[切ない distressful]
悲しさや寂しさ
恋しさなどで、
胸がしめつけられるようだ。
つらくやるせない気持ちだ。
深く心を寄せている。
大切に思っている。
― ◇ 竹物語 ◇ -
竹取が心を乱して泣き伏して
いる所に近寄って、かぐや姫
が「私も、不本意ながらこう
してお暇するのですから、
せめて天に上るのだけを見
送ってくださいませ」と言い
ますが、翁は「なんのために
お見送り申し上げるのですか、
こんな悲しい心持ちなのに、
このわしに、この後いったい
どうしろと言うつもりで、見
捨てて昇天なされるのです。
どうか一緒に連れていってくだ
さい」と泣き伏すので、
かぐや姫の心も千々に乱れるの
です。かぐや姫は「手紙を書き
残してまいりましょう。
私が恋しくなったその時々に、
取り出してご覧ください」と
言い、涙にくれながら、書いた
言葉は、
「私がこの国に生まれたのであれ
ば、ご両親をお嘆かせ申さないよ
うに、いつまでもお側にいること
もできましょう。
そうせずにお別れしてしまうこと
は、かえすがえすも残念でなりま
せん。脱いでおく着物を、私の形
見として、いつまでもご覧くださ
い。
月が出た夜は、私の住む空をあお
ぎ見てくださいませ。それにして
も、お見捨てと、書き置くのでした。
※私人の栞
辛いのでも、悲しいのでも、
苦しいのでもない。
切ないとしか表現できない
ことが、
大人になると増えるようです。
悲しさや寂しさ
恋しさなどで、
胸がしめつけられるようだ。
つらくやるせない気持ちだ。
深く心を寄せている。
大切に思っている。
― ◇ 竹物語 ◇ -
竹取が心を乱して泣き伏して
いる所に近寄って、かぐや姫
が「私も、不本意ながらこう
してお暇するのですから、
せめて天に上るのだけを見
送ってくださいませ」と言い
ますが、翁は「なんのために
お見送り申し上げるのですか、
こんな悲しい心持ちなのに、
このわしに、この後いったい
どうしろと言うつもりで、見
捨てて昇天なされるのです。
どうか一緒に連れていってくだ
さい」と泣き伏すので、
かぐや姫の心も千々に乱れるの
です。かぐや姫は「手紙を書き
残してまいりましょう。
私が恋しくなったその時々に、
取り出してご覧ください」と
言い、涙にくれながら、書いた
言葉は、
「私がこの国に生まれたのであれ
ば、ご両親をお嘆かせ申さないよ
うに、いつまでもお側にいること
もできましょう。
そうせずにお別れしてしまうこと
は、かえすがえすも残念でなりま
せん。脱いでおく着物を、私の形
見として、いつまでもご覧くださ
い。
月が出た夜は、私の住む空をあお
ぎ見てくださいませ。それにして
も、お見捨てと、書き置くのでした。
※私人の栞
辛いのでも、悲しいのでも、
苦しいのでもない。
切ないとしか表現できない
ことが、
大人になると増えるようです。