下記の記事はハルメクWebからの借用(コピー)です。
生活習慣を見直してもどうしても眠れない……そんな状態が続くようなら病院を受診した方がいいでしょう。でも、どんなタイミングで、どの病院を受診すればいいのでしょうか?また、市販の睡眠薬は飲んでもいいのか? 専門科医に聞いてみました。
目次
1. 「睡眠障害?」と疑ったときに病院にかかるべき?
2. 睡眠障害は、どの病院にかかるべき?
3. 睡眠薬は飲んでもいいもの?
4. 服用を続けてもいい睡眠薬と駄目な睡眠薬は?
5. 睡眠サプリの効果は?
6. 取材先・監修「睡眠障害?」と疑ったときに病院にかかるべき?
睡眠障害を疑ったときには、どのタイミングで病院にかかるべきなのでしょうか? 睡眠の専門医である医師、白濱龍太郎さんは次のように話します。
「眠りに対して悩んでいる人は大勢いらっしゃいます。不眠だと思い始めてすぐに病院を受診する必要はありません。だからといって、放っておいて本物の不眠症になっていく場合もありますから、まずは睡眠習慣を整え、深睡眠ストレッチを行い、セルフケアを行ってみましょう。そして睡眠障害だと思う症状が“1か月続く場合”は、病院での受診を考えてみてください」
睡眠障害は、どの病院にかかるべき?
睡眠障害は、睡眠時無呼吸症候群や更年期による諸症状である更年期障害、うつ病など、さまざまな原因が複合的に関係している場合があります。では、どの病院にかかるのが適切なのでしょうか?
「睡眠障害で病院にかかるなら、まずは『睡眠外来』に足を運ぶといいでしょう」と白濱さん。日本睡眠学会のホームページには、「日本睡眠学会専門医」と「日本睡眠学会専門医療機関」が掲載されています。病院を探すときは、そこで最寄りの病院を探すことをおすすめします。
「ただし、ご自宅の近くに睡眠外来があるとは限らないと思います。そのときは内科の病院にかかるといいでしょう」(白濱さん)。
他にも、気分の落ち込みなら心療内科、いびき・睡眠時無呼吸症候群なら、いびき外来、耳鼻咽喉科、呼吸器内科、閉経前後10年の更年期にあたるなら婦人科にかかるという手もあるそう。
睡眠外来で受診をした際は、どのような処置が行われるのでしょうか?
「睡眠習慣の可視化と改善からスタートします。そして睡眠の状況を見ることで、不眠の原因を探ります。他に基礎疾患や睡眠時無呼吸症候群の鑑別を行っています」と白濱さん。
睡眠習慣を正す指導を受けることと同時に、睡眠障害の原因として疑わしき病気がある場合は、各専門医と連携を取り治療にあたることになるそうです。
睡眠薬は飲んでもいいもの?
睡眠をもたらす薬は、ドラッグストアや薬局でも手に入れることができます。ドラッグストアや薬局で購入できる薬は「睡眠改善薬」と呼ばれています。また睡眠外来でなくても、どの医療機関でも「睡眠薬」を処方することができます。
眠れないときは、薬局で販売されている睡眠改善薬や処方された睡眠薬を使ってもいいのでしょうか。
「一般薬として、安易に睡眠改善薬が買えるようになりました。しかし、薬局で買えるような睡眠改善薬に頼るのは得策ではありません。花粉症の薬を飲んだときに眠たくなるのと同様の仕組みで、眠りをもたらすようにできているため、自然な眠りをもたらすものではないからです。
また睡眠時無呼吸症候群で熟睡感が得られていない場合に、睡眠改善薬や睡眠薬で無理やり寝ようとしても不眠は改善されません。不眠感があると、さらに強い薬を服用するようになって悪循環に陥るだけです」と白濱さん。
一般的には、睡眠薬や睡眠改善薬は、寝られない人がぐっすり寝るために服用するものというイメージがありますが、医師としては「ゴールを考えてから飲むべきもの」として考えてほしいそう。
「睡眠の専門医が睡眠薬を処方する際のゴールは、睡眠習慣を身に着けて自然と眠れるようになることです。そうなるように考えて処方をしています。薬局の睡眠改善薬に頼るときは、どうしても眠らないといけない場合の一時的な対処方法と考えた方がいいでしょう」服用を続けてもいい睡眠薬と駄目な睡眠薬は?
では、飲んでもいい睡眠薬と飲んではいけない睡眠薬はあるのでしょうか?
「治療方針に沿った正しい処方が行われていれば問題はありません。病院で処方される睡眠薬の成分は時代とともに進化しており、睡眠の質の改善を目指して睡眠薬も開発されているため、すべてが問題あるわけではありません。1950年から睡眠薬は存在していますが、2000年代に入ってからも副作用が少ない睡眠薬が生まれています。
先ほどもお伝えしましたが、睡眠薬の服用は、ゴール設定が肝心です。昔ながらの依存性が高く、副作用も出るような睡眠薬を長期間で処方される場合は、望ましくありません。かかりつけ医に、いつまで飲むかと治療方針を聞いた方がいいでしょう」
また、睡眠薬を服用するときはアルコールを摂取してはいけないことは必ず覚えておきましょう。
■主な睡眠薬
睡眠薬は、次の3つに分けられます。
* ・ベンゾジアゼピン系「ハルシオン」「レンドルミン」「サイレース」「ソメリン」など
昔ながらの睡眠薬。強制的に脳の活動を抑制し、「眠る」ポイントを切り替えるように作用します。記憶障害、運動障害、依存性、持ち越し効果など、副作用があることも。持ち越し効果とは、翌朝まで眠気が続いてしまうことです。
* 非ベンゾジアゼピン系「アモバン」「マイスリー」「ルネスタ」など
ベンゾジアゼピン系と同じ仕組みで作用し、強制的に脳の活動を抑制します。ベンゾジアゼピン系よりも依存性や副作用が軽減されています。
* ホルモン作動系「ロゼレム」「ベルソムラ」「デエビゴ」など
眠りをもたらすホルモン「メラトニン」の受容体に作用する薬や、覚醒をもたらすホルモン「オレキシン」受容体に拮抗し、自然睡眠に近い生理的睡眠をもたらす薬。「ロゼレム」は2010年、「ベルソムラ」は2014年、「デエビゴ」は2020年に認可されたもので、比較的新しい薬。ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬が持つ副作用が出にくく、睡眠時無呼吸症候群の患者や高齢者も安心して服用できる睡眠薬。
睡眠サプリの効果は?
睡眠薬だけでなく、昨今は睡眠の質を高めることを目的にしたサプリが多く販売されています。睡眠サプリの効果は、どのように考えるべきなのでしょうか?
「眠りに必要な栄養素を摂取する、という仕組みのものがほとんどだと思います。科学的・理論的には合っていると思いますが、効果があるとは言い切れません」と白濱さんは注意を促します。
「眠れないときに気持ちを落ち着かせるためにハーブティーを飲むように、睡眠習慣の一つとして取り入れるのはいいですが、睡眠障害の原因は、栄養だけではない場合がほとんどです。そのサプリを飲んでいるからといって、そもそもの眠りをもたらすメカニズムをおざなりにしてしまうのは本末転倒。頼り過ぎないようにしましょう」
▷▷次回「閉経後の女性は要注意!睡眠時無呼吸症候群の対策は」を読む取材先・監修
RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長 白濱龍太郎さん
しらはま・りゅうたろう 2002年、筑波大学医学群医学類卒業。東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了。東京共済病院、東京医科歯科大学附属病院を経て、13年にクリニックを開設。日本睡眠学会専門医。
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