労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

資格取得時の残業代

2024-09-25 09:02:31 | 社会保険

入社時に健康保険、厚生年金保険と社会保険をお手当しますが、その保険料の元となる資格取得時決定にかかるお話になります。

まだ賃金払う実績のない前に、報酬月額を決めて資格取得届をださないといけないのですが、契約賃金をもとにきめているのが大半でしょう。では残業代については斟酌しなくていいのかについての記事です。

年金機構サイトを調べた範囲では、直接言及しているページをみつけることはできませんでしたが、残業見込みちがいで資格取得時訂正届をだせるかという問い合わせに、機構側は出せませんと回答(日本年金機構 年金Q&A(標準報酬月額)同 取り扱い事例集 5ページ 問1)していました。間接的ですが、資格取得時の報酬月額に残業代をふくめて算出することがわかります。

では残業代いくらを見込んで計算するかについては、契約した所定賃金と違い目分量にしたいところですが、こちらは法定されています。

同 資格取得時の決定

残業代ですので(2)時間をもとに決定される報酬として扱い、目分量見込み額でなく、「同様の業務に従事し、同様の報酬を受ける者が、入社前1か月の実績平均額」となります。そして(4)により基本給ほかと合算になります。固定残業代制なら(1)相当ですが、(2)で出した額が上回るなら、差額も計上でしょう。なお月給制でない、日給時給で雇い入れるパートアルバイトも、契約からの算出額ではなく、(2)の方式で算定しますので、注意が必要です。

(2024年9月25日投稿)

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短時間就労者の定時決定

2023-12-16 10:51:15 | 社会保険

社会保険(健康保険、厚生年金保険)の定時決定のルールです。正規の労働者より短い時間で働く(「正規の3分の4」(だいたい週30時間あたり)以上)被保険者へのルールです。短時間「就労者」といい、適用される定時決定は複雑です。なお特定適用事業所で働く短時間「労働者」(週20時間以上「正規の3分の4」未満)は11日以上の月で算定となります。以下は短時間「就労者」への適用されるルールの説明です。

定時改定
協会けんぽの説明
年金機構の説明

複雑というのは17日以上がどうだ、なければ15日以上のなんたらかんたら、、、。そこで表にしてまとめてみましたらなんのことはない単純明快で、拍子抜けしました。ともあれ理解のたしになるであろう一覧にしておきます。

凡例

支払基礎日数が

 17日↑ 17日以上
↓17日  17日未満
 15日↑ 15日以上17日未満
↓15日  15日未満

算定対象月が単月、2カ月の場合は、4,5,6月のいずれかにあてはまる場合を含みます。

優先
順位
4月 5月 6月 摘要
 17日↑  17日↑  17日↑ 3か月平均
 17日↑  17日↑ ↓17日  17日未満の月を除外して平均
 17日↑ ↓17日  ↓17日  17日以上ある月を対象
 15日↑  15日↑  15日↑ 3か月平均
 15日↑  15日↑ ↓15日  15日未満の月を除外して平均
 15日↑ ↓15日  ↓15日  15日以上ある月を対象
↓15日  ↓15日  ↓15日  従前報酬月額のまま

以上は定時決定の場合で、随時改定はすべての月が17日(短時間労働者は11日以上)以上あることが条件です。

(2023年12月16日投稿、2024年3月3日編集)

参考サイト

年金機構の説明(随時改定)

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定時決定、随時改定の1年平均

社保拡大適用

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随時改定の判断基準

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定時決定、随時改定の1年平均

2023-10-13 15:39:48 | 社会保険

毎年4月から6月にかけて受け取る給料が残業等で他の月より多い労働者にとって、年収では同じ層の労働者に比べ割高な社会保険料を通年収めるといった不満がありました。

そこで、平成23年ごろの定時決定から、年平均をベースに保険料設定できる制度が始まりました。一方定時にくらべ複雑な随時改定は、遅れて平成30年10月に年平均が始まりました。

両制度ともたまたま対象期間と業務多忙がかち合ったというだけではだめで、毎年同時期の繁忙期にあたる、といった恒常性が必要です。また労働者が希望するたけでもだめで、使用者がその必要を認める、といった双方性が条件です。

両者は1年かけて平均をとるのですが、対象となる賃金が微妙にことなります。それをイメージで図示してみました。

定時決定の1年平均

単純に3か月平均とのこり9か月を加えた1年平均を求め比較し、諸条件に合致しているとの申請をし、年平均の標準報酬月額として9月からの保険料適用します。

  固定的部分 非固定的部分
前年7月      
8月      
9月      
10月      
11月      
12月      
本年1月      
2月      
3月      
4月      
5月       
6月       

次に説明する随時と異なり、3か月平均と1年平均との差が2等級以上ある場合が該当します。

随時改定の1年平均

定時とは異なり、1年平均は非固定的賃金を対象とし年間の月平均を求め、固定的賃金は変動月以後3か月のみを対象とし月平均をもとめ合算比較します。諸条件に合致しているとの申請をし、年平均の標準報酬月額として第4月からの保険料適用します。

  固定的部分 非固定的部分
-9月        
-8月        
-7月        
-6月 (計算対象外)      
-5月        
-4月        
-3月        
-2月        
-1月        
変動月      
第2月       
第3月       

月変における主要な要件を列挙してみます。

  1. 現在の標準報酬月額
  2. 従前の3か月平均
  3. 1年平均
  • AB間に2等級差以上あること(これがないと従前の月変にあたりません)
  • BC間に2等級差以上あること(1等級差以下ならさわぐことでもないのでしょうか)
  • AC間に1等級差以上あること(1等級でも抑えたいということです)

(2023年10月13日投稿)

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社保拡大適用

2023-07-09 15:02:20 | 社会保険

将来見返すときに備えてのメモです。

根拠法

公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(年金機能強化法)

対象企業

501人以上 2016年10月から
101人以上 2022年10月から
51人以上 2024年10月から

従業員のカウントは、同一法人番号にて雇用される厚生年金被保険者数(週所定労働時間が正規の3/4以上)、個人事業は事業所ごと。

閾値にある企業は、過去1年間に6カ月上回る場合に適用。

特定適用事業所以外の事業所が、対象労働者の過半数同意をもって任意特定適用事業所となることができる。 特定適用事業所が、閾値を下回っても特定適用事業所とするが、被保険者の4分の3以上の同意とりつけ申出で、該当しないものとして取り扱い可。任意特定適用事業所も同様。

対象労働者

被保険者でない短時間労働者が、下記4条件すべてあてはまる労働者を対象とする。

週所定労働時間が20時間以上30時間未満※1
月額賃金は8万8千円以上※1
2か月を超える雇用見込み(2022年9月までは1年見込み)※2
昼間学生でない(卒業見込みで卒業前に就職、休学中を除く)

※1:契約上から導かれる理論値。臨時に払われる賃金、時間外休日深夜割増 精勤、通勤、家族手当を含まない一方、資格取得時の標準報酬月額は、残業代、通勤交通費等を含んだ額で算定。契約時間は、実績時間が2カ月連続して該当する場合は、3カ月目から対象。

月等で所定労働時間を定めている 12倍して52週で除す
特定の月で例外的な長短がある 特定の月を除いて判断
年単位で所定労働時間を定めている 52週で除す
週所定労働時間が短期的周期的に変動 加重平均で算定

※2:2カ月以内契約でも、更新する場合がある、同様の契約で更新されている場合は、当初から対象とします。従前は、正規の3/4時間で2か月以内契約は、更新してからの資格取得。

今後のスケジュール

2024/12公表された見込み

2026/10賃金要件撤廃
2027/10企業人数要件撤廃
2029/10個人事業任意要件(5人以上)撤廃

(2023年7月9日投稿、2024年12月25日編集)

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随時改定の判断基準

2023-03-02 13:40:09 | 社会保険

社会保険の月額変更届をだす条件として

  1. 固定的賃金の変動
  2. 変動月から3カ月平均(非固定的賃金を含む)からの標準報酬月額と現同月額と2等級差以上
  3. 支払基礎日数が3カ月全月17(11)日以上

すべての条件みたした4か月目に標準報酬月額の改定を届出しその月から保険料が改定されます。 ところで、1の増減の向きと2の向きが一致しての改定となります。向きが一致しない場合は対象としません。そのことを一覧表にしてみました。定時改定に対し随時改定があり、その届け出を月額変更届、略して月変と呼んでいます。変動のあった月(例外翌月)を起算月として3か月平均をとります。

固定的賃金 減少
等級増減 -2 -1 +1 +2
月変の実施 × × × ×
 
固定的賃金 増加
等級増減 -2 -1 +1 +2
月変の実施 × × × ×
 
固定的賃金 増加減少あわせて±0
等級増減 -2 -1 +1 +2
月変の実施 × × × × ×
 
固定的賃金 増加減少不定
等級増減 -2 -1 +1 +2
月変の実施 × × ×

上、4パターン書きましたが、パターンCは、複数の固定的賃金変動を足し合わせてプラマイ0のケースです。一方、パターンDは、複数の固定的賃金変動あるも、そのうち変動が各月一定しないケースを含む場合です。たとえば、通勤手当で単価の増減したが毎月不定の出勤日数倍するケースです。ただし、変動しない方が変動する方を上回っている場合は、AまたはBとなります。

随時改定の対象

  • 昇給、降給
  • 日給から月給へといった給与体制の変更
  • 日給、時給、通勤手当等の基礎単価の変更
  • 請負給、歩合給の単価、率・制度の変更
  • 固定的賃金の支給額の変更
  • 固定、非固定的手当の創出、廃止

年金機構から手引き 事例集のほかに、疑義照会回答(厚年保険 適用)がでています。その回答集の中から随時改定につながるものを抜粋要約しました。適用される場合は、必ず原文にあたってください。

(取得27) 月の中途入社で、月例手当の一部が全額翌月支給となる(日割り支給しない)場合、取得時決定では含めず、翌月支給をもって随時改定の起算月となる。
(月変1) 基本給が毎月変動する場合でも、固定的賃金の変動として扱い、変動したそれぞれの月を起算月として随時改定の可否を判断する。
(月変2) 育休終了後時短開始の契約変更で、通勤手当が2カ月遅れで支給する場合、時短の賃金支給月が随時改定の起算月となり、通勤手当は実支給月に計上する。
(月変3) 翌月以降の各月に改定された通勤費を半年分まとめて支払われる場合、支払月のみをもって起算月とする。
(月変4) 4月からの6カ月定期券代を2月に支給する場合において、期中住所変更に伴う定期券も含め支払われた場合、定期券の開始月でなく、支払い月の2月から6カ月に分割して割り振り起算月となる。
(月変7) 固定的賃金の変更が月ごとに支給額が変動する(例:通勤手当単価の変更×出勤日数で支給(A)するタイプ)、固定的賃金の変更が複数あって、各月の増減が確定しない場合のうち、変動しない固定的賃金の変更(B)>Aなら、Bの変更で比較、B<Aなら3カ月平均の増減で改定をおこなう。
(月変9) 役員から従業員といった身分変更で、基本給がさがり、残業代がつくといった変更がともなう場合、それぞれの固定的賃金変更があったものとして変動が反映された月ごとに起算月とします。
(月変10) 同一月に固定的賃金変動複数生じる場合でも、実際反映する月が異なるなら、それぞれ反映された月ごとに起算月とします。
(月変11) 残業代の締め日変更は、固定的賃金変動とはならない。また固定的賃金の変動による時間外手当の時間単価変更は、固定的賃金の変動にあたらない。
(月変12) すでに支払った手当の遡及的減額は、減額を行った月を起算月とする。遡及部分は控除前を算入する。
(月変13) 固定的賃金変動の平均とる3か月間に、さらに遡及の昇給があった場合、最初の3カ月はそれぞれの月の実支給額で、新たな3カ月でも随時改定にあたるかになります。
(月変16・21) 時給制の1日の所定労働時間の変更、月所定日数の変更も起算月となります。
(月変17) 非固定的賃金の創設廃止であって、当該月(廃止なら前月)に支給がない場合でも、当該月が起算月となる。
(月変22) 担当現場ごとの日給単価が変わったり、異なる日給単価の複数受け持ちが単数受け持ちになれば、起算月となる。
(月変23) 懲戒減給は改定の対象とならず、降給のみ改定対象となる。
(月変26) 固定的賃金の変動が賃金計算期間の途中にあった場合、翌支払い月が起算月となる。
(月変27・31) 複数の固定的賃金の変動は、増減たしあわせた増加、減額の一方での改定となる。増減たしあわせて増加減なしなら、改定とならない。
(月変32) 育児時短、就業規則に規定した理由による時短の場合、改定の対象となる。

問答集のうち、一時帰休、休職、休業のケースは割愛してあります。必要な方は、上の手引き等をお読みになるか、年金事務所にお問い合わせください。

(2023年3月2日投稿、2023年6月7日編集)

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