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症状の悪化、どう察知 自宅療養者になった場合の注意点

2021-08-31 08:30:00 | 日記

下記の記事は朝日新聞デジタルからの借用(コピー)です。

新型コロナウイルスの感染拡大とともに、自宅療養者が増えている。6日時点で東京都に約1万8千人。2週間で3・5倍に急増した。酸素吸入が必要になるといった症状の悪化を早めに察知することが重要だ。どのように気づき、家族は何に注意したらいいのか。
 東京都の自宅療養者フォローアップセンターは、30歳未満で基礎疾患のない陽性者を中心に、約4千人の健康観察をする。1割ほどの人は何らかの数値や症状が悪化し、看護師が電話で詳しく聞き取り、場合によっては救急車を呼んだり入院の手配をしたりしているという。
 自宅療養者への医療支援事業の委託を東京都から受ける、ファストドクター代表の菊池亮医師は、「自宅で酸素投与をする人が都内でではじめた」と話す。5日までの2週間で同社が受けた相談件数は、以前の2週間の2倍以上に増えたという。
病院行っても…診てもらえない可能性
 自宅療養者には、保健所などから血中の酸素飽和度を測る「パルスオキシメーター」が届く。
 発症から10日間は健康観察が必要で、血中の酸素飽和度や発熱の状況、息苦しさなどを電話やオンラインで保健所などに報告する。具合が悪いから、と自分の判断で病院に行っても診てもらえない可能性が高い。保健所などに電話で相談して、対応を決めたほうがよいという。
 症状の悪化をどう察知するのか。
 客観的な目安が酸素飽和度だ。厚生労働省の「診療の手引き」によれば、93%以下だと酸素吸入が必要な中等症Ⅱに分類される。1日3度ほど同じ条件で測り、変化をみる。
 菊池さんは「94%だから大丈夫ということでなく、90台前半を目安とし、前日から急に下がるといった変化があると要注意」と話す。
 パルスオキシメーターが手元にない場合は、呼吸回数が参考になる。
 呼吸状態が不安定になり体内の酸素が不足し始めると、呼吸が頻回になる。菊池さんは「1分間に20回を超した場合には気をつけてほしい。その時点で酸素飽和度が正常でも、しばらく後に下がってくることがある」と語る。
 厚労省がまとめた自宅療養者の注意事項は、唇が紫色▽脈がとぶ▽胸の痛みがある▽顔色が明らかに悪い▽もうろうとしている――などを緊急性の高い症状にあげる。
 あてはまれば、保健所などに伝えよう。
「我慢せずに電話でSOSを」
 新型コロナは、軽症の人が急変することが知られている。発症から7日前後に悪化することが多い。
 一度熱が下がっても、7日目前後に再び熱が上がったときは肺炎が疑われる。
 日常生活の注意点は何か。
 暑いいまの季節は、熱中症のおそれもある。センターの担当者は「毎日十分な水分をとり、少しでも体調に変化があったら、我慢せずに電話でSOSを送って欲しい」。
 菊池さんは1日に1・5リットル程度の水を飲むことや、室内を歩いたり足踏みをしたりする軽い運動をすすめる。横になってばかりだと血栓ができるリスクがある。血流をよくすることが重要だ。
 菊池さんは「今後1週間が山。このまま都内の自宅療養者が増え続ければ、スタッフが不足する。オンラインでも支援してくれる医師や看護師がいればぜひ、協力してほしい」と話す。
家庭内での感染防ぐポイント
 家庭内での感染を防ぐにはどうしたらいいのか。
 自治体は注意点を手引にまとめている。
 東京都の手引によると、自宅での感染予防として、部屋をわける▽感染者の世話は限られた人にする▽感染者と世話をする人はマスクをつける▽こまめに手洗い▽日中は換気▽手がよく触れる部分の消毒▽汚れた寝具や衣類を洗濯▽ごみは密閉して捨てる――といったポイントをあげる。
 ただし、感染力の高いインドで見つかった変異株(デルタ株)へのおきかわりが進み、状況は深刻化している。
 関西地方のある保健所長は「感染者の家族が陽性になる割合がぐんぐん高くなっている。家族のほとんど、全員が感染してしまうケースもある」と話す。
 少し期間をあけて家族が順番に感染すると、1カ月近く家から出られない状況になり、仕事や学校への影響も大きい。
 若い世代への感染も広がる。
 都内の保健所長は「これまでは子どもへの感染がなかったが、デルタ株が増えてからは大人と同じくらい感染する。保育園や学校からどんどん広がるため、なるべく自宅にいてもらうしかない」と話す。
 都では、自宅療養をする希望者には、およそ7日分の食料品が送られる。都の担当者によると、必要に応じて2回目の配達もするという。ただし、配達した人に感染が広がらないよう非対面で荷物を届ける「置き配」とし、直接は受け取らないようにしてほしいという。(後藤一也、編集委員・辻外記子)

 

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です

「パルスオキシメーター」の仕組みを簡単におさらい
政府は8月2日、コロナに感染し中等症と診断されても、症状が軽い人や重症化リスクの少ない人は自宅療養とするという方針を決めた(5日に「中等症も原則入院対象」と軌道修正)。麻酔科医の筒井冨美氏は、「軽症でも中等症でも在宅療養者は、容体の急変で命を落とすことがないよう、重症化の目安となる血液中の酸素飽和度を測定できるパルスオキシメーターを準備すべき」という――。
政府に見捨てられた? 入院できぬコロナ自宅療養者が用意すべきモノ
8月2日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大が続く地域において、中等症患者であっても「症状が軽い」あるいは「重症化リスクの少ない」患者に関しては、「自宅療養」とする方針を出した。
この政府の新方針に対し、医療機関からは「(これまで通りに入院していれば)早期に治療できていたものが、対応が遅れて重症化し、かえって重症病床がより逼迫ひっぱくする恐れがある」といった懸念が噴出している。
与党や野党からも撤回要求が出たが、菅義偉首相は突っぱねようとしている。
※編集部註:8月5日、田村憲久厚生労働相は、「中等症の中で、比較的、重症化リスクの低い人は自宅で対応いただく」としたものの、「中等症は原則入院」「肺炎の所見があり、息苦しい人は入院するのが当たり前だ」と述べた。中等症で入院できなくなるとの懸念や批判を受け、軌道修正した形。
7月下旬の東京五輪の開会式以降、全国的にコロナ感染者が急増している。東京だけで感染者数が1日4000人以上の日もあり、1万人超も現実味を帯びてきた。
リスクが高まる中、もし、自分がコロナに感染して発症したらどうすればいいのか。入院もさせてくれないし、ホテルなどの施設にも入れてくれない。医師からは、ただ、自宅で療養してください、と冷たく言われたら……。こんなに心細いことはないだろう。
多くの人の脳裏をよぎるのは、今春、大阪で感染者が急増した際、入院を拒否され自宅で半ば放置されたような状態の患者が続出したことだ。自宅で容体が急変して亡くなった人も少なくない。
それと同じことが感染者の多い東京を含む首都圏中心に起こる可能性がある。一人ひとりにできることは感染防止対策を念入りにすることしかないが、感染力の強いデルタ株が拡大する中、いつ当事者になってもおかしくない。
中等症、軽症の人の命綱「パルスオキシメーター」
そこで、改めて注目したいのが「パルスオキシメーター」という医療機器だ。ネットニュースやネット通販、書籍では下記のように“別名”で呼ばれることがある。
・サチュレーションモニター
・経皮的酸素飽和度計
・血中酸素測定器
・SpO2(エスピーオーツー)測定器
用語が入り乱れているが、これらはすべてパルスオキシメーターのことだ。入院させてくれないなら、これを少なくとも一家に一台、用意して自宅療養に備えるしかない。
ここで、パルスオキシメーターの仕組みを簡単におさらいしよう。
血液中には、酸素を体中に運搬するヘモグロビンという色素がある。コロナ感染関連のニュースでしばしば登場する「酸素飽和度」は「ヘモグロビンの何%が酸素と結合しているか」を示す指標である。
健康成人の正常値は96~100%だが、喫煙者・高齢者・肥満者などは約2~5%低下していることが多い。そして90%以下となると「低酸素血症(ハイポキシア)」と呼ばれて、酸素投与などの治療対象となることが多い。
酸素を結合したヘモグロビン(酸化ヘモグロビン)は鮮やかな紅色であり、酸素を結合しないヘモグロビン(還元ヘモグロビン)は暗赤色となる。低酸素血症となった患者が「顔色が悪い」のは、暗赤色の還元ヘモグロビンが増えるために唇や頬などがくすんだ色調になるからである。
このヘモグロビンの「酸素の有無で色調が変化する」性質を利用して、光を透過させることによって酸素飽和度をリアルタイムに測定できる機器がパルスオキシメーターである。
従来は、わざわざ動脈から採血しないと測定できなかった(この場合はSaO2表記される)データが、簡便に得られるようになり、酸素飽和度は「血圧・脈拍・体温・呼吸数に次ぐ第5の生体サイン」とも言われている。ちなみに、このパルスオキシメーターは1974年に日本の医療機器メーカーである日本光電(本社:東京都新宿区)によって発明された。
開発者である青柳卓雄氏はコロナ第1波渦中の2020年4月に亡くなり、ワシントンポスト紙などで世界に報じられた。
「息が苦しい」と言う代わりに「酸素飽和度が98から92へ落ちた」と言え
パルスオキシメーターを入手したら、まずは平常時に測定して、ベースラインの酸素飽和度を把握することが大切である。女性の場合、マニキュアのある指では正確な数値が出ないので、足指など何も塗っていない部分で測定しよう。指先が冷たい場合も脈が拾いにくいので、暖房やお湯などで指を温めた上で測定すると出やすい。
また、近年、女性に流行しているジェルネイルは専門店でないと除去できないため、スムーズに自宅での酸素飽和度の測定が困難になる。患者数が過去最大を更新するようなコロナ流行期にはお勧めできない。どうしてもしたいなら、2021年夏は「手指のみジェルネイルだが、足指はジェルネイルなし、あるいは落としやすい通常マニュキュア(足指で測定)」にすることを強くお勧めする。
何らかの体調の変化を感じた場合、微熱であっても酸素飽和度をマメに測定し、「90%未満」あるいは「ベースラインよりも5%以上低下」がみられる場合には、「かかりつけ医師」「発熱外来」「保健所」などに電話して「受診すべき病院」や「入院が相当ではないか」などの指示を仰ぎたい。単に「息が苦しい」と訴えるよりも、「普段の酸素飽和度は98以上なのに、今朝から92~3」という数値化された情報は、医療機関における判断の助けになるだろう。
こうした数値の推移を記録しておけば、当初の扱いが「入院不要なコロナ軽症」だった人が、「入院可能な中等症」へ格上げされる可能性もあるかもしれない。
もっとも、入院治療といっても医療ドラマのように「ホテルのような部屋でイケメン医師やかわいいナースが献身的に治療」を期待してはいけない。「医師の回診は1日数分間、看護師は基本モニター越しの会話、配膳される病院食はビミョー」おまけに「4人部屋で、遅いwi-fi、消灯21時」というのが平均的なコロナ中等症病床の現状である。
酸素飽和度が95%以上あり、タブレットで動画を見たりSNS発信できるレベルの元気があるならば、「保健所に登録した上で自宅療法」というのも悪いアイデアではない。実際、酸素飽和度が正常範囲なのに強く入院希望するので無理やり病床を確保したら、「個室じゃない」「wi-fiない」「隣の患者のイビキがイヤ」のような理由で帰宅するコロナ患者も少なくない。これはこれで問題だ。
「ハッピーハイポキシア(幸せな低酸素血症)」という深刻な状況
健康な成人が急に酸素飽和度が90%以下になるような低酸素血症に陥ると、通常は強い呼吸困難感に苦しめられる。医大生の実習でパルスオキシメーターを装着した後に「酸素飽和度が90%になるまで息を止めて」と指示しても、9割以上の学生は苦しくなって脱落してしまう。
ところがコロナ肺炎では、ウイルス感染によって酸素飽和度が70~80%のような重度の低酸素血症の状態になったにもかかわらず、患者が「息が苦しい」と訴えないことがある。そのため重症化の発見が遅れることが問題となっている。
この現象を科学雑誌『サイエンス』が「ハッピーハイポキシア(happy hypoxia:幸せな低酸素血症)」と呼んだことで世界中の医療関係者に知られることになった。
日本でも「自宅療養していたコロナ軽症者に医療機関が電話で容体を確認しても特別な訴えがなかったので特に警戒していなかったところ、その後に急変して死亡」というケースが報道されている。その陰には、ハッピーハイポキシアがあった可能性が指摘されている。
中等症コロナで自宅療養を指示されたら~うつ伏せの効用~
コロナ中等症と診断されたものの、自宅療養と指示された場合、どんな治療がほどこされるのか。コロナ治療の基本は「酸素投与」と「ステロイドを中心にした薬物治療」であり、これは在宅療養でも変わらない。「一瞬で治る魔法の薬」「神の手を持つコロナ名医」は存在せず、「肺組織とウイルスの闘いに耐え、そのダメージからの回復を待つ」という地味な治療方針となる。
さらに自宅で可能な治療法を追加するならば腹臥位療法、要するに「うつ伏せで寝る」ことだろう。肺炎の療養中は長期間仰向けで横たわっている時間が多いので、どうしても背中側の肺組織に分泌物が貯まってダメージを受けやすい。
そこで、意図的に腹臥位の時間を設けて、肺の背中側のダメージを軽減すると、肺炎の重症化を予防できることが、かねて知られていた。コロナ肺炎も例外ではなく、今も多くのコロナ病棟で人工呼吸器やECMO使用中の重症患者を、うつ伏せにすることで肺を守っている。
腹臥位の有用性は中等症コロナにも共通する。パルスオキシメーターで測定すると、「仰向け→うつ伏せ」にするだけで酸素飽和度が2~3%上昇することもある。
もし「完全うつ伏せ」が困難ならば、枕などを活用して「左斜め下」「右斜め下」とパルスオキシメーターの数値を参考にしつつ交互に体位変換するのも有用である。自分や家族が感染した際の対処法として覚えておきたい。パルスオキシメーターの選び方
なお、このパルスオキシメーターは、以前は安くても数万~数十万円する高価な医療器具だったが、コロナ禍で製造開発が急速に進み、最近では医療機器認証を受けた製品でも数千円で販売されている。数十グラムのポケットサイズが数多く販売されており、持ち運びも簡単である。
筆者としては、医療機器認証を受けた製品をお勧めしたいが、患者急増もあってアジア製の非認証製品しか手に入らないこともある。非認証製品の信頼性を確認したければ、「パルスオキシメーターを装着した状態で息を1分程度止めたら数値が1~2%低下」すれば、当面の家庭内使用は可能と思われる。

測定方法もクリップのような機器で指を挟んで数秒待って、モニターに表示された数字(酸素飽和度と心拍数の2つが表示される)を読むだけであり、高齢者でも簡単にマスターできるだろう。
発熱患者が発生した場合、地域によってはパルスオキシメーターを貸し出しする施設もあるが、数に限りがあり、迅速に入手できるとは限らない。よって、流行が心配な地域や外出が必須の職業ではネット通販や家電量販店などで入手するといいのではないか。
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    * 筒井 冨美(つつい・ふみ)
フリーランス麻酔科医、医学博士
地方の非医師家庭に生まれ、国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。



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