賃金を現金で手渡しって合法なんですか、という質問が立つくらい銀行振込がポピュラーになりました。とはいえ、6年前の調査ですが、銀行振込でない、給料手渡しする勤め先は、全国平均で10%と、まだ一定数あるようです。地域差も顕著で、関東東海は7~8%である一方、中国四国は20%と意外と高率です。郵貯以外で、地元の地方銀行1行、信用なんとかと名くのつく金融機関があればいいほうで、都市銀行1行もない地方もあるのだろうと想像に難くないです。市街地にあるならともかく、郊外だとアクセス悪いですし、事業者だって金子(きんす)そろえるのも一苦労でしょう。両替だけでなくコイン取り扱いも手数料とるご時世、銀行であってもコインは手間以外の何物でもなく、今後銀行振込が地方くまなく浸透していくのでしょうか。
労働基準法24条に賃金払いの原則が規定されています。
- 通貨で
- 直接労働者に
- 全額を
- 毎月一回以上
- 一定の日に
という内容で賃金払い5原則と呼ばれています。それぞれの原則に対しこまかな例外が定められていますが、銀行振込はこのうちの通貨払いの例外にあたります。
そこで、銀行振込に関する通達のうち参考になる分をピックアップしてみました。
・銀行振込するには、労働者の同意が必要だが、どういう形の同意取り付けでもよく、賃金振り込んで欲しいとの銀行名口座番号かかせた書面でもって、同意を推測できるとしてよい。
・振込は、賃金支払日に全額払いだせる形を要する。
・口座振込を実施する事業所は、労使協定の締結を要する(注:法令に根拠はなく、行政の要請でしょう。)。
・口座振込日に、賃金額、控除額、振込額を記載した書面を労働者に交付すること。
・振込日の午前10時までに口座から引き出し可能とすること。
・賃金計算を外部委託する場合であっても、振込実行は使用者がなすこと。
(2024年2月15日投稿)
関連記事
・給与明細書の仕組み
・新社会人のための給与制度のあらまし