8/4追記 キャラメルボックス『TRUTH』東京公演 5回目
8月2日(土)ソワレで観た『TRUTH』5回目は、夏休み本番で週末でもあり、初の遠征でいらしたお客さまが多かったのか、笑いやアクションシーンの反応がバーン!と気持ち良いくらいに返ってきて、これは演じる側も楽しいだろうな…と思わず嬉しくなりました♪ちょっとした事故(笑・帆平師匠のカツラが転んだ拍子に飛んだ!)にもかかわらず、俳優さんたちがすっかりベスト・パフォーマンスに戻っていて、いい意味で「落ち着いてきた」と感じました。
そして、再再演の緊張感について…今や誰を観ても比べる事なく唯一無二のキャラです。弦次郎も英之助も鏡吾も他のみんなも、最初のぎこちなさは消えました。
私はこの日『涙を数える』からの流れで観たせいか、弦次郎の姿が若き日の鏡吾にどこか被るようでもあり、英之助との回想シーンに明一郎を重ねて胸が痛み、今の鏡吾が堕ちてしまった心の闇の深さを思い、心が切り刻まれるような辛さがありました。
最初に比べて一際目をひかれるようになった畑中さんの弦次郎のお芝居を追いながら、ラストは本当に慟哭する彼とともに涙ぐんでいました。弦次郎と彼にかかわっていく一人一人の会話や表情の繊細な変化を感じています。三浦さんの英之助もだんだんこなれてきて、声も全く違和感がなくなって、今では大きな安心感が。弦次郎と向かい合う姿にもあの初日の遠慮に近いような「微妙な距離感」が消えていると思いました。
そして鏡吾は今ではもう誰とも混じりようのない、確固たる「長谷川鏡吾」になりました。4回目の後に再演のDVDを観ても、再び舞台と向き合った時の私のイメージは全くブレませんでした。大内さんが鏡吾の人生を全力で生きているのをひしひしと感じながら、2時間の間、私も鏡吾の心に寄り添いながら観ています。
後は変に安定してしまわず、これが初演だ!くらいの勢いで?2014年ならではの勢い良く突き抜けた幕末群像劇を見せて欲しいな…と(^-^)最終週〜千秋楽参戦は叶いませんが、残りの日程で出来る限り「ふたつの舞台がどこまで行き着くのか」見届けたいと思います。なんたって、あの『TRUTH』の再再演にリアルに立ち会えるだけで幸せで、それがとにかく嬉しいのです。感謝!!!(-人-)
☆ ☆ ☆
鏡吾の過去である『涙を数える』を観てから『TRUTH』を観るとどうなるか。
これが今回のテーマです。3回目の今夜は『鍵メソ』にも来てくれた友人を誘って一緒に観劇!
キャラメルボックス『TRUTH』
東京公演 3回目(ネタバレあり)
初日、火曜夜…と一人で観て、いよいよ今日は4公演目。最初の数場面で、すぐに「あれ?前と雰囲気が違うな」と感じました。舞台全体を包んでいたピリピリしたムードが消えて、役者さんがより自然体に役を演じはじめた、そんな空気感です。私の方が今回のキャストや演出に慣れてしまったのか?とも思ったのですが、よく見るとやっぱり役者さんの表情がとても(いい意味で)こわばりが解けていて、動きも違いました。しかも不思議なことに、初日や2回目に気になっていた「前作・前々作の幻影・幻聴」が、全く感じなくなり、意識はちゃんと目の前の舞台と向き合っている…「余分な力みがなくなった!」そう思いました。こんなに早く馴染んでくるなんて…と驚きました!!!
その代わり、といっては何ですが…前日が『涙を数える』初日、鏡吾の壮絶な過去を知ってしまったがために、今度は「何もかもがあの時から繋がっている」重みとの戦いになりました。
大内さんが目の前で演じている鏡吾の姿、その台詞も振る舞いも、存在そのものが「押し潰されそうに」大きく重い!この日の大内さん、最初に感じていた硬さが取れて(何か憑き物が落ちたように)素晴らしく生き生きとしたお芝居だなあ…と感じたのですが、それだけに『涙を数える』が教えてくれた「彼の抱える過去と、封印した友への想い」をリアルに重ねてしまっていたのかもしれません。
後半に行くにつれて弦次郎や三郎太、隼助、虎太郎たちとのやり取りをまともに見られなくなり、ダークサイドに蝕まれていく鏡吾の表情に胸が痛み、激情のまま迸る言葉の奥に押し殺した悲鳴が聞こえるようで、自分が斬り刻まれるように痛いのです。弦次郎に向かって鬼神のように刃を向ける鏡吾の姿に「お願いだからもう止めて!明一郎の言った『お前の望みは、俺の望みだ!前へ進め、鏡吾!』って、こんなことの為にあったんじゃない!!」と、もうボロボロ涙が溢れてきて止まりませんでした。←隣でハンカチ片手に嗚咽を堪える私に気付いて、友人は「何事っ?!」とビックリしたそうです(^^;
3回目にして、私はようやく涙を流すことができました。
虚心で観た、とでも言いましょうか。何か…ものすごくスッキリしました。
今後『涙を数える』とのオーバーラップが増えれば増えるほどに『TRUTH』ではこちらの精神状態もかなり極限まで行ってしまいそうな気がしておりまして、ちょっと怖いです。もともと感覚だけでどっぷり浸って観るタイプなので…ちゃんと光の世界に戻ってこれるんだろうか、私。(苦笑)
とはいえ、カテコでの三浦さんの挨拶や畑中さんや大内さんのちまちましたつつき合いに癒され、筒井さんの力いっぱいの追い出し(この日はキャスト撮影会があったのでカテコ2回で打ち切りという事態がw)に元気をもらって、何だか不思議な気持ちで泣き笑いしておりました。重い気持ちのまま返さない、というのは大事なこと…ですよね?!(個人的には役柄や余韻にどっぷり浸りたい方なので、カテコで「中の人」が出てくると動揺するタイプw)
★
さて。折角ですから今回は生キャラメル3回目!という友人の感想をご紹介します。
実は「ちょっと最初に確認させて」と聞かれまして「何が?」と言ったら「弦次郎って、途中から耳が聞こえるようになった…わけじゃないんだよね?普通に会話してるのは回想シーンだよね?」私「そうだけど?」友人「やっぱりそうだよね。いや、途中までこのお芝居が時系列順に進んでいるんじゃないってことに気が付かなくて、混乱したw」私「ごめんごめん(^^;」…まさかそこで躓いているとは思わなかったわ。言われてみると、確かに私もDVDの時には全く気にならなかったけど、初日は「あれ?」と一瞬記憶をたどることが多かったな。何故だろう?w
≪舞台の感想≫
・久しぶりに舞台後のアンケートを書いてみようという気になった。自分にとっては、時代劇の体裁は取っているけれども今と少しも変わらない友情、信頼、裏切りや愛といった人間そのものを描いたドラマだと思うし、舞台で起きていることは「今起きていても全然不思議じゃない」リアルさがあった。
・前回が『鍵泥棒のメソッド』で、すごく終演後の気持ちがカラっと明るい、思い切り笑える芝居だったから、今日は笑いを狙ってきているポイントでも「ホントにここで笑っていいのかな?」と思って、戸惑うことが多かったね。スッキリ感では断然『鍵メソ』でも、今日の舞台は別の部分で自分にヒットしたからOK。
・(Q:歴史苦手じゃなかった?)うん、でも時代劇は好きだよ(笑)歴史アレルギーな理由は歴史の勉強が「結果しか教えない」「記憶を強要される」「有名人や偉い人のことしか書いてない」からで、今日は誰一人そんな登場人物はいなかったし…それだけに「あの時代何がホントは起きていたんだろう?」っていう好奇心で楽しく観ることができた。多少台詞も砕けてるし、ハードルは低いよね。
・重いテーマだったけれど、もし誤解を恐れず言うなら「男だからこそ分かる!」登場人物たちの心の動きがあった。男の嫉妬や欲。男同士の友情や信頼よりもそっち(=負の感情)に目が行った。誰を見ても自分や身の回りにいる人間たちの中で何か思い当るところがあって、虚心では見られない。鏡吾が言う「身分が低い」というのも、例えば身分を学歴に置き換えたら全然他人事じゃないね。逆に、申し訳ないけど「男ドラマ」に目が行ってしまって、女性キャラの存在感が自分にはちょっと希薄だった。
・結局時代劇に名を借りた「人間の業」の芝居で、上田藩を会社組織に置き換えたら「サラリーマンあるある」ばかり(苦笑)…観ていてグサグサ刺さって痛かった。いいヤツだけど出世できない、あるいはその逆とか。一流大学出身で社内最大派閥のメンバーとか、○○大学じゃないと社長になれないとか、取締役同士の足の引っ張り合いとかね。讒言だってあるし、スキャンダルだってある。頭が良くて仕事ができても異端児扱いとか…そう思い始めると、鏡吾がやったことは人として間違ってはいるけど、組織の中で最底辺の人間が成り上がろうと思ったら、まともな手段ではとても無理だった…そんな言い訳も成り立つような気がしたんだよね。それに比べると、弦次郎や英之助や、他の面々のやってることが「甘い」と思ってしまう自分も、鏡吾と同じ「ダークサイド組」なんだろうね。
・鏡吾の想いやコンプレックス、上昇志向の背後に一体何があるのか、もっと知りたいと思った。正直(最初に時系列理解で戸惑ったぶん)1回観ただけでは深くはわからなかった。何であんなにご飯ネタで引っ張るのか分かんなかったし、現代人としては「父親の汚名を雪ぐため」っていう理由は余りにも個人的過ぎてちょっと納得が行かない部分はあったんだけど…(私:だったら絶対に『涙を数える』を観なくちゃ!いや、鏡吾について語るなら『涙』観てから言えッ!w)そうだね、鏡吾があそこまで手段を択ばない状態にまで追いつめられた、その理由を知りたくなった。
≪印象に残った役者さん≫
・最初のシーンで弦次郎が(鍵メソの)桜井だって気づいて、一瞬「ええええええッ!?」って思った!何あれ!今回桜井最強じゃん!!「オレはまだ本気出してないだけ!」だったのか?!(←二人で『鍵メソ』を思い出して大爆笑)
・冗談はさておき、前回よりも場面転換が目まぐるしくなかったから、登場人物や相互の関係はすっと頭に入ってきた。何人か『鍵メソ』に出てた人見つけて「おおおっ!あの人がこの役!」って思ったり。『鍵メソ』白版で香苗役だった人(=岡内さん)、声だけですぐわかった。今回の女性キャラではあの人の醸し出すお芝居の雰囲気が一番好きだな。わざわざ笑いネタに絡めなくても素敵だと思う。
・あと、殺陣!!速い!!すごい迫力!!座った席のせいもあるけど、もう近すぎて、打ち合う剣先がこっち飛んでくるんじゃないかって…ヒヤヒヤした。みんなすごく上手いし…着物姿がサマになってて、剣を持って立ってるだけでカッコいいなあー!と男でも思ったよ。ガチのチャンバラごっこは男の憧れだもんねw ←おいw
・『鍵メソ』つながりだと、工藤興業(笑)の二人の殺陣が切れ味良すぎて凄みがあった。三郎太やってた役者さん(=小多田さん)前のチンピラ役もそうだったけど今回も濃いキャラばっかりなのに抜群の存在感。でも、最初に優しげで弱そうだったキャラが最後に向けてどんどん強くなっていくのに、途中まで一番威勢の良かった三郎太が、鏡吾の企みがバレていくにつれて声もなく立ち尽くすシーンが印象的だった。きっと、根は単純ないい奴なんだよね。単純バカなのかもしれないけどw
・『鍵メソ』でもカッコいいよなって思ったけど、鏡吾役の大内さんは圧倒的だった。それに着物の方が数段良かった。どこにいても何をやっても華がある。声も艶があって響くし、聞いていてすごく心地良い。いい主役だよね~♪(私:え?弦次郎じゃないの?!w)…弦次郎は作品としての主役ポジションなんだろうけど、自分には「この舞台の主役は鏡吾だ」としか思えなかった。(←鏡吾は過去に上川隆也さんが演じた役なんだよ、と教えたらビックリしていた…)
・あと、お寺の和尚と山岡が一緒だって、途中まで気づかなかった!和尚いいよね、和尚サイコーwww今回唯一お腹の底から笑えたシーンだった。
★
時代劇らしからぬ英語タイトルの『TRUTH』に、最初は何だろう?と思ったらしいですが、帆平先生の言葉や舞台で繰り広げられる人間模様を観た後には、自分なりに腑に落ちた…と言っていました。
誰にでもTRUTHがある。
人に語れるTRUTHも、心に秘めているTRUTHもあっていいんじゃないかな。
鏡吾のTRUTHも、彼が言ったように「最初から無い」ではなかったと思うんだよね…。
旨いビールを飲みながら時に熱く、時にしんみりと鏡吾について語っていた我々でありました。
そして次回は『涙を数える』に参戦決定! ←やっぱりアナタも「長谷川鏡吾のTRUTHを見届ける」義務がある!(^-^)/
しかし…『TRUTH』に連日通うにはとても強い精神力が必要だと痛感。そして『涙を数える』で追い討ちをかけられるという。観る方ですらこれだけ消耗するんだから、演じる方はもっとだよなあ…と想いを馳せつつ、夏のハセキョーフェス(笑)まだまだ続きそうです。
■ ■ ■
明けて金曜日。今日は特に予定もなかった(週末忙しいw)ので、帰ろうかな…と思いましたが、当日券がかなり良い席余っていると聞いて&昨日の余韻が未だに冷めやらぬ状態だったので、サンシャイン劇場に出かけてみました。
キャラメルボックス『TRUTH』
東京公演 4回目(ネタバレあり)
当日にも関わらず8列目上手の良席で観ました…が。
自分でも拍子抜けするほどに冷静に舞台を眺めておりました。
何という…イマイチ感。(爆)
申し訳ないのですが「これが昨日の舞台と同じとは思えない!!」あろうことか、途中で集中が切れそうになったことも!(腕時計見て進行ペースをチェックしてたw)何かお客さんの反応が淡白で、笑いも涙もいまひとつ。そしてエネルギーが違う。あの、叩き付ける勢いがなくなってしまい、代わりに一部のキャストは少し台詞が走ってたり、軽くなってしまって、良くも悪くも(演じる方も観る方も)慣れなのかな?と考えました。
多分、今日再再演に初めて来た人が「これがキャラメルボックスのTRUTHか?」と私に聞いたなら、苦笑いして「うーん…当日半額券でいいからもう1回だけ観てくれない?」なんて言っちゃったかもしれない。隣に座ってるオジサマお二人が明らかに「ビミョー」という顔で観ているのに気づいても、否定できない自分がいました。
見せ場笑い所で反応返らないからか、役者さんたちもちょっと調子が変?でした…でも、観ているうちに私には何となくわかってきたのです。昨日の号泣者続出の観客席、友人に「女性のお客さんだけが泣いているのかと思ったら、男泣きに声を殺して泣いている人もいっぱいいて、ビックリした!」と言わしめた昨日の『TRUTH』夜公演。あれはきっと、みんなマチネ(または前日初日)の『涙を数える』を引きずって来てたんだ!と気づき、ハッとしました。
そうか、私だけじゃなかったんだ。
きっと『涙』を観た皆が、明一郎の魂と一緒に「もう止めろ、止めてくれ鏡吾!」と声なき叫びを上げていた――お前のTRUTHはちゃんとある!お前に未来を託した友を思い出せ…と。
昨夜のラストで弦次郎と鏡吾が睨み合う傍らに立つ英之助が『涙を数える』の明一郎にかぶった観客はきっとたくさん居ただろうと思います。
誰もが鏡吾の過酷な経験を思って涙して、そして鏡吾の深く傷ついた心に寄り添いながら一緒に苦しんで、二時間しっかり見届けた…もちろん大内鏡吾の後ろに「若き日の彼自身」多田鏡吾を見ていた、そして心の底から泣いていた…そう思うのです。
だから、観る側がとんでもないエネルギーを舞台に集中させていた昨夜の回が特別だった…とも言えるでしょう。私は内心で「ものすご~~い不完全燃焼感」をモヤモヤ抱えて帰りました。
何度も観ればこそ、こういう日もあるってこと。
それが「舞台はナマモノ」たる由縁なんだから仕方ない。
逆に考えると、明日夜公演の『TRUTH』は昼公演の『涙を数える』を受けての舞台です。週末でハコもきっと満員近いはず。
800人が過去と現在を共有しながらストーリーを見守るとき、凄い化学変化が起きるかも!?そう期待しています!!!
(8/2追記)
お芝居の感想は人それぞれです。座席の場所や周囲の雰囲気によっても違うと思います。
8/1についてはあくまでも自分の中の相対的な感想として書きとめました。
そして「凄い化学変化が起きるかも?」なんて書いてしまった2日夜の『TRUTH』では、ビックリするような大事件が!(笑)いや~…一瞬目が点になりました…(^^;
(余談:カーテンコールについて)
初日~2公演目までは畑中さん一言挨拶→大内さんがメインの挨拶、でしたが、3公演目から畑中さん一言挨拶→三浦さんがメインの挨拶→筒井さんが追い出し係(笑)のパターンになっているようです。確かに、あのラストシーンの後で弦次郎さんと鏡吾さんにしゃべらせるのはちょっと酷だと思いましたし、個人的にはラストの余韻に浸っているところへ「笑顔の中の人」が来たら動揺してしまうので、これで正解かも…?ちなみにとても落ち着いた挨拶の三浦さん…「まさかの〆」が大爆笑確実ですw