労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

ひと月未満の変形労働時間制

2024-12-12 07:49:09 | 変形労働時間制
 

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変形労働時間制の相談を見かけました。日7時間半3勤1休という4日サイクルの繰り返しです。事業場としては年中無休体制で4班にわかれて勤務します。

ある班のある週を1休日をはさむ6日勤務で埋まると週所定45時間労働ですので、変形労働時間制利用します。1年単位か1カ月単位になります。これに似てちょっと特殊なパターンもあり、日勤、夕入り、翌朝明け、休日と7時間半と15時間勤務を4日間での繰り返し、こちらは1か月単位の変形労働時間制利用となります。

ところが困ったことに、暦月で区切るとある班のある月の巡りにより171(177)時間を超えてしまうというのです。

(30日-7休日)×7.5 = 172.5時間

(31日-7休日)×7.5 = 180時間

変形労働時間制の変形期間は、1カ月単位は月ちょうど、1年単位は1年ちょうどという制約はありません。 変形期間はそれぞれ1か月以内、1カ月を超え1年以内であればいいのです。

当初に示した勤務体系も、4日で回しますので、

4日×40時間÷7=22.8571…(22時間51分)が法定総枠となり

7.5時間×3勤務=22.5(22時間30分)または

7.5時間+15時間=22.5(22時間30分)

と、4日の法定総枠に収まります。月の賃金締め日とはずれまくりですが、4日(あるいはその整数倍28日)で回す1カ月単位の変形労働時間制をとると就業規則にうたえば規定として完結し、あとは各班のメンバーはだれとだれ、いつ日勤入りかと特定できさえすれば回っていくことになります。変形期間を月の賃金締め日とリンクさせねばならない、といった制約もありません。同様に、6日サイクル、5日サイクルでもあてがうことができます。

(2024年12月12日投稿)

 

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変形労働時間制とは

2021-12-30 09:28:29 | 変形労働時間制

変形労働時間制とは何でしょうか。よくこんな質問を見受けます。簡単に説明してみましょう。

人を使って働かせるには、法定労働時間を超えて働かせることができません。法定労働時間とは、日8時間、週40時間と定められています。これを超えて働かせると、その使用者は罰されます。これでは、病院の入院病棟や、老人ホームの福祉施設など終日夜勤させたい場合や、長距離トラックの運転など、さまざまな業態で支障がでてきます。人員確保して8時間3交替にするか、36協定を結んで割増賃金支払うしかありません。だからといって交代要員をトラックになにもさせずに同乗させるのも不経済です。そこで一定期間平均したら週40時間以下に収まる勤務体制を組むなら、労働者を使用してよいとする例外制度を設けました。それが変形労働時間制といわれているものです。

あらかじめ1カ月(あるいは1年)以内の一定期間の中で、労働日と労働時間を定めておきます。さだめた所定労働時間の累計時間をA、その一定期間(暦日数)をBとします。Bを7で割れば、その期間は何週分にあたるかの値Cになります。

AをCで割れば週あたりの労働時間がでます。その値が40時間以下なら、変形労働時間制として法定労働時間の例外として許容する制度です。

計算式:A÷(B÷7)≦40

ここでは何種類かある変形労働時間制のうち、一か月単位の変形労働時間制で説明します。この制度は大きく分けて、ひと月のうち繁閑が予測できるタイプと、夜勤など長時間勤務を組むタイプでの利用が見込まれています。

前者で説明すると、たとえば前月の締めをする経理とか給与計算事務のように、月のどの期間に業務が集中するかわかっているタイプに向いています。すなわち月の第5営業日までは、毎日10時間労働、その後は仕事がおちつき月末までの各労働日は7時間労働と、あらかじめ就業規則に定めておくことで、一か月単位の変形労働時間制を導入できます。変形労働時間制でないと10時間労働の日は2時間時間外労働ですが、変形労働時間制とすることで、変形期間を通じ平均して40時間以下に収め、その時間どおりに働かせる分には、時間外労働の発生はありません。

(表1)月の第5営業日までは、所定10時間、それ以降は所定7時間。

    1 2 3 4 5
    10:00 10:00 10:00 10:00  
6 7 8 9 10 11 12
  10:00 7:00 7:00 7:00 7:00  
13 14 15 16 17 18 19
  7:00 7:00 7:00 7:00 7:00  
20 21 22 23 24 25 26
  7:00 7:00 7:00 7:00 7:00  
27 28 29 30 31    
  7:00 7:00 7:00 7:00    

月間所定労働時間 10:00 × 5日+7:00 × 18日 = 176時間 

週平均 176時間÷(31日÷7日)=約39時間44分

後者のタイプですと、超時間夜勤専門で1勤務2日にまたがる16時間労働、月10勤務までと就業規則に規定し、実際の勤務日を、各月前に勤務予定表で提示する形をとることもできます。

(表2)日をまたぐ所定16時間勤務

    1 2 3 4 5
    16:00     16:00  
6 7 8 9 10 11 12
  16:00     16:00    
13 14 15 16 17 18 19
16:00     16:00     16:00
20 21 22 23 24 25 26
    16:00     16:00  
27 28 29 30      
  16:00          

月間所定労働時間 16:00 × 10日 = 160時間 

週平均 160時間÷(30日÷7日)=37時間20分

メリットデメリットはそれぞれにあります。使用者には予定通り働かせる場合は余分な時間外割増賃金を支払わずに済む反面、繁閑の予測がつく事業でないと思い通りには運用できない、という側面があります。労働者から見れば、決められた時間通りに働く分には時間外割増賃金をあてにできません。その代わり、長時間連続なら休日が増える、逆に休日が減る代わりに早く仕事があがる、あるいは労働時間の長短というメリハリの利いた就業、トレードオフながら労働時間減、休日数増のどちらかを享受できます。

一か月単位の変形労働時間制のよく似た制度で、1年単位の変形労働時間制があります。こちらは制約が多いため、1勤務16時間労働といった長時間ものには利用できませんが、前者のタイプ、変形期間の1年、3カ月周期で繁閑の見通しがつく業務に利用されます。

お勤め先が、変形労働時間制かどうかはどのように見極めたらいいのでしょうか。

まず、就業規則かその規則に基づいて立てた勤務予定表でもって、1か月とか1年といった一定期間、いつが労働日か、労働日なら何時間働くかが、あらかじめ特定されていることが大事です。その勤務予定表どおり働く分には、時間外労働は生じません。ただ深夜に対しては深夜割増賃金がつきます。

(2021年12月30日投稿、2022年3月19日編集)

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1カ月単位と1年単位の変形労働時間制の異同

2021-06-15 15:57:30 | 変形労働時間制

変形労働時間制のうち、1カ月単位と1年単位の違いを表にしてみました。利用形態として、(月)業務の特質(長夜勤等)や月周期での繁閑にあわせての利用が主、(年)盆暮れ休みを週6日制に振り替える利用が主となる。そのため、(月)は大企業の特定業務に限った利用、(年)は中小零細企業者がフルに労働日を確保したいといった傾向がみられます。

  1カ月単位 1年単位
根拠条文 労働基準法32条の2 労働基準法32条の4
変形期間 2日以上1カ月以内 1カ月を超え1年以内
労使協定 任意、協定締結したら届け出 必須、締結が発効要件。締結した協定は要届け出
運用形態 就業規則またはそれに代わる書面(就業規則制定義務のない事業所) 左に同じ
所定労働日、労働時間の特定 月の全期間 原則全期間、最初のひと月だけ特定しておく例外運用あり※
日、週の労働時間の上限 なし 日10時間、週52時間
総労働日数の限度 なし 年280労働日以内
休日 週休制または変形週休制の範囲内 6連勤が最長(特定期間の例外あり)、いずれも週休制の範囲内
年少者保護    
期間途中 規定なし 途中加入離脱者への清算規定あり
法定総枠 暦日数×40時間÷7日 左に同じ

なお、年については3カ月以内の場合は上に述べた制約が解かれる場合がある(詳しくは1年単位の変形労働時間制についてを参照)。時間外労働の把握に、変形期間枠での把握は、(月)はその月内に清算となるが、(年)は原則最終月においての清算となり、その月の日、週で生じた時間外とをあわせて、36協定枠内に収まらせないといけない。だからといって1年単位の変形労働時間制で、月ごとに時間外労働を把握して清算するのは間違いです。

(※)1か月単位の変形労働時間制であれば、勤務予定表はどんなにおそくとも初日の前日までに確定し、各労働者に通知すればよいです(期間到来前に確定通知してあればよく、何日前といった法令の定めはありません)。一方、1年単位であれば1か月以上の期間ごとに区分して、各期間ごとの労働日数、総労働時間を協定しておくことで、月ごとの勤務予定表をその月がめぐって来るまでに確定しておく例外運用がありますが、この1年単位の例外運用は労働者代表の承認をとりつけるだけでなく、その月初日の30日前に確定しておく必要があります。たとえば、1月1日開始の勤務カレンダーですと、30日前の12月1日には確定承認取り付ける必要があります。

(2021年6月15日投稿、2022年7月19日編集)

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1年単位の変形労働時間制について

2021-05-01 09:23:25 | 変形労働時間制

変形労働時間制のひとつ、1年単位は制約の多い労働時間制度の例外規定です。制約が多い割には、中小零細企業に使用例がおおく、もっぱら週6日制を多用する目的と思われます。すなわち盆暮れ休みさせた分を、通期の土曜出勤にあてるという構図です。締結した協定書写しは労基署に届出書に添付。また就業規則にも変形労働時間制をとる場合の始業終業時刻、休憩時間帯、休日の定めを規定しおく必要があります。それでは、協定事項等を見ていきましょう。

協定事項

  • 対象労働者の範囲
  • 対象期間
  • 特定期間(定めなくても可、対象期間のほとんどとするのは不可)
  • 労働日とその各日の労働時間
  • 有効期間(労働協約による場合を除く)

1年単位、元は3カ月単位の変形労働時間制でした。平成5年の労基法改正で、3カ月から1年に伸長し、変形期間3カ月以内であれば一部制約フリーの部分が生じたわけです。その違いを見ていきましょう。

項目 変形期間3カ月以内 3カ月超える変形期間
対象労働者 18歳未満は不可(日8時間週48時間以下であれば可)妊産婦の請求があれば週40時間、日8時間以下に限る
対象期間 1か月を超え1年以内
労働日と労働時間の特定 全期間の労働日と労働時間を決定しておく ただし、1カ月以上の期間に区分して・最初の期間における労働日、労働日ごとの労働時間・次の期間以降の各期間の労働日数、各期間の総労働時間を協定しておくことで、次期以降の各期間初日30日前に各期間の労働日、各労働日の労働時間を労働者代表の同意をえる例外運用が可能。
総労働日数の限度 (制限なし) 年280日(1年より短い対象期間は、按分比例した日数) 旧協定での1日または1週間の労働時間よりも、新協定の労働時間を長く定め、かつ日9時間または週48時間を超えることとした場合、280日または旧協定の総労働日数から1日減じた日数のいずれか少ない日数としなければならない。
日、週の労働時間の限度 日10時間、週52時間が限度 隔日タクシー運転業務は1日16時間まで 左のほか※
・週48時超える所定労働時間の設定は、連続3週以内
・対象期間の初日から3カ月区切った各期間において、週48時間を超える所定労働時間を設けた週の初日は3以内
(ここでいう週は、対象期間の初日の曜日を起算日とする7日間を指す)
指定降雪地域の建設業の屋外労働者(およびその現場に出入りする貨物自動車運転業務)は非適用
対象期間の連続労働日数 最長6日まで。協定に特定期間*を設ければ1週間に1休日確保で可。
36協定時間外労働の協定上限 月45時間、年360時間 月42時間、年320時間

・特定期間*は計測可能とするため、週を単位に期間指定することが望ましいと思われます。

対象期間の途中で出入りする労働者には、日、週で時間外労働としなかった時間が、在籍期間からもとまる法定総枠超えしている場合は、割増賃金つけて清算する義務があります(労基法32条の4の2)。これは同一事業場の、ことなるカレンダーを使用している部署異動にも適用されます。

48時間超える週の制限について

対象期間の初日の曜日を週の起算曜日として区切り、

  1. 48時間超えの週が連続3週以内、
  2. 対象期間の初日から3カ月ごとに区切り、48時間超える週の初日が3以下

2.がわかりづらいですが、要するに3カ月跨ぎの週は、その週の初日が属する3カ月期間にカウントするという意味です。下表は1月1日開始1年単位の変形労働時間制です。開始日の1/1と同曜日で週を区切り、48時間超えの週をピックアップし、3カ月ごとに48時間こえる週の初日が3回以下とする制限があります。下表によれば、1月~3月の3カ月の48時間超えの週が3週連続し、かつほかに48時間超えの週が同3カ月内にありませんので、適合。4月~6月の3カ月期間内に6/25の週が48時間超え週のカウントに入りますので、不適合となります。

40時間 48h 52h  
1/1~        
1/8~       1回目
1/15~       2回目 
1/22~       3回目
1/29~        
       
3/26~        
4/2~       1回目
       
5/14~       2回目 
5/21~       3回目
       
6/25~       4回目(不可)
7/2~        
         

(2021年5月1日投稿 2023年10月30日投稿)

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変形労働における時間外労働の把握2

2021-04-29 09:17:56 | 変形労働時間制

法定労働時間の例外である変形労働時間では、時間外労働を

その日の所定労働時間を超えて働いた時間、ただしその日の所定労働時間が8時間以下の日は法定労働時間の8時間を超えて働いた時間 法定休日労働を除く(以下同じ)
その週の所定労働時間を超えて働いた時間、ただしその週の所定労働時間が40時間以下の週は法定労働時間の週40時間を超えて働いた時間 日においてすでに時間外労働とした時間を除く
変形期間 変形期間※における法定労働時間の総枠 ( = 暦日数※ × 40 ÷ 7))を超えて労働した時間 日、週においてすでに時間外労働とした時間を除く

の3段階で把握します。

なお変形期間の総枠だけで時間外を判定することはできません。かならず、日、週、変形期間の3段階での判定に付します。週については就業規則に規定してなければ、暦に従い日曜に始まり土曜日で終わります。なお、法定休日とした日(0時から24時まで)の労働はこのカウントには入りません。

それでは具体的に数字をあげて見ていきましょう。(カッコ書きで週累計時間を記載していますが、週の時間外労働算出する計算過程をわかっていただけるように列記しました。)

  所定労働時間 実労働時間 時間外労働の部分
週(週累計)
 1水 8:00 8:00 0:00 (8:00)
 2木 8:00 8:00 0:00 (16:00)
 3金 8:00 8:15 0:15 (24:00)
 4土 休日 8:00 0:00 8:00
 5日 休日 休日 0:00 (0:00)
 6月 9:00 9:00 0:00 (9:00)
 7火 9:00 9:00 0:00 (18:00)
 8水 9:00 9:00 0:00 (27:00)
 9木 9:00 9:00 0:00 (36:00)
10金 9:00 9:15 0:15 (45:00)
11土 休日 3:11 0:00 3:11
12日 休日 休日 0:00 (0:00)
13月 7:00 7:00 0:00 (7:00)
14火 7:00 7:00 0:00 (14:00)
15水 7:00 7:00 0:00 (21:00)
16木 7:00 7:15 0:00 (28:15)
17金 7:00 8:25 0:25 (36:15)
18土 休日 4:35 0:00 0:50(40:00)
19日 休日 休日 0:00 (0:00)
20月 8:00 8:00 0:00 (8:00)
21火 8:00 8:00 0:00 (16:00)
22水 8:00 8:00 0:00 (24:00)
23木 8:00 8:00 0:00 (32:00)
24金 8:00 8:15 0:15 (40:00)
25土 休日 2:35 0:00 2:35
26日 休日 休日 0:00 (0:00)
27月 6:00 6:00 0:00 (6:00)
28火 6:00 6:00 0:00 (12:00)
29水 6:00 6:00 0:00 (18:00)
30木 6:00 6:00 0:00 (24:00)
31金 6:00 8:45 0:45 (32:00)
この月時間外合計 1:55 14:36

次に週ごとの数値を再掲してみましょう。

  週の所定労働時間(a) 週の法定総枠(b) 実労働時間(c:日で時間外とした部分を除く) 週における時間外(cーmax(a,b))
第1週 24:00 22:51 32:00 8:00
第2週 45:00 40:00 48:11 3:11
第3週 35:00 40:00 40:50 0:50
第4週 40:00 40:00 42:35 2:35
第5週 30:00 34:17 32:00 0:00
      14:36

週別に解説しましょう。7日未満の端数週となる第1週、第5週はこのあとで説明します。

第2週:所定>法定、所定45時間を超えた3時間11分がこの週の時間外労働。
第3週:所定<法定法定40時間を超えた50分が時間外労働。
第4週:所定=法定、法定40時間を超えた2時間35分が時間外労働。

次に端数週は、法定労働時間40時間をその端数週の暦日数でもとめた時間数に置き換えします。通常の労働時間制ですと、日、週の2段階ですが、変形労働時間制は変形期間ごとに清算しますので、同期間をまたぐ週はそれぞれに切り分けての計算となります。

第1週:4日×40時間÷7=22.857(22時間51分)
第5週:6日×40時間÷7=34.285(34時間17分)
第1週:所定(24:00)>法定(22:51)、所定24時間を超えた8時間が時間外労働。
第5週:所定(30:00)<法定(34:17)法定34時間17分を超えた部分はない。
この変形期間の法定総枠 177:08(31日×40÷7=177.142)
総実労働時間:197:31

この総実労働時間から、日、週で時間外とした時間を控除し、法定総枠との比較で、変形期間での時間外労働を求めます。

197:31ー16:31(=日1:55+週14:36)=181:00
181:00ー177:08=3:52(変形期間総枠超え部分)

結果、この変形期間の総時間外労働:

20:23(=日1:55+週14:36+変形期間3:52)

【ご参考】

暦日数×40時間÷7日
暦日数 計算値 時間:分
(分未満切り捨て)
28日 160.000 160時間00分
29日 165.7143… 165時間42分
30日 171.4286… 171時間25分
31日 177.1429… 177時間08分
 
暦日数 計算値 時間:分
(分未満切り捨て)
1日 5.714… 5時間42分
2日 11.428… 11時間25分
3日 17.142… 17時間08分
4日 22.857… 22時間51分
5日 28.571… 28時間34分
6日 34.285… 34時間17分
7日 40.000 40時間00分

最後に、フレックスタイム制で認められている総労働時間のうち法定総枠(31日の月なら177時間8分)超えたところから時間外労働とするのを、1カ月単位、1年単位の変形労働時間制にあてはめるのは間違いです。上の例では、たまたま一致したにすぎません(197:31-177:08=20:23)。たとえば月間所定労働時間160時間の月に毎日こつこつ45分残業し時間175時間に達したとします。フレックス制ではなるほど時間外労働0分ですが、変形労働時間制では、日8時間超えの45分20日残業したので、15時間分の時間外労働が発生しています。

(2021年4月29日投稿 2022年8月14日編集)

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