労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

退職時にもらう6つの書類

2024-10-08 05:35:58 | 雇用
 

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退職手続して会社からもらう書類に次の6種類あります。

  1. 雇用保険被保険者証
  2. 年金手帳
  3. 源泉徴収票
  4. 離職票
  5. 健康保険の資格喪失証明書
  6. 退職証明書

最初の2つは、本来退職する会社の入社手続き後に渡され(返して)もらっている書類です。退職時に返してくれと催促したところ、いや入社時に返却しましたよといわれないためにも、しっかり保管しておきましょう。なお最近社会人になった人は年金手帳ではなく、年金番号通知書になります。

源泉徴収票は、年内再就職して同年内に給与賞与を受け取ることになる場合は、再就職先に提出する必要があります。年越してから最初の賃金受け取ることになる場合は、提出の必要はありません。まれに年内再就職先から賃金受けるも社内処理の都合で年末調整できない、ということもあるので、その場合は確定申告になります。退職した会社で年末調整を受けず、年内再就職がかなわないときも、もらった源泉徴収票で確定申告しておきましょう。納めすぎの税金戻りがある場合があります(確定申告:年明け住所地の税務署での手続き。税金納めることになるなら3月15日といった締め切りがあります。)。

以上はかならず発行される書類でした。以下はあなたが会社に希望して発行される書類になります。

離職票は、退職後再就職先をハロワで探す場合、基本手当(失業中の生活費)を受給するに必要な書類です。「離職票-1」と「離職票-2」と2セットになります。受給せずに自力で再就職先を探すことも可能です。離職後1年内に再就職をはたせば、前職の被保険者期間は生きてつなぐことが可能です。また再就職先を不本意に短期で離職することがあれば、新職の離職票とともに前職の離職票もあわせてハロワで必要となることがありますので、大切に保管ください。ハロワで求職の申込した場合は前職期間は0リセット、通算されません。新職場で育児休業給付金を考えている場合は12カ月という被保険者期間が必要になりますので、どうなさるか考えましょう。また希望しなくても離職時59歳以上の人へは離職票が発行されます。

前職の健康保険を任意継続する、1日も間もあかずに転職先に就職するのでなければ、健康保険の資格喪失証明書を退職前にお願いして発行してもらいます。言わないと発行しない(言えば発行してもらえますが)ので忘れずにお願いしておきましょう。無職中、国民健康保険等でつなぐ場合に必要な書類です。

退職証明書が必要なら、あらかじめ証明項目を指定して発行をお願いしておきます。解雇や再就職先で要求されてないかぎり、もらわなくてもよい書類です。退職でなく、雇用主から解雇されての離職でしたら、解雇理由証明書として必ず発行してもらいましょう。請求を受けた雇用主は遅滞なく発行する義務、要求されてない項目を記載しない義務があります。請求できる時効は退職後2年です。

(2024年10月8日投稿)

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職場情報開示にむけて

2024-02-01 11:06:46 | 雇用

このたびの厚労省労働制作審議会分科会で、「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」の作成について資料提示されていました。前々から話題にしていた、新卒向けの職場情報提供義務の中途採用版です。義務化なのか、またスケジューリング等はあきらかではありませんが、いよいよ始まるといったところです。資料から目についた開示事項等抜粋してみました。

  • 残業時間
  • 有給取得率
  • 賃金(含む手取低下しないか否か、中長期見通し)
  • 子育て支援(休業取得実績、時短制度)
  • 女性比率
  • 中途採用者割合
  • 人材育成支援
  • 在宅、テレワーク、兼業の可否
  • 配属部署、同世代入社者の声
  • 研修制度、フォロー体制、転勤の有無

開示に関しては、労(求職者)使、有識者から、いろいろな意見が上がっています。同じく目についたものを拾ってみます。記述に関しては筆者の主観がまじっています。

  • 企業単位のみならず配属先の情報の2本立てが重要
  • 開示できないなら、できないでその理由を併記して情報開示に前向きな姿勢を示すべき。改善の道筋を提示することも有用。
  • 情報開示は、求職者の就職先決定というよりも、検討対象選定に利用されている。
  • 研究開発に従事するに重要なのは就職先の研究対象であり、職場情報はさして重きをおいていない。
  • 社員数が少ないとデータに偏りが生じる
  • 提示するデータに各社で算出方法が異なる。算出方法や背景説明をあわせて明記すべき。
  • ネガティブな情報開示姿勢がかえって信頼を勝ち取る場合や、イメージギャップ解消につながる場合もある。
  • 多量の数値公開はかえって見たい情報にたどりつけない。情報更改頻度が落ちる、陳腐化といった問題がある。
  • 聞き出しにくい情報は、職業紹介業者をとおす、(採否を前提としない)カジュアル面接で聞き出すという手法もある。

労使それぞれ思惑言い分があるでしょう。かくされたネガティブ情報に失望を生むことで離職率高進する半面、あらかじめ開示しておくことがギャップ失望を生まずそういう企業なのだとの受け止めたかがすすみ、定着率に寄与する側面もあるとの理解がまたれます。開示できないしたくないそして企業努力もできない事業者は、求職者に見むきもされず労働市場から退出いただきたいものです。以下は、事前にアンケートした内容の抜粋です。

 
活用している情報源
  • 企業ホームページ
  • 求人情報サイト
  • ハロワインターネットサービス
  • ハロワ窓口
知りたい情報
  • 給与賞与額(年間収入)
  • 具体的職務内容
  • 始業終業時刻残業時間
  • 勤務地
  • 企業がもとめる人物像
  • 休暇取得実績
  • 処遇(賃金水準、昇進、配置)
  • 経営者の人柄考え方
  • 同僚上司となる人柄考え方
  • 1日の仕事の流れ
  • 職場環境
  • 出産育児介護復職にかかる支援
知りたくても調べられなかった情報
  • 職場の雰囲気、社風
  • 仕事内容
  • 経営者の人柄
  • 評価制度
  • 給与収入
  • 勤務時間残業時間
  • 定着率
手引きが公表されました
厚労省労働報道資料

(2024年2月1日投稿、2024年4月1日編集)

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労働関係書類の保管期間

2023-04-19 14:15:26 | 雇用

令和2年の法令改正で、改正民法にあわせ労基法の時効が2年から5年(当分3年)に延長されました。その案内Q&A中に、保管義務をさだめた書類である「その他労働関係に関する重要な書類」の一覧が示されました。

  種類 書類例 保管起算日
労働者名簿 労働者の死亡、退職、解雇の日
賃金台帳 最後の記入をした日※
雇入れに関する書類 雇入決定関係書類、契約書、労働条件通知書、履歴書、身元引受書等 労働者の死亡、退職、解雇の日
解雇に関する書類 解雇決定関係書類、解雇予告除外認定関係書類、予告手当または退職手当の領収書等 労働者の解雇の日
災害補償に関する書類 診断書、補償の支払、領収関係書類等 災害補償を終わった日
賃金に関する書類 賃金決定関係書類、昇給・減給関係書類等 書類記入完結の日※
その他労働関係に関する重要な書類 出勤簿、タイムカード等の記録、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類(使用者自ら始業・終業時間を記録したもの、残業命令書及びその報告書並びに労働者が自ら労働時間を記録した報告書)、労使協定書、各種許認可書、退職関係書類、休職・出向関係書類、事業内貯蓄金関係書類等 書類記入完結の日※

上記のほか、保管期限が同様に延長される書類として、次の書類があります。

⑧時間外・休日労働協定における健康福祉確保措置の実施状況に関する記録(則第17条第2項)
⑨専門業務型裁量労働制に係る労働時間の状況等に関する記録(則第24条の2の2第3項第2号)
⑩企画業務型裁量労働制に係る労働時間の状況等に関する記録(則第24条の2の3第3項第2号)
⑪企画業務型裁量労働制等に係る労使委員会の議事録(則第24条の2の4第2項)
⑫年次有給休暇管理簿(則第24条の7)
⑬高度プロフェッショナル制度に係る同意等に関する記録(則第34条の2第15項第4号)
⑭高度プロフェッショナル制度に係る労使委員会の議事録(則第34条の2の3)
⑮労働時間等設定改善委員会の議事録(労働時間等設定改善法施行規則第2条)
⑯労働時間等設定改善企業委員会の議事録(同第4条)

今回の労基法改正で、賃金債権が2年から当分3年に延長されましたが、関係書類の保管期間は元から3年でしたので、実質延長は、賃金債権にからむ起算日に関連して、次の書類の記入完結の日よりも、その書類にかかる賃金支払日がおそい場合は、賃金支払い日が保管期限の起算日となる変更となります。たとえば、3月20日締め3月中に記入完結しても、4月10日支払なら、後となった支払日が起算日です。

②賃金台帳
⑥賃金に関する書類
⑦その他労働関係に関する書類
⑨~⑯(上記参照)

出典:改正労働基準法に関するQ&A(令和2年4月1日)

(2023年4月19日投稿、2024年1月9日編集)

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虚偽求人企業ともくされないために

2023-02-10 08:40:54 | 雇用

平成30年1月改正職業安定法が施行されました。

その中に、虚偽の労働条件を提示して求人することは前から処罰対象であったのですが、それに加えてハロワーや職業紹介業者に同じく虚偽求人をたてることも刑事処罰対象となりました(法65条10号、懲役6月、罰金30万円)。

たてた求人票をみて応募してきた求職者と面接等折衝するうちに、就業条件を変更、特定、追加、削除したくなるでしょう。特に、「給与 20万円から25万円」と求人票に記載してある場合、応募してきた求職者の給与を22万円と決定することは、ここでいう「特定」に当たります。

そのことを本人へ伝えるのに口頭説明ですますのでなく、あわせて書面を用意しておき「提示」でなく書面「交付」が必須となっています。本人希望すれば、書面に換えて、ファックス、電子メール等でも交付可能です(施行規則4条の2第4項)。これが免罰要件となるのですから、確実に実施したいものです。

書面形式としては、新旧対比表といった形で、求職者にわかりいい方法をとるなど工夫が望まれます。

新旧対比表のイメージ

       様

この度は弊社求人にご応募いただきありがとうございました。あなたのご要望をうけ就業条件につきましては、下記の通り変更しますので、なにとどご検討のほどお願い申し上げます。

項目
給与額(特定) 20万円~25万円 22万円
通勤手当(変更) 月限度額2万円まで 同3万円まで
試用期間(取消) 入社後6カ月 (なし)
転勤範囲(追加) 長野支店限定 本社、長野支店に限定

最悪、雇入れを伝えるときの交付義務書面、労働条件通知書に該当箇所をアンダーラインをひいておくなりして、求人票からの変更等の部分だと言い渡しておく必要があります。

(2023年2月10日投稿)

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求人票、雇い入れ通知書、就業規則

2022-05-22 11:01:24 | 雇用

 たまに、雇入れ時に就業規則を交付すればいいか、という質問を見かけます。求人条件の提示とその異同を見てみましょう。

※入社後の変更する範囲を併記する必要があります。
求人票 雇入通知書 就業規則
職業安定法5条の3,規則4条の2第3項 労基法15条1項、規則5条 労基法89条
従事すべき業務内容※ 従事すべき業務内容※  
契約期間 契約期間  
  有期の場合更新基準  
試用期間    
就業場所※ 就業場所※  
始業終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日 始業終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換 始業終業時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換
賃金額(臨時の賃金賞与を除く) 賃金の決定、計算、支払い方法、締め日、支払日、昇給 賃金の決定、計算、支払い方法、締め日、支払日、昇給
  退職(解雇事由を含む) 退職(解雇事由を含む)
  退職手当(範囲、決定、計算、支払い方法、支払い期) 退職手当(範囲、決定、計算、支払い方法、支払い期)
  臨時の賃金、賞与、最低賃金 臨時の賃金、賞与、最低賃金
  労働者負担とする食費、作業用品 労働者負担とする食費、作業用品
  安全衛生 安全衛生
  職業訓練 職業訓練
  災害補償、業務外傷病扶助 災害補償、業務外傷病扶助
  表彰制裁 表彰制裁の種類程度
  休職制度  
適用される社会保険    
労働者を使用する事業者名    
派遣労働者として雇用する旨    
受動喫煙防止措置    
    労働者すべてに適用される定め

就業規則に、たとえば就業場所の明示がありませんが、事業所単位でそこに働く労働者に集団的に規律する規則ですので、性格を異にしており、明示の必要はないわけです。雇入れ時に就業規則を交付してすますには、あなたを労働者として雇う旨、従事させる業務内容、契約期間に関する事項、就業場所、賃金額といった個別に適用される項目を補充する必要があります。中には就業規則でなく、求人票交付でいいかという質問も同様に、雇う旨、中列にあって左列にない事項の補充が必要でしょう。

労働条件の相違

求人票と雇入れ通知書の相違は、職業安定法違反虚偽求人企業として、刑事処罰の対象です(懲役6カ月、罰金30万円)。

65条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

八 虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

九 虚偽の条件を提示して、公共職業安定所又は職業紹介を行う者に求人の申込みを行つた者

ところが雇入れ通知書と事実の相違は、刑事処罰の対象でなく、即日退職の権利を労働者に付与しているだけです。通知書そのものの不交付は30万円の罰金です。

(2022年5月22日投稿、2024年10月1日編集)

関連項目

労働条件通知書(無期雇用向け)

労働条件通知書(有期雇用向け)

雇用契約書と雇い入れ通知書

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