労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

特別条項発動できず

2024-09-15 11:30:56 | 36関連

リンク先Q&Aに立った質問、早期に締められてしまったので、ここで回答してみます。質問内容はリンク先を参照ください。

36協定の特別条項の発動について(日本の人事部Q&A)

答えは、発動したら残業できないとなります。回数制限にひっかからなくても、時間外40時間、休日労働20時間と、すでにあわせて特別条項枠に到達している状態ですので、発動した瞬間、時間外も休日労働もいっさいできないことになります。

できるのは、特別条項を発動することなく、一般条項の枠である時間外残り枠5時間、協定でゆるされた回数の法定休日労働にてこなすことになります。なお、法定休日労働は曜日特定等講じているのでなければ、一般的には時間外労働できなくなった瞬間、法定休日労働もできなくなってしまうでしょう。

また追加の質問にもあるように、ほかの年枠や単月100時間、複数月平均80時間も先に到来するようならこちらも厳守せねばなりません。

(2024年9月15日投稿)

関連記事

特別条項発動

2カ月ないし6カ月平均

36協定に書く数字

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特別条項発動

2024-06-01 11:38:47 | 36関連

先の働き方改革法で、特別条項が法定されました(労基法36条5項)。法制化されるまでは、限度基準に規定されているにとどまっていました。特別条項についての各種パンフレットが出回るに伴い、名称は一般条項とともに衆知されるようになりましたが、どうもその運用、発動のしかたが今一つあいまいになり、案内にかけるようなので、記事にしておきます。

協定

特別条項そのものの協定の仕方は、一般条項だけの「様式第9号(第16条第1項関係)」にかえて、「様式第9号の2(第16条第1項関係)」に記載し、事業所労働者過半数代表選出(過半数組織組合があるならその組合)との協定締結、労基署届け出、受付さえすれば発効手続き完了です。従前は協定届様式枠外空欄に適当に記載だったので、雲泥の差があります。

うち発動手続きのしかたは上記届け出様式の「限度時間を超えて労働させる場合における手続」欄に書けばよいことになっています(パンフ14ページ参照)。発動手続きの様態は前の記事にも載せましたが、大きく分けて労使間「協議」と、使用者から労側への「通告」のふた通り想定しています。どちらかを使って具体的手続きをしたためればよろしいでしょう。

発動

特別条項付きの協定届け出してあれば、それであとは一般条項の限度時間超えるたびに自動的に適用されるわけでなく、一般条項に定める限度時間、月なら45時間といった協定した時間を超過する前に、協定でとりきめた発動手続きを労使間で行わなければなりません。

超過してからの手続きでは、発動したことにならず、月(年)末までの時間外労働は32条他違反となります。特に年の限度枠は見過ごしにされやすいので、しっかり年累計時間数の把握管理が必要です。

その発動にあたっては従前からの通達に注意喚起されており、発動手続きしたことを書面に残すよう「その旨を(労基署に)届け出る必要はないが、労使当事者間においてとられた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておく必要があること。」としています。労基署にいつでも監督にはいられてもいいよう、開示できる整備をしておきたいものです。

(2024年6月1日投稿、2024年6月6日編集)

参考資料

協議書、通知書例(Q12)愛知労働局編

参考記事

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36協定に書く文言

2024-05-14 11:34:25 | 36関連

以前書いた記事「36協定に書く数字」の続編です。今回は協定届に書く文言についてです。

「特別条項」に対して「一般条項」という呼称が用いられているのを、働き方改革法施行時の特別条項つき36協定届(様式第9号の2)様式が新設されたのと並置してあるのを見てはじめて知りました。それまでは取り決めた特別条項を旧法様式(現様式第9号の4に類似)欄外に、その内容を付記補充する形でした。

一般条項、特別条項ともに業務内容を細分化して残業させる事由、人数、協定時数等を記載するのですが、一般条項に書く「時間外(休日)労働させる必要のある具体的事由」と、特別条項にある「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」の欄に書く事由は同じものを書けません。あくまで特別条項のほうは臨時的な内容に限るということで、一般条項と同じ内容書いたら指導ものになります。

ここでは、厚労省検討会での資料に実際の36協定届集計結果がでていましたので、特別条項に記載された特別な事情を抜粋してみました。

事由
顧客都合による仕様変更対応、納期逼迫 45.5
季節要因等による受注・顧客集中による業務繁忙 19.8
機械故障トラブル対応 11.0
予算決算・経理業務 8.0
急な離職等による人員不足 3.9
クレーム対応 3.7
事業所の移転新設 2.3
人事業務(採用・異動) 2%
未満
事業・経営計画策定見直し
株主総会対応
大規模システム導入更新
新規プロジェクト立ち上げ
取引先・官公庁対応
天候不順等自然要因による業務増加
災害事故からの復旧作業
事務所新設移転

つづいて、特別条項における「限度時間を超えて労働させる場合における手続」です。前掲の集計はおおまかな集計手法になっており、細部不問で「通告」83.9%、「協議」15.4%でした。だれとの協議、だれへの通告かは不明です。通告協議相手は労働者自身、中には労働者代表(組合)ということもあるでしょう。

さいごに健康福祉確保措置については、届け出様式裏面にある記載要領からの番号選択してのさらに具体的内容の記述になります。

(2024年5月14日投稿、2025年1月11日編集)

参考資料

労働基準関係法制研究会

時間外休日労働協定届集計結果

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36協定のチェックボックス

2024-01-01 10:58:49 | 36関連

働き方改革法で新様式になった36協定にチェックボックスが設けられたのは、ご存じのとおりです。それから1度マイナーチェンジされて、もう2種類のチェックボックスが追加されました。これとは別に届け出に届出者印鑑押印不要となりました。ただし、協定届書様式でもって協定書に代替する場合は、労使で協定締結した証としての署名、または記名押印が必要です。

今回は、新設追加されたチェックボックスについてです。

上記で定める時間数にかかわらず、時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満でなければならず、かつ2箇月から6箇月までを平均して80時間を超過しないこと。□(チェックボックスに要チェック)

これは、労働基準法36条6項にもうけられた、協定事項そのものでなく、個人ごとの労働時間管理に関する条文です。法定休日労働を含む時間外労働が、単月、複数月平均の上限を設けたもので、協定時数内であっても、この上限に達しまたは超えることができません。これは、特別条項をつけない一般条項だけの様式にも設けられています。これにチェックいれてない協定届は全体が無効になります。なお、36協定の有効期限をまたいでも6カ月にわたる期間内すべて計算となり、転職してきた労働者にも過去5カ月の労働時間数を自己申告いただくなりして、計算に乗せることになります(新法適用猶予期間をのぞく)。

次に、協定当事者、労側の資格についてのチェックボックスです。2種類あります。(引用内の符号 A B はブログ筆者が振りました。)

目をとおせばわかるのですが、事業所過半数組織労働組合が当事者になる場合は、(A)のチェックボックスだけにしるしを入れればよく、(B)はブランクでかまいません。後者は、事業所過半数組織労働組合がない事業所で、労働者過半数の信任を得て代表となる人の資格についてのチェック項目です。ここにしるしを入れてしまうと、過半数組織労働組合が、そうでないのに事業所内に半数以下の組合員しかいないことを自認してしまうことになります。

項目 過半数組織
労働組合
労働者過半数代表
(含む半数以下労組が代表として選出)
上記協定の当事者である労働組合が事業場の全ての労働者の過半数で組織する労働組合である又は上記協定の当事者である労働者の過半数を代表する者が事業場の全ての労働者の過半数を代表する者であること。□(チェックボックスに要チェック)
上記労働者の過半数を代表する者が、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でなく、かつ、同法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。□(チェックボックスに要チェック)
(ブランク)

(2024年1月1日投稿、2025年1月16日編集)

関連資料

押印原則の見直しQ1-6参照

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猶予事業の36協定

2023-08-01 15:13:51 | 36関連

2024年3月末日をもって、次の業種、業務の労働時間規制猶予が切れます。旧法での36協定を結べていたものが、新法適用となります。全面適用というわけで無く、適用されない部分もあります。その説明は別の機会にして、

  • 建設事業
  • 自動車運転業務
  • 診療医師

結んでいる36協定がどうなるのか、ちらほら質問が上がってきていますので、わかる範囲で説明してみたいと思います。

建設の事業は、労基法139条第2項、同法附則(平成30年7月6日法律第71号)2条により、対象期間のうち2024年3月31日、同年4月1日の両方を含む36協定は、その協定の始期から1年間は旧法の適用となります。

たとえば、令和5年8月1日開始翌年7月31日までの旧様式での36協定は7月の終期まで有効で、令和6年4月開始の新しい協定を結ぶ必要はなく、令和6年8月1日開始の新法適用の新協定を開始前に締結届出すればよいことになります。

働きかた改革法サイトにあった労基法Q&Aの抜粋です。改革法施行当時の移行説明のままですので、今回猶予切れにそのまま適用となりましょう。

2-8  時間外と休日労働の合計で、複数月平均80時間以下の適用は、新法適用から開始し、複数の36協定期間をまだいでの計算となりますが、旧法適用分は計算対象とはなりません。
2-20  施行日前と施行日後にまたがる期間の36協定は、協定の初日から1年間に限りその協定は有効。よって4月1日に協定しなおす必要はなく、その協定1年経過後に新たに定める協定から、上限規制に対応した協定にしてください。
2-24  複数月平均80時間以下とする規制は、どの36協定期間にかかわらず通して計算する必要があります。ただし猶予期間を計算に含める必要はありません。

厚労省が、猶予事業に対する事業者向け、国民むけ啓蒙サイトを開設しました。この中に、建設事業の「災害復旧復興事業」対応の36協定様式(第9号の3の2、3の3)が紹介されています。

(2023年8月1日投稿、2025年1月21日編集)

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36協定における休日の限度時間

2カ月ないし6カ月平均

36協定に書く数字

36協定に書く文言

時間外労働のカウント

月間時間外集計

労働者過半数代表

特別条項発動

月間時間外60時間超5割増賃金適用

月間割増賃金計算の積み上げ

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