ、従来株の約1000倍だったという。デルタ株感染者がフロアに1人でもいれば、エアロゾルに乗ったウイルスがたちまち広がるのもうなずける。エアロゾルは最大3時間程度、感染力を維持しながら空中を浮遊する。
また、デルタ株は、ワクチン接種完了者も感染し、他人に感染させることも分かっている。河野ワクチン担当相も「デルタ株の感染拡大をワクチンだけでどうにかするというのはなかなか難しい」と漏らしている。
「デルタ株は従来の常識が通用しないことがあります。消毒や換気など感染対策もこれまでよりも強化する必要があります」(二木芳人氏)
いつでも、どこでもデルタウイルスが漂っている――。これまでの何倍も警戒したほうが賢明だ。
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