佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

「遠 恋」真夜中の雨音―Ⅴ―

2024-05-01 12:39:45 | 日記
「お願い、お願い、お願い」と、
叫びながら、雨はあとからあと
から地上に落ちてくる。

木の葉の一枚一枚を濡らし、樹
木の幹の奥深くまで染み込んで
ゆく、哀しい雨だ。窓ガラスを
伝う雫は、夜の闇を流している、
涙のようだ。

それなのに、あのひとのいる場所
は今は朝で、空は青く、どこまでも
晴れ、憂いのかけらもなく、乾いて
いるのかもしれない。たったひと粒
の雨さえも共有できない場所に、
決してつながることのない地平に、
わたしたちはいるのだと思った。

電話がなったのは、午後十時を
五分ほど回った頃だったか。
わたしはバスルームにいて、ち
ょうどシャワーを終えたところ
だった。

やっと、やっと、やっと、かか
ってきた。あのひとからの電話。
バスタオルを取るのももどかし
く、濡れた躰と濡れた髪の毛の
まま、電話機に飛びついた。
電話器をつかみ取り、相手を
確かめもしないで、わたしは
呼びかけた。

「もしもし、快晴?もしもし?」
「あ、もしもし、桜木さん?そ
ちらは桜木さんお宅でしょうか。
芦川ですけど」
軽い目眩のようなものを感じ
た。それは、失望のせいだと
わかっていた。けれどもその
失望を、芦川さんに気取らて
はならないと思った。咄嗟に、
わたしは驚いたふりをした。

「ああ、びっくりした。誰か
と思ったら、芦川さん」
「夜分遅くにすみません。ご
迷惑を承知でかけています。
部長からお辞めになると聞いて、
今、ちょっと、話せますか?」

駅の近くにある「喜合」という
居酒屋の場所を芦川さんに教えた。

レインコートに身を包み、大きめ
の傘を出し出して出かけたにも
かかわらず、店に着いた時には、
髪の毛も足もとも、泣きたく
なるほど濡れて、冷たくなって
いた。

店員さんが気を利かせて、おし
ぼりと一緒に、真っ白なタオル
を差し出してくれた。
芦川さんはふたりがけのボック
ス席で、日本酒を飲みながら、
わたしを待っていた。

わたしはジントニックを注文
した。店員さんが下がると、芦
川さんはすぐにしゃべり始めた。

「辞めるって、あの仕事の件です
か」
「もういいんです。ありがとう
ございます」
自然に、頭が下がってしまう。
わたしはもういいんです。
「アメリカに行こうと思って
るんです」

まだ、あのひとにも伝えてい
ない決意を、わたしは芦川さ
んに告げていた。

「こないだね、営業先の人が
教えてくれたんですけど、ニ
ュージャージー州にある日本
人学校で、教師を募集してい
るそうなんです。応募者が多
くて、競争率もすごく高そう
だったけど、でも、だめでも
ともとって気持ちで、書類だけ
でも出しておこうと思ってます」

「そうなんですか。アメリカで
仕事を?」
「はい」
「なんや、そういうことなら、
俺ももうこれ これ以上
言うのをやめておきます。

桜木さんが会社を辞めてしま
うのは依然として残念やけど、
まあ、そういうことなら。
俺が無理に引き留めても・・・」

思わず、芦川さんの優しい視線
に、しがみつきそになっていた。

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花を育てるようになると雨が好きになる。

2024-05-01 12:36:39 | 日記

 

歳時記には40以上の
雨の季語があるという。
日本の雨の生活を楽しむ。

そんな風流な暮らしは
如何ですか。

 


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未来の国で迷子になるのは、オトナばかりかもしれない。

2024-05-01 12:35:05 | 日記

インターネットがなん
じゃい。LINEがなんじ
ゃい。
そんなものできんでも
生きていけるわい。


え、20年後?・・・。
無理かもしれん。

一昨年

米国防総省「UFO」の
映像3本、機密解除し
公開する時代だ。/ BBCニュース

 


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「遠 恋」八番目の曜日

2024-05-01 08:59:10 | 日記
人の一生には、その人だけに訪
れる、八番目の曜日がある。

わたしにそのことを教えてくれ
たのは、父方の曾祖母だった。
名前を、キヨエといった。
キヨエはあちゃんは、わたしが
中学一年生の時になくなって
いるから、わたしがその話しを
聞いたのは、それ以前という
ことになる。

「でも、いつ来るの?日曜日の
次に来るの?それとも土曜日と
に日曜日の次に来るの?」
「さあ、それはわからん。人に
よっていろいろじゃ。来ても、
気づかない人もおる」

「あたしにも来るの?」
「ああ、詩音ちゃんにも来る。
その日には、詩音ちゃんの一生で
起こることが何もかも全部、一日
のうちに起こるんよ。ええことも、
悪いことも、全部な」


「そこにいたんだ?呼び出し音
なしでいきなりつながったんで、
びっくりしたよ。同時に受話器
を取ったんだね?」

「嬉しい」
と、わたしは言った。
「ありがとう。電話をくれて」
そう言ったきり、言葉が喉につか
えて、あとはもう何も、言えなく
なった。べっトに縛りつけられて、
まるで蛹のような姿になっていた、
哀れな父の姿が浮かんだ。

お父さんが、死んだの。ついこの
あいだまで、生きてて、偉そうに、
タバコ臭い息で、わたしに説教な
んかしていたのに。もうすぐアメ
リカへ行くよと言ったら、「ニュー
ヨークでジャズを聞いてこい」な
んて、わかったようなことを言っ
ていたのに。

わたしの口から実際に出た言葉
は、
「もう会えなくなったの、お父
さんに」
それだけだった。

「どうしてなんだろう。きょうに
限って俺、朝からずっと胸騒ぎが
して、何がなんでも絶対に電話し
なきゃて思った」
と、あのひとは言った。

海の向こうで、気が遠くなるほど、
遥か彼方にある岸部から。

「会いたい」
と、わたしは言った。それは
言葉ではなくて、叫びだった。
会いたくて、会いたくて、た
まらない。そばにいて欲しい。

抱きしめて欲しい。
なのに、会えない。会いに行
けなくなった。心も躰も岩に
ぶち当たり、木っ端微塵(こ
っぱみじん)に砕け散る、
波飛沫(はしぶき)のようだ。

「何も話さなくていいから」
海の向こうから、遥か彼方から、
見えない岸部から、あのひとの
声が耳に流れ込んできて、躰中
を巡り、わたしを拐って、どこ
かへ運んでいこうとしていた。

希望と絶望の渦に、わたしを巻
き込んだまま。
「泣いていいよ。泣きたければ、
いつまでだって、好きなだけ泣
いて。俺はずっとそばにいるから。
ずっと、詩音ちゃんのそばにいる
から」

あのひとはいつまでも、わたしの
そばにいてくれる。
あのひとはいつでも、わたしの手
の届かない場所にいる。

その日――――八番目の曜日に、
ふたつの思いに引き裂かれたわた
しの躰は、それからもう二度と、
もとに戻ることはなかった。

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幸福は、ごはんが炊かれる場所にある。

2024-05-01 08:56:23 | 日記
食事をする時、人は幸せでい
てほしい。私は、ココロから
そう考えています。ひとりの
時も、あわただしく食べる時
も。仕事をたっぷりかかえて
いる時も。

もちろん大好きな人と一緒に
いる時も。だって、食べること
は、人が生きてゆくためにいち
ばん大切なことなのですから。

日本は、これからますます変
化していきます。少人数家庭
も多くなるでしょう。
お家で食べる機会が多くなり
ました。

トナリのトトロ”家でお弁当
食べるメイちゃんがいます。

お弁当が活躍するシーンはどん
どんふえると思うのです。
お弁当ががんばれば、日本は
もっとあたたかくなる。

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「耳を澄ませば今も聞こえてくる、彼が口づさんでいた歌」

2024-05-01 08:55:01 | 日記

あまりにも好きで
その気持ちを
持ちこたえるのがつらかった

あまりにも好きだと
何も望めないんだね

あまりにも好きで
いっそ嫌いになりたかった
知らないままでいたかった

知らない頃には
もどれないけど

ずっと好きで
今も好きで

この好きは
何も望まないから
たぶん強く
守られる



YouTube
King Gnu - 白日

https://www.youtube.com/watch?v=ony539T0

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悲しむのも集中力

2024-05-01 08:52:41 | 日記

恋がね
人生っていう夜空にまいた
星だとすれば、

あなたのことは、私に
とって一番星なんです。

 

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「遠 恋」八番目の曜日 ―1―

2024-05-01 08:50:53 | 日記
背筋をぴんと伸ばし、乾いた
靴音を響かせて、歩いていく
わたし。地上は曇りでも、雲の
上にはいつだって、コバルト
ブルーの空が広がっている。

きっと、そんなことを思って
いたはずだ。
もうすぐ、彼に会いに行く。
あの空を飛んで。海を渡って。
時の壁を突き抜けて。
あと四日、四日後の金曜日。
わたしの背中にはすでに、
翼が生えていた。

詩音ちゃんへ
LINEありがとう!ビック・
ニュースでした。
朝一番に読んで、思わず
「やったぜ~!」と雄叫びを
あげました。

すぐに返事しなければと思い
つつ、ゆうべはへろへろに
疲れて、学校から戻るとその
ままぶっ倒れてしまい、
気がついたら今朝になって
いたという次第です。
さっそくですが、日程のこと
了解しました。

※ ※ ※
詩音ちゃんへ
僕も大急ぎで返信。
たい。大歓迎です。
うちでよければ好きなだけ、
お泊り下さい
ただし、身の安全は保証しません(笑

    ※
               
LINEだから、書けた。「停めて下
さい」なんて。
電話とか、面と向かってでは、と
てもそんなこと、言えなかったと
思う。
「声がすごく聞きたいと思った」。
その一行に、ふっと手を取られた
ような気になっていた。

ふっと手を取られて、そのまま海
の深みまで、引き込まれてしまい
たい。本当の恋人同士に、なりた
い。これまでのわたしと、今のわ
たしと、そしてこれからのわたし。

あるがままの女を、あのひとに
明け渡したい。
願っていた。気持ちだけではなく
て躰でも、つながりたいと。

すべてを差し出したいと、わたし
は飢(かつ)えていた。
あのひともそれを望んでくれてい
る。そう確信していた。
二十二歳の夏。信じていた。二十
二歳の確かさと脆さで。
わたしたちはお互いに、求め合って
いると。
 

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