干し柿を藁に一時的に安置するが意味はあるのか?
美味しくなるのか?
実験してみようと思います!
干し柿を作っていますが作業工程の中で”藁に一時的に入れる”工程があるようです。藁に入れる工程を追加すると白い粉が吹くそうで、その白い粉をわざわざ吹かせる意味があるのか疑問に思っていました。その疑問を自分なりに解決するために実験を試みレポートにまとめて行きます。
また、おまけとなりますが、柿の収穫時期の違いによる美味しさも比較します。
現在実験中ですが、藁を入れたところまでを今回レポートに記述し、後半は2回目のレポートにまとめてレポート完成の形をとります。
ただ心配なのは天候不順で藁の挿入日から南風で温度上昇25度、加えて雨が降っています。白い粉を吹かせるのには劣悪の環境のようです。従って、実験は失敗する可能性があります。
【始めに】
干し柿にする柿の品種は「百目柿」です。また、干している環境は、神奈川県西部地区(例年最低気温0°C程度)に置いて個人的に一度だけのデータを元に評価した上で記述した物で、地域、異常気象などを鑑みる必要があります。(住んでいる環境・標高・北緯・地形を考慮する必要があります。)
また、記述内容は全て個人的見解であり注意が必要である。m(_ _)m
ーーーー 目次 ーーーー
1.白い粉についてネット上では
2.比較するために二つの干し柿作り製法について
2.1 粉を吹かせない製法について
2.2 粉を吹かせる製法について
3.二つの製法で干し柿作り過程の説明
3.1 粉を吹かせない干し柿作り
3.2 粉を吹かせる干し柿作り
3.3 素材である柿の収穫時期の違い
4.結果
4.1 干して2週間後の違いについて
(1)二つの製法での違い
➀見た目(外・内)
②味覚(甘さ・コク)
③カビ対策
(2)素材である柿の収穫時期の違いによる違い
➀見た目(外・内)
②味覚(甘さ・コク)
③カビ対策
4.2 干して3週間後の違いについて
4.3 干して4週間後の違いについて
5. まとめ
では、目次に従って
1.白い粉についてネット上では
先ずは、白い粉の正体をネット上で調べた結果、以下のようなことが書いてありました。
白い粉は柿から水分と一緒に溶けだした「ブドウ糖糖(糖分)」で、柿の皮をむいて乾燥させたものを、さらに丁寧に揉むこむと中の水分がでてきて、それが糖分とくっつくと結晶化するとか! この柿の糖分が結晶化したものを「柿霜(しそう)」と呼ぶようです。
均等に薄く柿霜に覆われた干し柿は「極上」とされ、普通の干し柿よりも甘みと風味が強いといわれています。
以上ですが、私の疑問の応えが書かれていました。
ネットによる結論:「白い粉によって、甘みと風味が良くなる。」
果たして結論通りになるか実験したいと思います。(化学変化しているので風味は良くなる可能性はあるかな…… 実験前の感想でした。)
2.比較するために二つの干し柿作り製法について
同じ原材料の柿を二つの製法で同時進行して作って比較していきます。
2.1 粉を吹かせない製法について
レシピを下記に示します。
2.2 粉を吹かせる製法について
2.1項の製作過程に藁を挿入する過程を追加するだけです。挿入するタイミングは、2回目の手もみ作業を行った直後となります。
3.二つの製法で干し柿作り過程の説明
3.1 粉を吹かせない干し柿作り
詳細の造り方は、私のブログ記事で下記のURLサイトをアクセスして参照して下さい。上記レシピの通り作っています。
3.2 粉を吹かせる干し柿作り
藁を入れるタイミングは、2回手もみした直後に藁を挿入して、3~4日してから藁を取り外すだけの工程を追加します。
2回目の手もみが終了した時点の干し柿です。干して7日目です。
上記吊した状態で藁を挿入します。側面から撮影した写真です。
正面から撮影した写真は下記となります。柿を3段の棚で干しており、最上段は今まで通りの2.1項「白い粉を吹かせない製法」で、
下の2段は2.2項「白い粉を吹かせる製法」です。(下2段は藁で干し柿をすっぽり覆っています。)吊した状態で藁を入れた理由は、風通しの良いところで藁に包めと書いてあったので藁を挿入しました。
同時進行で干す作業を行っていることが判ります。
今回は藁を使っての白い粉を吹かせる手法をとりましたが……
いろいろあるようですね!たわしでこすれとか…… 書いてありましたが、
私は婆様がやっていた昔ながらの手法をとりました。
心配なのは天候で、異常気象で最悪のタイミングのようです。何でも、気温が10度以下でないと白い粉が吹かないようなことが書いてありますね!
なになに…… 現在気温25度 「やばいね」
【藁の取り外し】
11/8藁を取り外しました。3日間藁の中に安置したこととなります。
3.3 素材である柿の収穫時期の違い
ついでに収穫時期で干し柿の甘さが変わってくるかを実験してみます。
➀第一弾で使用した柿は下記の写真のような色づきでした。
②第2弾、今回使用した柿です。
第一弾と同じ柿の木から収穫した物です。収穫時期が2週間遅いため熟し具合が進行しています。
判定は個人の味覚の問題となります。心配なのは、収穫時期のタイムラグがあるので第一弾の干し柿の味を覚えているかと言うこともあります。
以上が藁を挿入したまでのレポートです。
4.結果
この時が干し柿の完成という時期はないので、時系列で変化の様子を記述していきます。食べ頃は人によって違いますからね!
注:今年2回目の干し柿作りなので、1回目との違いが良く判ります。干し柿の出来具合は
・気候により干し柿の完成日程がかなり違う
・素材の柿の熟し度によっても日程がかなり違う
なので、日付は目安となります。
4.1 干して2週間後の違いについて
11/12(干して2週間後)時点での状況説明
(1)二つの製法での違い
藁に3日間安置するだけで此処まで変わるとは思っていませんでした。違いなんて判らないだろうとの予想に反した結果となりました。
➀見た目(外・内)
写真左側:粉を吹かせない製法
右側:粉を吹かせる製法(藁に安置した物)
藁に安置させると、表面の色が濃く、しっとりしています。(藁に3日間安置していた分、乾燥が遅いのが理由になるかも知れませんが、全体的に色が濃くなっています。)
ところが、色の違いは内部まで来ていました。びっくりです!ひとつだけの違いではと思い、試供品を4個開いて内部を観察したところ、同じように違いが出ていました。
写真左側:粉を吹かせない製法
右側:粉を吹かせる製法(藁に安置した物)
右側の藁に安置した物は、とても良い色に発酵?しているように見えます。色が濃くなっていたのは、内部からの色が湧き出ていた結果でした。これは、凄いと予想外の結果に驚きです。この時点で、藁の威力と先人の知恵に感銘しました!
②味覚(甘さ・コク)
見た目で違いがはっきりと出たので味に関しては期待を持って臨んだわけです。私の舌でもはっきりと違いが判る味で、藁に軍配が上がりました。
甘さの多さも解り、深みのある甘さがありました。この美味しさの違いにも驚きです。先人の方は伊達に藁を使用していないです。納豆を藁で作るのと同じ原理なのでしょうか?
③カビ対策
此処で注意しなければならないことはカビ対策です。藁を入れたことで通気性が悪くなり一部で丸い1mm程のカビが数個発生しました。(藁なしはカビ発生せず)
熱湯で殺菌対策したのに、藁に安置することは藁の雑菌のなかに安置することとなり、熱湯で殺菌したことと矛盾している行動を取ったこととなるのでカビが発生しやすくなるのももっともな原理となりますね!
【カビ対策で考えられる手段】
・今回は藁を密に(干した棚に藁を詰め込んだ)入れましたが、風が抜ける程度にした方が良さそうです。”日除けのよしず”がありますが、そのよしずのイメージで柿を藁で包む程度が良いと感じました。紐を使って藁を柿に絡ませる手段です。見た目、柿が藁越しに見えるので風通しも良くなるはずです。
・干している間に湿気が多い日(湿った風を頬に感じたら)があったときには、家の中に取り込むのが確実な手段だと思います。
・カビの発生状況を観察すると、湿気の多い日には一晩で”1mm程のカビが数個発生します。それを放置するとカビの面積が増えていきます。
【カビが発生した物の処分】
以上のようにカビ対策をいくら行っても天候には勝てず、カビが生えるときは生えてしまうのが現実です。
カビが発生した物は絶対に食べずに廃棄処分して下さい。
しかし、此処まで丹精込めて作ってきた干し柿を廃棄処分にするのは惜しみないですよね!健康上に問題が発生しますので廃棄処分するのが前提ですが、カビを見た目無くすことは出来ますが下記の方法で処理した柿は絶対に食べないで下さい! 食べられるようにする手段でなく見た目無くす手段です。
・カビの部分を取り除く:カビの発生している部分を剥ぎ取る。これを行うと中の液が出てくる場合があります。
・カビを歯ブラシで払い落とす:歯ブラシで軽く払うだけでカビは視覚からなくなりますが、菌は付着しているはずです。その後の太陽光で殺菌作用があれば??? …… ??? こまめに払い落とすことがポイントです。
以上書き込んできましたが、カビ対策としては、藁を使わない干し柿作りが一番だと思います。藁の工程を入れなくても手造りの干し柿は十分過ぎるほど美味しく出来上がります。(一度目の干し柿作りに挑戦する場合には、絶対に藁は使わないことをお勧めします。)
(2)素材である柿の収穫時期の違いによる違い
収穫時期の違いで比較している柿は下記の二つです。同一の木から2週間違いで収穫しています。
10/14収穫した柿で第1回に使用した柿
10/29収穫した柿で今回のレポートで使用している素材柿
➀見た目(外・内)
1回目の柿の方が表面が幕を張ったように乾いて、その後はでこぼことした感じとなる。内部も堅い分、しっかりとした形で出来上がる。
2回目の柿は熟している分、干している段階で水分の多さを感じ、形が崩れる柿がでる。
以上、熟しが進むほど干し柿にするのが難しくなるようです。
②味覚(甘さ・コク)
残念ながら違いは判らなかった。この手の物は同時に味見しないと分からない。
③カビ対策
堅い柿ほど表面が早く乾燥するのでカビは発生しないと思う。
4.2 干して3週間後の違いについて
熟成具合に違いが無くなってきました。
11/20
4.3 干して4週間後の違いについて
味の違いが無くなってきました。表面が堅くなってきたので食べ納めとなります。
11/26
5.まとめ
白い粉を吹かせることは出来ませんでした。気温が下がらなかったのが原因かなと思っています。
藁に寝かすと
・熟成が早くなりこくのある味に早く仕上がる。
・神奈川西部の環境では、カビが生えやすいのでリスクを取ってまで藁に寝かす行程を入れることはないと感じた
本環境下では虫(小バエ)が生存しているので網戸のネットで覆う必要がある。