就職して間もない頃
神保町の「さぼうる」へよく行ったものです。
古めかしい店内、
狭くて薄暗く、レンガの壁には
落書きが所狭しと書き込まれていました。
座ったら何か一言書かずには居られない
書いては友と盛り上がり、
はしゃいだものでした。
先日、岩波ホールで
「白い馬の季節」
(↑詳しくはココをクリックしてください。)
を見ての帰り「確かこの辺りだったかな」
靖国通りから一本入った路地を覗いてみたら、
ありました、「さぼうる」今も健在でした。
店の構えも、店内も見事にうん十年前のまま。
半地下と中二階の三層に別れ、
古いレンガ積みの壁
そこには相変わらず落書きがびっしりと書き込まれ
飾り気の無い椅子と小さなテーブルが
今も所狭しと並べられていました。
中二階の一番奥に通され、
座って店内を眺めると
あの頃が昨日のように
思い出されてきます。
古本屋で気に入った本を見つけた日
遅くまで居座ったあの席に
今日は学生風の女の子が
黙々とレポートを書いています。
店のマスターもウエイターも
すっかり入れ替わり、
もう知る顔はありません。
初老のウエイターから「お持ちください」
と渡されたマッチは
独特のごろんとした形、思わず
「やあ、なつかしい!!」
「以前にいらした事があるのですか?」
に、「はい、よく入り浸っていました」
と空かさず答えてしまいました。
時の経つのは早いものです。
この「さぼうるで」今度、旧友と再会してみようと思い、
店を後にしました。