泣くだけ泣いて、空っぽになった
心に何が残るだろう。
本当に不思議なことだけれど、それ
までとは違った思いがふっと空っぽ
の心に舞い降りる。
「ありがとう」
そんな思いが、舞い降りる。
たとえつらい恋だったとしても、
恋人だった人への感謝で心は
満たされる。
そのような気持ちに行き着くまで、
何日かかるのか、何ヶ月、何年
かかるのか。
とても感謝なんてできないと思う
恋もきっとある。
でも、それでいい。いつか気持ち
が溶け出すことを信じて。
終わった恋に「ありがとう」が
言えたとき、別れは決して悲しみ
だけではなかったことを知るだろう。
別れの淋しさを思うとき、私は
『ライ麦畑でつかまえて』の
最後を思い出す。
恋とは違うけれど、「あいつらが
今ここにいないことがたまらなく
淋しい」と、主人公は思う。
そう、今ここにあの人がいない
ことは淋しい。
でもそれは、悲しみとは違う。郷愁
にも似たせつなさなのだ。
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