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唾液健康術 量や質を高め、ウイルス感染予防にも期待

2021-05-12 08:30:00 | 日記

下記の記事は日経ヘルスからの借用(コピー)です   記事はテキストに変換していますから画像は出ません

「口」の健康だけでなく、「全身」の健康にまで関わりそうだと、唾液が話題だ。そこで、唾液の量を増やしたり、唾液の質を高める「唾液健康術」を紹介する。
◇  ◇  ◇
たっぷりの唾液で、口臭や歯周病の原因となる菌の繁殖を防ぐ──。それがこれまで重視されてきた唾液の役割。つまり、カギは「量」。しかし、最近は唾液の「質」にも注目が集まる。
「唾液中にはさまざまな感染予防に役立つ成分の存在が明らかになっているが、特にIgAという、免疫に関わる物質が重要な役割を果たしている。これは1日に50~100mgほど唾液中に分泌され、口に入った細菌やウイルスにくっつき、体内への侵入を阻む」と唾液に詳しい神奈川歯科大学の槻木恵一教授。
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さらに、花王パーソナルヘルスケア研究所の山本真士さんは、「カゼやインフルエンザに感染しやすい人は、しにくい人に比べて唾液の分泌量が少ないことがわかった。唾液に含まれる40成分を解析したところ、結合型シアル酸という成分が、抗インフルエンザ効果のカギになると特定した」と話す。
量や質の低下に当てはまらないか、下記のポイントでチェックしてみよう。
※チェックの例は、槻木教授の話をもとに作成
こんなことに思い当たるなら唾液の量が減っていたり、口の中が渇きやすくなっていたりする可能性がある。このほか「入れ歯が入れづらくなってきたというのも、唾液が減っている証拠」と槻木教授。
※チェックの例は、槻木教授の話をもとに作成
IgAが腸内環境と関わりがあるとされているため、これらに当てはまると唾液の質が下がっているかもしれない。適度な運動も大切だか、ハードな運動のあとやストレスでIgA量は落ちるとされている。
唾液は1日に1~1.5Lも出る
唾液は3か所の唾液腺で作られ、口の中に分泌される。槻木教授によれば、下記に挙げた「抗菌」「消化」「緩衝」など7つの作用があるという。緩衝とは、口内を中性に近い状態に戻すこと。なお、「唾液腺を電子顕微鏡で見ると、血管網の走行から、唾液が血液をもとに作られるのがわかります」(槻木教授)。
唾液が出るのは「舌下腺」「顎下腺(がっかせん)」「耳下腺」の3か所。分泌される唾液成分は、腺ごとに少し違っている。「耳下腺には主に消化を助ける唾液、舌下腺と顎下腺には粘膜や咽頭部を守るような成分が多いようだ」と山本さん。たった1%に抗菌作用をもつ物質(IgA、リゾチーム、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリンなど)が含まれる。消化酵素のアミラーゼのほか、カルシウムやリン酸なども。これらが、大きな役割を果たす。
量も質もアップ! 「唾液力」を高める方法
「唾液力=唾液の量と質」を高めるにはどうすればいいか。量を増やすのは唾液腺の刺激だ。唾液腺は押すと、反応して唾液を出すため、マッサージを。もちろんよく噛(か)む、舌を動かす、酸っぱい食べ物を思い出すことでも出る。「唾液は加齢とともに減る」(槻木教授)ので、気になる人はケアを。
また、花王がつきとめた結合型シアル酸は、「耳下腺に比べ、舌下腺と顎下腺の唾液で濃度が高かった。いくつかの食品成分で比較したところ、重曹とクエン酸の組み合わせは唾液の分泌量を増やし、かつ舌下腺と顎下腺の分泌割合を高めた。2つが口内で溶けて発生する炭酸発泡刺激のためだろう」と山本さん。
では、IgAは?「軽い運動で増えるという結果や、腸内細菌により産生される短鎖脂肪酸と関わりがあると思われる研究がある。唾液の質を高めるには、運動に加え、食物繊維や発酵食品をとり、腸内環境を良くしておくことが大切」と槻木教授。

■唾液腺を刺激するマッサージ

3つの唾液腺を刺激する一般的なマッサージ。唾液腺は外側からの刺激に反応して、ジワっと出る。デスクワークの合間など、どこでもできる。

【顎下腺】
あごの骨から耳に向かう途中にくぼみがある。ほおづえをつくように、そのあたりにこぶしを当て、刺激する。親指で行ってもかまわない。10回程度。
【舌下腺】
親指であごの骨の下を軽く押す。「舌下腺は内側なので、外側から刺激しにくい場所。舌を動かすのもいい」(槻木教授)。10回程度。
【耳下腺】
写真のように耳の前に指が当たるようにして、圧をかけたまま、円を描くようにマッサージする。10回程度。

口の中のシュワシュワした刺激で唾液が増える!?
重曹とクエン酸の組み合わせで、口の中にシュワシュワした刺激が。手作りラムネには、2つを組み合わせたレシピもあるようだ。
カゼやインフルエンザにかかりくい、かかりやすいと自覚している55人ずつの唾液量を調べたところ、かかりにくい人のほうが唾液の分泌量が多かった。(データ:花王が第78回日本公衆衛生学会で発表)
20~40代の男性6~15人が8種類のタブレット錠をなめたときに分泌される耳下腺唾液、舌顎下腺唾液を回収し、単位時間当たりの各唾液の重量を測定した。(データ:花王が第52回日本小児呼吸器学会で発表)
ほかにはこんな方法も大切
<水分はしっかり!緑茶もいい>
唾液は1日に1~1.5L出るため、水分補給は大切。「体内の水が足りないと、口の中が渇く。水をきちんと飲むだけでも意外と唾液量が増やせる。また、IgAを増やすにはエピガロカテキンが有望だという研究もあるので、水出し緑茶でも」と槻木教授。
<歯みがきやフロスで口の中はキレイに>
「歯周病菌などが、インフルエンザウイルス感染のリスクを高めると考えられている。また、口の中が汚れていると、抗菌効果のある唾液成分がそちらで働くことになってしまう」(槻木教授)。分泌された唾液の本来の抗菌・抗ウイルス作用を落とさないためにも、口の掃除はしっかり行おう。
<ストレッチやヨガ、ヨーグルトでのデータも>
軽い運動を5~10分ほど行うと、安静時より唾液中のIgA濃度が増えたというデータもあるという。「ヨーグルトも有効だと考えている。私自身の研究では、1073R-1という乳酸菌のヨーグルトを使った」と槻木教授。
唾液の不思議 疲れると唾液に2種のヘルペスウイルスが出る
「感染症のなかには、血液や精液、便を介して広がるものもあるが、ウイルスの側に立つと、唾液に出て、感染を広げていくのは、最も効率のいい生存戦略と言える」というのは、東京慈恵会医科大学の近藤一博教授だ。
近藤教授は、ヒトヘルペスウイルス(HHV)が専門。このHHVのうち突発性発疹の原因になるHHV-6と7が、疲労時に唾液中に増えることを突き止めた。
「HHV-6も7も日本人は幼児期にほぼすべての人が感染し、以後、体内にいる。これを潜伏感染という。HHVが再活性化するメカニズムを調べているうちに、疲労との関連がわかった」(近藤教授)
HHV-6は、およそ1週間単位での身体的な疲労で増え、HHV-7は1カ月単位のデスクワークなどの疲労で増える傾向があるという。「どちらのウイルスも、宿主である人の危険をいち早く察知し、逃げようとするのではと考えている」。
さらに、研究は進み、近藤教授は、このHHV-6がうつ病発症に関わると明らかにした。つまり疲れた状態が長期間続くと、うつ病になりかねないというメカニズムの一端といえるだろう。「HHV-6が唾液に出たあと、一部が口から鼻へいき、脳の一部『嗅球(きゅう きゅう)』という部分に再感染。すると、ある物質が増え、それが脳に影響を与えることがわかった。私は、その物質をSITH-1(シスワン)と名づけた」と近藤教授。このSITH-1の存在を裏づける抗体を調べると、うつ病患者の8割にあることがわかったという。今後、薬の開発なども念頭に置いているそうだ。
9週間の訓練を行う自衛隊員55人が対象。訓練前、基礎訓練中、実地訓練、訓練後に、疲労の自覚度合い(疲労度)とHHV-6と7を測定。疲労度は訓練で上昇。6は実地訓練で上がり、訓練後は以前のレベルに戻った。7は、基礎訓練と実地訓練で上がり、訓練後の数値は訓練前より高くなった。(データ:Biochemical and Biophysical Research Communications;478,424e430,2016)
槻木恵一さん
神奈川歯科大学大学院口腔科学講座環境病理学教授。



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