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労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

死亡退職金

2025-04-08 09:17:58 | その他法務
 

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死亡を原因とする雇用関係終了で、退職金が遺族に支払われる場合があります。

この退職金は死亡労働者の所得ではないのですが、受け取る遺族が相続税の計算にのせてよいことになっているため、相続財産と勘違いするようです。

これとは異なる類似のケースで労働者が生前退職し、退職金支給日までに死亡した場合、この未払退職金は相続債権として遺産を構成し、相続の対象となり、法定相続分に従い法定相続人の受け取りとなります。

ところが表題の退職金は労働者の死後発生するため、労働者の所得、遺族の遺産のいずれでもなく、いわゆる企業から遺族への贈与にあたります。遺産でもないので受け取りは法定相続人ではなく、会社規定の受取人とできます。この規定ない場合、相続人複数の間でのいわゆる争続に巻き込まれるので、供託といった面倒な手続する手間を考えるなら、受取人を規定しておくのがリスク回避に役立つでしょう。

で、中ほどに書いた相続財産となる退職金を、規定にあるからとうかつに遺族に支払うと、今度は受け取れなかった他の法定相続人から相続分の支払いを要求されることが想定されます。退職金の2重払いに陥るのです。まさに争続の渦中に企業が巻き込まれかねません。退職金のある会社は、退職金規定がこれらの一連のケースを峻別して規定化されているか、今一度点検されるといいでしょう。

(2025年4月8日投稿)

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公益者通報制度の今後

2025-01-06 13:41:18 | その他法務
 

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2024年暮れに、公益通報者保護法に刑事罰を設けるとの報告が消費者庁でなされました。今後の動向を見据えるためのメモです。

通報窓口を設ける、通報者の解雇や懲戒処分の禁止がうたわれていましたが、罰則はなく、実効性に疑問がありました。そこで

  • 通報者への解雇、懲戒処分といった不利益取り扱い事業者に3000万円以下の罰金刑
  • 同意思決定者に6カ月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金刑
    • 1年内の処分は、通報理由と推定
  • 通報に対処従事者指定義務違反に、国が立ち入り調査権、是正指導違反に刑事罰
  • 300人超企業の通報窓口設置義務違反に刑事罰
  • 「通報者探し」「通報させないことを約束させる妨害行為」の禁止新設

不利益取り扱いとしてみられる配置転換、いやがらせについては、通報との因果関係の証明ができないとして、罰則化は見送り。

2025年通常国会にて法案提出予定。

(2025年1月6日投稿、2025年1月28日編集)

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DATEDIF関数での年齢計算(2)

2024-08-15 11:56:03 | その他法務

前に書いたDATEDIF関数での年齢計算に対し、あるブログサイトに

=DATEDIF(誕生日-1,基準日,"Y")

という紹介がありました。基準日から1引くのでなく、誕生日から1日引いても結果だせるなら使えるなと、ためしてみました。

残念ですが、うるう年生まれの平年、逆の平年生まれのうるう年に正しく満年齢を生じさせないようです。たとえば

事例 うるう年3月1日生まれの平年の2月28日における満年齢 平年3月1日生まれのうるう年2月28日における満年齢
関数例 =DATEDIF("2000/2/29","2001/2/28","Y") =DATEDIF("2003/2/28","2004/2/28","Y")
関数説明 うるう年3月1日生まれ(引数に前日の日付入力)が、翌年誕生日の前日に1歳年取りますが、返り値0歳のままです。 平年3月1日生まれ(引数に前日の日付入力)が、うるう年誕生日の前日29日に1歳年取りますが、前々日の28日に1歳加算表示を見ます。

興味ある方は、ほかにも不適合あるか検証してみてください。

(2024年8月15日投稿)

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DATEDIF関数での年齢計算

2024-06-15 11:42:43 | その他法務

エクセル関数リストにないけれど、Lotus1-2-3互換としてすぐれもののDATEDIF関数があります。エクセルシート上で使え、期間計算をする関数ですが年齢計算に適してます。

=DATEDIF(起算日,終了日,"Y")

といった形で使用します。最後の引数に "M" を用いるなら経過月数、"YM" なら年部分をのぞいた月数(0~11)、"D" は経過日数を返します。年齢計算するなら、"Y" を使用しますが、民法(年齢計算に関する法律)に準拠した年齢を得たい場合は、

=DATEDIF(生年月日,基準日+1,"Y")

とすれば、誕生日の前日が満年齢となる計算結果を返してくれ、法にかないます。

うるう年2月末から3月初旬生まれの、そして平年生まれの同期間の返り値も確認してみて問題はないようです。

使用例1

=DATEDIF("2000/4/1","2024/4/1","Y")

(2000年4月1日生まれの人が、2024年3月31日(引数としてプラス1日した日付を入力)時点の満年齢(24歳))

使用例2

=DATEDIF("2000/4/1",TODAY()+1,"Y")

(2000年4月1日生まれの人が、ファイルを開いた日の満年齢を返します。)

使用例3

セルA1:2000/4/1(シリアル値)

セルB1:2024/3/31(シリアル値)

=DATEDIF(A1,B1+1,"Y")

(2000年4月1日生まれの人が、2024年3月31日時点の満年齢を求める(24歳))

(2024年6月15日投稿)

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法律条文のてにをは

2023-04-07 14:06:00 | その他法務

法律文は、ときには準用やら置き換え、読み替えで、政令への委任条項と、要件効果を読み通せないことかぎりない(読みこなせば限りはあるのでしょうけど)のですが、単純にして悪文といえるのもあります。たとえば、比較的平易な条文がつづく労働契約法の中で、13条はどうでしょう。

(法令及び労働協約と就業規則との関係)
第13条 就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第7条、第10条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。

何をいいたいか、一読してわかりますでしょうか。主語が2つあるようですし、「については」も2つあります。見ようによっては、「てにをは」の「が」のあとに「は」が4つ並んでいます。 意訳してみたらこんな感じでしょうか。

就業規則が、
  • 法令
  • 労働組合との書面で同意した労働協約
に反する場合
就業規則のその反する部分は、より有利な法令又は労働協約を適用するのであって、
この法律により、労働者の労働条件において就業規則が適用される場合があるとする、
  • 労働契約を結ぶにあたり就業規則の役割を定めた第7条
  • 個別合意なく就業規則を変更する手続きを定めた第10条
  • 就業規則におとる労働契約の無効を定めた第12条
 就業規則の該当部分については、この3条を適用しない

としています。法や協約に反する部分なのですから、この法で適用するという効果を排除しているのです。

(2023年4月7日投稿)

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