後編「隣に居る塔の岳登山日記2/24」
前編で纏まりの悪い話をしてきたが、新雪というスパイスの元、隣に居る塔の岳に登った日記である。
花立山荘に続く急騰階段に差し掛かる手前で何気なく左手を仰ぎ見ると、目が釘付けになった。薄化粧した尾根の樹林帯を、ふわふわした層雲がオブラートしているではないか! 「来た甲斐があった」と拳に力が入る。先程まで雲海で包まれた薄暗い登山道の静けさが、更に気持ちを高ぶらせていることは間違いない。
雲海を突き抜けて異次元の世界に飛び込んだ私だが、先ずは景観の良さにほっとする。だが、晴天が故に、景観の主役である樹木にかろうじて噛り付いている積雪・霧氷はふるい落とされてしまう。時間との戦いとばかり足の回転を上げる。実は、お尻を叩く要因がもうひとつある。落ち着かない雲が、雲海の上を歩き回っているのだ。大気が安定していない証拠で、そのうち巨大化して山並みを飲み込んでしまうのではないかと、不安が頭を霞める。
山頂でポカリスエットを手に取る私の影を見つけた。無事写真撮影が終わり喉の渇きを覚えた所だった!
振り向けざまに心が躍った! Img4515
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1.日程(2024年02月24日)土曜日 晴☀ 無風
大倉からの大倉尾根(馬鹿尾根)ルート往復
《往路》
大倉登山口7時01分 → 9時55分 塔の岳頂上
駐車場は何処もほぼ満車状態で、単独登山者が目立った。皆さん健脚で新雪目当てに登られているようだ。
(服装は、歩き始めはフリーズ含め3枚、その後、2枚となる。霜焼け対策の手袋は冬用手袋で問題なし。プラス毛糸の帽子とキャップ帽)
《頂上》
約1時間 写真撮影
無風で温かかった
レンズ交換をしながら山頂を2周うろついた
《復路》
塔の岳頂上 10時45分 → 大倉登山口13時?分
一箇所だが、樹林帯の積雪が溶けて雨のよう
2.メンバー
単独
登山仲間を誘うつもりでいたが、当日朝まで新雪の状況が解らなかったため声を掛けられなかった。
3.今回の登山動機は新雪
雪が降ったら登る事を決めていたが、今回は週末と重なってくれたのでラッキー
4.体調について
季節の要因なのか、歳のせいか判らないが、やばい事態が二つ起こった。
4.1 ふくらはぎが固まる
ふくらはぎが冷えて筋肉が固まり、歩くと痛む症状が発生した。時系列で説明すると
調子よく登山口からトップギアで駆け上がる
景観の良いところで立ち止まり写真撮影
トップギアで負荷が掛かっていた左足ふくらはぎが冷えて筋肉が固まる
・
写真撮影後歩き出すと左足ふくらはぎにつったような筋肉の痛みを感じる
暖まると痛みは消えるだろうと痛みを我慢して急いで歩く
暫く歩くと予想通り痛みは消える
・
再度、景観の良いところで立ち止まり写真撮影
今度は、両足ふくらはぎに痛みを感じる
その痛みは下山まで治まることはなかった
歩きながら箱根駅伝ランナーのふくらはぎサポータを思い浮かべる。サポータがあれば事なきを得たと思った。予想が付かない出来事だったので、次回からは冷えが想定される場合にはアンダータイツの装備も心掛ける事とする。それと、トップギアでスタートする時はストレッチ
4.2 怪我について
初めて出血を伴う怪我をした。左腕内側を2箇所強打&打撲出血で、時系列で説明すると
頂上付近のアルミで造られた5段?階段を降りる
アイスバーンで嫌な予感を感じたのか手すりに捕まる手に力が入る
階段最後の着地点右足?左足?に体重を載せた瞬間に後ろ向きに転倒する
アイスバーンだ
・
運悪く階段最後の左ポールに転倒時、左手が絡まる
力こぶに激痛が走り、“撤退”が頭によぎる
・
不安を抱えながら様子を見ながら20分程で着く頂上を目指す
痛みが消えたので怪我を忘れて写真撮影に没頭する
・
下山終了最後の舗装道路に出たときに何気なく左力こぶ当たりを見る
Tシャツの袖が赤く染まっている
勿論、黒いアンダーシャツ2箇所からも血が滲んでいる
不安がよぎる
・
家に戻り、恐る恐るシャツを脱ぐ
左手内側全てが内出血で青くなり、2箇所4cm程の切り傷
階段ポールがなければ怪我は免れたと思うし、ジャケットを羽織っていたら切り傷は免れたと思う。アイゼンを履いていれば転倒もしなかったはずだ。
5.珍記録について
私なりの珍記録が発生した。
5.1 腰を降ろさず
なんと、スタートからゴールの駐車場まで腰を一度も降ろさなかった珍記録である。意識した訳ではないが、駐車場で靴を履き替えているときに気がついた事だ。何故そうなったかは言わずとも判ると思うが、積雪で腰を降ろすところがなく立ったままカメラのレンズ交換などをしたためだ。「休憩をしなかった」の一言に尽きる。
5.2 飲食はポカリのみ
ふたつ目は、飲食はポカリスエット350cc程飲んだだけで済ませた事だ。家にあったパンを持参していたが、食べずに降りてしまう事とした。ポカリスエットは立ち飲みだったので腰を降ろしていないのだ。
昼食が遅くなること、立ちっぱなしでも気にならないことは、週末の畑作業でなれているせいなのだろうか、自然に受け入れる。
6.山頂からの景色
時間軸と共に
雲海の中暗い世界を撮りました。この時、ふくらはぎが冷えました。
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雲海を突破して異次元の世界に飛び込んだところです。
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雲が……
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頂上手前で振り返って Img4534
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蛭が岳
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山頂の様子
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尊仏山荘前から撮影 Img4582
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西丹沢山塊
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中央頭だけの大山 Img4593
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7.まとめ
今年の登り始めもやはり“隣に居るおまえ”となりましたね!やはり、感動する風景に会うためには脚重に通ってこそ巡り合えるもので、毎回おねだりするのは虫が良すぎる。
とは言った物の、飽きてつまらないのは本音である。
だけど、隣に居る性で登る。
ならば、今後、心をくすぐる表丹沢を登る為に自分で出来ることを少なくてもやるべきだと思う。
それは、感動する風景を想像できる”時”
言葉を変えると”タイミング”を計り登ることだ!
「心をくすぐられる確率が上がるはずだ!」
良い心掛けが出来た所で、ちなみに決まっている心をくすぐられるスケジュールは…
たばこ祭りの花火&夜空
そして、お隣さんへの感謝の気持ちを込めて
“塔の岳の顔の写真”を
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