知りたい?悲しい結末でも?
「もちろん」
もちろん、最後にやってくるのは
死よ。
つまり、わたしがかかっていたの
は、恋の病気だったから、しかも
それはかなりの重症で、進行の
早い悪性の病気だったから、
放っておけば、死ぬしかない。
わたしは彼を追い求め、ひたすら
追い詰めた。
もっと会いたい。もっと一緒にいた
い。もっと、もっと、もっと。
「もっと僕を信じて欲しい」
と、ある夜、彼はぽつんと言った。
「それができないなら、僕たちは
もう終わりだ」。
それに対して、わたしはいったい
なんと答えただろう。正確な言葉
は覚えていないけれど、たぶん泣き
ながら、こう言ったんじゃないか
と思う。
「あなたのせいよ。何もかもあなた
のせい。あなたがちゃんと連絡して
くれないから。あなたがわたしを
こんなに待たせるから」
ネガティブな感情。そのすべてが、
この病気の栄養になっていく。
心配すればするほど、相手を
責めれば責めるほど、病状は
悪化の一途をたどる。
泣き濡れているわたしを部屋に残
して彼は去って行った。
あんなに楽しかったのに、あんな
に素敵にきらめいていたのに。
一生懸命。海よりも深く。あの愛
は、どこへ行ってしまったの?
愛ではなく、それはただの病巣
なのに、それはあまりにも愛に
似ているから、だから恋する女
の子は、容易に落とし穴にはま
ってしまう。そして、ジ・エンド。
そろそろ、彼女が彼と待ち合わせ
の時間が近づいてきた。
ふたりのグラスはすでに空になっ
ている。
絶対的な愛を手に入れる方法を、
わたしは彼女に、教えてあげなく
てはならない。それは、手に入れ
ようと思わないことね、などと、
禅問答的なことを言うつもり
はない。わたしは女だから、女の
知恵を彼女に贈る。
それは、ふたつの「w」を避ける
ことよ。
「ふたつのW?」
Wanting(求めること) worrying
(心配すること)。そのふたつは、
恋の病気の主な病状。
それが、絶対的な愛の障害にな
っているの。
どんなに求めても、どんなに心配
しても、あなたは決して、彼の心
を得たり、変えたり、動かしたり
することはできない。
なぜならそれはもともと、コント
ロール不可能な、他人の心だから。
他人の心に頼ってはだめ。それよ
もまず、自分の心を味方につける
こと。
「自分の心を、味方に?」
そう、あなたを不安の渦に陥れて
いるのは、彼じゃなくて、あなた
自信。「絶対的な愛」は、あなた
の手でクリエイトできるもの。
ううん、あなたにしか創れない。
自信」を持って。
「よくわかった。ありがとう」
手をふって、わたしは彼女を見送る。
また会おうね、可愛い女の子。
気をつけて、恋してらっしゃい。