「掌」 たなごころ
『優しく触れるもう一つの”心”』
「あなたがわたくしの頭を
なでると
とてもくすぐったい気分に
なって
つい口元がゆるんでしまう
あんなにふくれていたのにね」
手のひらのことを「掌」という
場合は、そこには”手の心”と
いう意味が含まれていると
いわれます。
人に優しく触れたりものを
受け取ったりするとき、手に
心があると感じられたので
しょう。
「掌中の珠」は最も大切にし
ているもの、最愛の子供を
さします。
「掌を指す」は明白で、疑問が
まったくないということ。
夏目漱石の小説『こころ』の
一節には「掌が翻ったように」
(手のひらを返したように)とい
う使われ方をしています。
どれも、心のうちを表している
言葉としての「掌」です。
あらためて自分の「たなごこ
ろ」を見つめたくなりますね。