静かな夜だった。
いつもなら
ふたりで窓から
ながめる夜景も、心なし
かきらめきが少ないよう
な気がする。
あなたのパジャマは、あれ
から洗濯して、ベットの脇に
置いてある。
このままどう続いていくの
か、私たち。
ひとり開けるビールの、プシ
ュッ
という音がやけに大きく響く。
まだ、どこかでわがままな
のだ、お互い。
あなたがいないと初めて
わかる。わかっているのに、
会うとその平行感覚がどこか
でずれる。
ま、本来、恋というものはそ
ういうものかもしれず、妙に
達観してしまう自分もいた。
たまにはこんな夜があって、
いいのかもしれない。
と思いつつ、やはり寂しい
気持もいなめない。
あなたはどこでなにをして
いるのやら・・・・・・・。
・・・・・・なにが恋の小休止?
単なる強がりではないか・・・。
強気になったり、弱気になった
り揺れている。
携帯電話が鳴った。
[m:32]
飛び起きるようにして、受話器を
取る。
「俺だけど・・・・・・」
その声で、一気にねじれた心が
ピンと張りつめて、
いきいきと動きだすゲンキンな
私がいて、
・・・・やはりあなたが好きなの、
必要なの・・・・
と、まるでテレビドラマの
ヒロインのようなセリフを、
心の中でつぶやいた。