「人間の生まれの違いから
くる幸、不幸。
そのハンディキャップを考え
るとき、出だしが不幸だった
ことを私は全然恨んでいな
い」
華やかなファションの世界
で大成功をおさめたココ・
シャネル。
ジャン・コクトーやピカソと
いった数多くの才人との交友、
ウェストンミンスター公との
恋愛など華麗な人生を送った
事で知られる。
しかしファッションの原点は、
生涯ひた隠しにした「孤児院
での生活」にあった。
孤児院で足掛け7年を過ごし、
18歳になったシャネルは、
ムーランの仕立屋に落ち着く。
孤児院でシスターから厳しく
仕込まれた手仕事の刺繍・
縫い物、ミシン掛けは得意
だった。
夜はアルバイトで
ミュージックホール、「ラ・
ロトンド」の舞台に立った。
「ココ」という愛称は、彼女が
歌った「ココを見たのは誰?」
からつけれたニックネームと
いわれている。
1903年、シャネルが20歳の
とき、運命の転機が訪れた。
乗馬服の修理に訪れた青年
将校エチエンヌ・バルサンが
清潔感のあるシャネルに一目
惚れし、求愛したのである。
上流社会の出身でありバル
サンは兵役を終えると、「一緒
に暮らそう」と彼女を連れ出し、
ムーランの田舎からパリ郊外
のコンピエーニューの森に
ほど近い、ロワイヤリユーの
大邸宅の彼女を囲う。
シャネルは男運がよかった。
運も実力のうちである