13.「柔らの道」
ここで、「道」というテーマで、少しお話します。
柔道で世界チャンピオンとなり、その後、指導者としても如何なく才能を発揮しておられる山下氏ですが、氏の講演を聞く機会がありました。
余談ですが、山下氏の出身地は私の出身地の隣町で思い入れも強いところです。その山下氏の話にはビジネスにとっても非常に参考になるものが多くあります。
山下氏は、柔の道の「道」について次のように語っています。
「柔道というのは、決して格闘技ではない。相手に勝つための技術を教えるだけでなく、いかに生活において活かせるかが重要になる。
だから、指導者は勝つためのテクニックを教えるだけでなく、
自分の「生き様」を選手に示して、彼らの人間性を高めていく必要がある」と語ります。
柔の道とは、「礼節を磨き、人々から尊敬される人間を目指すことにある」ということです。また、柔道で成果を上げるためには、「心・技・体」が重要な鍵を握るが、技術だけいくら教えても、真の意味での王者を育成することができないと語っています。
山下氏はこのことについて、「私は最強の選手を育てるのではなく、最高の選手を育てるという意識で指導してきた」と語っていました。
ビジネスの世界でも全く同じことが言えます。ビジネスでリーダーとなるものは、「お金儲けの方法だけを教えていてはだめ」なのです。
柔道にとって、「心・技・体」が重要であるように、ビジネスにとっては、「ビジネスIQ」、「ビジネスEQ」、「行動力」が成果を上げる上で重要な「核」となります。
いくら金儲けのテクニック(ビジネスIQ)を磨いても、人間性(ビジネスEQ)や、行動力が伴わなければ、最高のビジネスパーソンにはなれるはずもないのです。
柔に「道」があるように、私たち商人にとって「道」とは何でしょうか?
言うまでもなく「商人道」です。つづく